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かわいい い

グロテスクな女の子がすき
かわいさを全面に、こちらにぶつけてくるような、痛々しさのある女の子
私を見て、と主張してるのに、内心では必死に守ろうとしている、いじらしさ

私は主張できなかった女の子
怖かった かわいさを許すこと
かっこいいと言われることを好んだ 男の子みたいな着こなし 髪型 ウルフカットはマストで、襟足が金髪だった
そのうち全部脱色した

痛めつけるようにセルフカラー、セルフブリーチを繰り返した
高校をやめて、バイトをしてみたくて黒に染めた
かわいい、かわいいを主張する女の子になりたかった
己のかわいさで全てを守って、ぜんぶ苦しいことも愛おしさに変えてしまう女の子になりたかった
ウルフカットに、ピンクのひらひらな服を着た、アンバランスな女の子が目を覚ます
まだ17歳、もう少しで、18歳。

文学を嗜んで、休日は古本屋に行きます
お洋服は、最近はもっぱら古着屋
かわいいバラの刺繍が入ったワンピースを200円で買います

毒々しいピンクを身にまとって、頭にリボンをつけて、あなたを待っていた
一人で見る名画は味気なかった
チケットを買う時に、大人料金だと決めつけられたのに、無性に腹が立った
かわいらしい私はそのまま若くいたかった
その頃はまだ、受験生活に終止符が打たれ、自立することが怖かった
かわいくあることは、私にとっては幼さを孕んだまま、成長をとめてしまうことだった

でも縮ませたい心に反して、大きくなる頭は、どくどくと鈍い成長痛を引き起こす
苦しくて吐き出せない感情を、リボンで結ぶ

まいにち、泣いてばかりだった 早く大人になりたいと思う 大人になれば、泣くこともなくなると思うから 泣く前にきっと、こころの衝動はすぐに消えてしまうから

カメラの充電器が見つからなくてゆううつ
明日はひとりで好きな写真を見に行く
大多数に受けが良くて、一部の人間にわかってない、と言われる
でも好きだから。

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