【45】 マスクの中でぶつぶつ「ひとりごと」を連呼しまくる日々
「ノートに自分へのほめ言葉を書く」という習慣によって、言語化することの威力を実感した私。
今度は普段、自分が「口にする言葉」にも目を向けてみることに。
普段何気なく発している言葉の種類、クセ。
例えば、「できない、ダメだー」と言いがちな人と、
「大丈夫、できるっしょ!」と言う人とに分かれると思うのですが。
書き言葉よりも、ずっと多い「話し言葉」のはずなのに、自分がどんな言葉を発しているか……と問われると、まったく覚えておらず(汗)
普通に考えて、私の場合はネガティブな言葉が多いはずなんですけどね、無自覚なだけで。
「ねえねえ、ミソちゃん。私、普段、どんな言葉で人に接してるんだっけ?」
脳みそのミソちゃんに問うても、
「え? そんなの、普通だよ、普通」
と、要領を得ない応えがかえってくるだけ。
その人自身をあらわすと言っても過言ではない、「話し言葉」の自覚のなさに、我ながら呆れてしまいます。
「無自覚すぎるでしょ」
「……ですかね」
ミソちゃんと2人、ちょっと反省します。
しかし、いきなり誰かとの「会話の言葉」を意識的に自覚し、その言葉の種類やクセを変えるのは難しそうです。
「言葉ってヤツは、びっくりするぐらい自然に出ちゃってるもんだね」
ミソちゃんがつぶやくので、私も同意。
「よくわからんから、ひとりごとからはじめよう!」
そのように2人で決めました。
そして、抗がん剤投与のある朝のこと。
注射の恐怖などで、どうしても気分が落ち気味になるので、私はマスクの中で、ぶつぶつとひとりごとをつぶやきながら駅へと向かっていました。
(大丈夫! 大丈夫! 絶対大丈夫! すぐ終わる!)
(注射も一発で入るぞー! よっしゃー!)
ぶつぶつ唱えて、気分が落ちるのを防ぎます。
人間の脳は、同時に二つのことをできないのだそうですね。
明るく楽しい言葉を発している間は、ネガティブなことを浮かべる余地はないそう。
楽しい言葉を言いつつ、同時に暗い気持ちにはなれないミソちゃんの仕組みを利用します。
(竹中直人さんの笑いながら怒る芸は、例外ですかね)
そんな感じで、気分が落ちているときには自分を励ます言葉を、そして気持ちのよい朝などは、一歩外に出たら、「いい天気! 気持ちいい! 最高!」「楽しい一日になるぞ」など、マスクの中でぶつぶつと気分の良い言葉を唱えるようになりました。
外出の度にぶつぶつと「前向きなよい言葉」を唱え始めて数週間。
今では、一歩外に出た瞬間から、空を見て、太陽に向かって「今日も生きてます」とご挨拶。
そして「今日も最高の一日にする!」と言葉が自然と出てくるようになりました。
歩いていると
「今日も、無事に歩けていますな!」
そうやって、ミソちゃんが私に教えてくれます。
「そうそう、普通に歩けることのありがたさは忘れがちだよね。思い出してくれてありがとう!」
今日も無事に生きていることの喜びをかみしめて歩きます。
マスク生活も、慣れてくると案外メリットが多いことにも気づきます。
夏は少々息苦しいものの、冬は温かいし、メイクなしで外出できるのもとても楽。
そして、不気味な(?)「ひとりごと」の練習にも、マスクは便利でした。
ぶつぶつ何かを唱えていても、時にニヤニヤと笑っていても、誰も気づきません。
顔の半分が隠れたことで、逆に開放感と自由度が増しました。
マスクの窮屈さなど、なんのその、マスクを活用しまくる私なのでした。
(……と、その感じが前向きでポジティブ←だから、そんな自分をノートでほめてやりました。自画自賛)