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3分の森林浴はトトロの森
毎朝平日は、20分ほど散歩をしている。
「フルリモート×定時退社の企業に転職した私の日常」のnoteにも書いたが、目と頭を覚ましリフレッシュできると気がついてから。
20分で往復できる散歩でお気に入りのコースは2つある。
1つは道路沿いの道。
車の行き交いが多いのはあまり好きではないが、そのナンバープレートを使って暗算をしながら頭の回転を目覚めさせていくのが楽しい。
もう1つは住宅街の、線路沿いの道。
朝すれ違うのは散歩している人数名程度。車の行き交う騒がしさはなく、家の前の畑に植えられた野菜や畑から漂う土の生命溢れる匂いが好きだ。
私にはずっと気になっていた、ある入り口があった。
それは2つ目の住宅街の中を行く道沿いにある。
トトロがいる森の入り口のようなその見た目は、秘密の森へ続いているようで、人を寄せ付けないわけでもなく、喜んで歓迎しているようでもなく、「入りたい人だけどうぞ」といった佇まいだ。
ある朝、私は「今日はあの入り口から入ってみよう」と心を決めた。
朝からそんな森へ入る人はいないだろうから、そっと周りを見渡して誰も不審そうな目を私に向けていないことを確認しいざ足を踏み入れた。
そこは1歩出れば住宅街であることを忘れてしまうほど、人間以外の生き物・植物の居場所だった。
枯葉は地面に何層にもなり、ふかふかさくさくしっとり。
土の匂いは植物の葉の匂いと混ざり、小さな畑から香るそれとは比べものにならない、生命を濃く凝縮した香りで空間を敷き詰めていた。
森の大きさ事態はそれほど大きくなく、10分も歩けば向こうの出口に出てしまうくらいなので森という表現も違うのかもしれない。
私は自分の視界から線路や住宅が見えないところへ歩いていき、視界を森で埋め尽くした。
そして目を閉じてゆっくり呼吸を繰り返した。
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時間にしてほんの数分だったはずだが、その時間はずっとこうしていたいと思うくらい心地良かった。
喧嘩を売り合いながら進むせかせかした通勤の車が進む道を歩いていると、気がつくと自分の心拍数も上がり仕事のことをぐるぐる考えていたりする。
普段意識して時間をとって考えることを後回しにしてしまうことに時間を使うという意味では良いが、ただただきれいな空気で体を満たし、頭の中のタスクを一旦取り除き、幸福という形のない感情に浸りたい時にはやはり自然の中に身を置くのが一番だと感じた。
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