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2024年2月の記事一覧

【詞】新世界

【詞】新世界

頭上高くに停まる鳥は落ちるように街を下り
膨らむ風に羽根をあずけ 
鳴き声を一つ残して去った
魚のように流れる雲に、雨の予報は大外れ
見え隠れする日射しは熱く、
アスファルトをただ照らす

ぬるく漂う空気を取り込み、それぞれが街に踊る
空に昇るどこかの煙と、子供たちは帰り道
遠くの遠く望みを託して、
僕も出ていくよさよならと
あの鳥の後に付くように、
今出ていくよさよならと

枯れていく季節の花に

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【詞】ストレンジャー

【詞】ストレンジャー

それはまるで手に掬えば滴り落ちていくような
零れていくもの一つ一つ、あの人のおもかげ
カーブミラーに反射する、
私たちは確かに居たんだ
止まった時計の影追って、
どこか繰り出してみるんだ

点と点を繋ぎ合わせた記憶だらけの水深は
深ければ深いほど
知らない、
知らない、
知らない、
知らないことが多くなるのは分かっていたけど
あの人のことも知らない誰かになっていくんだと

忘れてしまったらそれでい

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【詞】メトロポリス

【詞】メトロポリス

メトロポリスにて
今日も上手く行きそうです
瞼には夢の微笑で
たなびく風の最終便で
失ったものだけバルーンに飛ばして
言葉は石のように転がる
君の街の近くで止まる
夜には忘れてしまうものだけ伝えたいのです

自転車飛ばしても近付けない日のことを
胸に仕舞って急ぐ内
空を切っていく轍
スクリーン一面の蒼い鳥
すっかりしかり染まっていく
何者でもない世界を

ブルーな雨で今日は軒下がちで
何も浮かばな

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【詞】夏の幽霊

【詞】夏の幽霊

手を引いたのはきっと透明なおもかげ
それは夏の幻 走る幻
どうしても夕暮れを見たいんだって思ってた
肩をゆらし 心躍る日々の人たち

夢の外側でまた会えたらさ
心に仕舞う微かな光話せるかな
灯りが幾つ数えてみて 感情を映す川にほら
目に見える 聞こえてくる それ以上の夜にまで

冷えた夏が指先に希望を込めて描きだす
寄り道の模写や帰り道の切り抜きを
言葉にすればどれだけ誰かに伝えられるか
瞳の中で

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【詞】遠くを見よ

【詞】遠くを見よ

遠くを見よ 百年の海が
古い言葉を掻き消す合間にいる
魚の飛ぶ走り書きに走り書きを重ねる頃

遠くを見よ 鋼の夢が
球体の街を跳ねる合間にいる
針の温度で空を縫う空を縫う頃

剥がれる
喩えの輪郭
剥がれる 湧き出る
期待の声が
湧き出る
話せば返る答えを信じたい

遠くを見よ 雨降る音が
木の葉の裏を突く、その合間にいる
うつつを踊る屋根裏の猫がほら

詞の新作です
いつもより短い文章になりまし

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【詞】彗星

【詞】彗星

言葉に欹てる耳がすらりページを現在に
言いたいことだって沢山あるから
石が捩じれた言葉のように佇む頃に
言わないようにしていたこともあるなら

彗星降る夜の大地でまた会いましょう
彗星降る夜の地でまた会いましょう

陽射しを避けて影を踏み歩く
一握の雷にハッと顔を向けた日のことも
躍る夜に移る思い出

言いたいことだけ持ち寄って
路地のさざめく夢の轍を追って
大地に抜け出せば

彗星降る夜の大地で

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【詞】チューニング(仮)

【詞】チューニング(仮)

弓のような月が
矢のような流星が
逆さまになった海の空

湯気が覚めるまで待とう
言葉を削りながら待とう
朝が来るまで
夏みたいな熱の中で弾く弦

まるで分からない
何も分からない
喩えにしてもきっと伝わらない
考え事は遠い日を忘れさせる
考え事は遠い日を忘れさせる

隠したままの心の先端
鳥が停まるとしたら
何にも言わない日が続けば
夜の音しか聞こえないから

耳澄ましてはギター弾いて
知らない

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【詞】ゆめゆめ

【詞】ゆめゆめ

たった一つの言葉で描く僕らの曖昧な夜も
布団に包み、畏怖を今越えようとしている事も
先に行けば行くほどに忘れてしまうことも

ごらん、“明日”は扉の外から
回遊する日射しとなって
煙のような独り言の転がる朝を象徴して
ふいに迫ってくる後ろめたさを掻き消していく

誰にでもあって、もうどこにもない
季節の花火追いかけて
夢の形をする霧を突き抜けた春の名前を
誰にでもあって、もうどこにもない
暗闇の軌

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【詞】寡黙

【詞】寡黙

椅子に座って
影に答えられない
一日の寡黙と夜が交差するライン
椅子に座って
道を下っていくような勘と浮き立つ憂い
果実を捻り、ソーダに乗せ
交流する嘘

いつものように答えられない
あの葉の雫と鬱屈が対比して見えてくる
Fade-inして、次の曲から
聞き馴染んだ彼は誰時
何もかもの寡黙で
言葉が浮かばない空白
思考が迷い込んでは、Fade-out!

暇つぶしに夜を指折り数え
浮かんでくるもの

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【詞】さよなら蒼い鳥

【詞】さよなら蒼い鳥

窓辺から見えるずっと空は
まだ足りない、満ち足りないと漠然と歩く言葉の
表をつつむように、そこにつつむように
あの雪を下る烏を映していた

構わないで、もう独りでいるから
凍りついた嘘だって、やがては夢に変わるから
ここからいつまでも、遠いだけの笑い声
対比する交差点、スクリーンの上から

さよなら蒼い鳥ヒューヒューと
風の隙間ふと急ぐ
いつしか街を谷に見立て
可憐な羽を潤わせ

さよなら蒼い鳥ヒ

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【詞】ねぇねぇ

【詞】ねぇねぇ

ねぇねぇ
ねぇねぇ
眠りにつく眠れない夜のアドベンチャー
ある草木の雨の轍と
飛び立つ模型の飛行機と
夜空の虫はサラウンド
画面まっしぐらの二進法
ねぇ
ねぇ
ねぇ
明日には忘れてしまう事ばかりだね

凍てつく雪に染まれば去る月日
12月の独り言、思い出した
明日は笑っていれる気がするね
12月の独り言、走り出した

君には今何が見えているんだろう
輝きだけでは生活は成り立たないと思うから
僕は焦

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