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新年

あけましておめでとうございます。今年も一年よろしくお願いします。

私は元日から親の怒鳴り声に心痛し、一眼レフ片手に行くあてもなく家を出ました。そこで初詣に行こうと思い、急遽電車に飛び乗りました。しかし去年の倍ほど混んでおり参拝もせずすぐ神社を後にしました。

私はおみくじで凶でも出してとことん悲しい気持ちに浸ろうと思っていました。しかしそれも叶わず私はやりきれない気持ちのまままた電車に乗りました。

家には帰りたくなかったので、適当に降りたことの無い駅に降りてみました。降りたすぐそばには公園があって、私はそこに入りました。

割と広い公園で子供達や犬が広い広場で駆け回っていました。夕方の空に浮かぶ凧を見て私はカメラを構えました。

凧の奥に私が見える

バイオリンを弾くおばあさんがいました。その音がbgmとなって、私はいつもみたいにイヤホンをせずに済みました。ただ静かな気持ちでベンチに腰掛け落ちていく日を見つめました。

しばらくすると凧は上空に姿を見せなくなり、バイオリンの音はやみ、代わりにカラスの鳴き声が目立つようになりました。それでも私はじっとベンチに座っていました。カメラを持つ手がかじかんでいきます。

このまま眠るように死んでしまいたかった。日は段々とその光を小さく不確かなものにしていきます。子供達や犬は家族の元に帰っていきます。私はどこに行けばよいのでしょうか。ただ漫然と日々を生きる私はどこに向かっているのでしょうか。

またどこからかバイオリンの音が聞こえてきました。先程とは違う旋律。彼女の姿は日に照らされひどく長い影を作ります。その影が私を抱きしめる妄想をしながら、私は一人ベンチに佇みます。カラスだけが、悠々と広がる夕空を飛び回っていました。

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