優しさに音があるなら
「じゃあゆうきちゃんは、その白い粉がないと生きていけないのね」
真顔でそう放った小林さんのおでこは、西日に照らされている。じわりと汗が滲む、まぶたを伝う。
私は手の中に握っているそれを見た。小さなジップロックに入れられたそれ。白い粉。普通、食卓に並ぶはずのそれは、小分けにされることで異様に見えた。
「ゆうきちゃんのお母さんは病気なの?」
汗が目に入ったのか、彼女は少し顔を顰めた。まぶたを指先で抑える。私はそれを見つめて、黙りこくる。
私の母は優しい。優しいけれど、その出力の仕