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歌舞伎とか、美術館とか。

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坂東玉三郎さんの演じる女形のような、上村松園さんの描く女性のような美しい人になりたい。
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芸の高みを目指す者が見る世界はこんなにも美しく寂しい/吉田修一『国宝』

芸の高みを目指す者が見る世界はこんなにも美しく寂しい/吉田修一『国宝』

歌舞伎のハードルってだいぶ高いけれど、えいやと飛び込んでみると思ってるほどの難しさはなくて、面白い楽しい美しい!にあふれてます。

でも、この「えいや!」が難しい。
周りに興味ある人とか詳しい人がいればまだしも、そもそも飛び込んでみるほどの興味を持つに至らない。

で、そういう時に小説というのは偉大な力を発揮するのです。

では、ぐぐぐーっと歌舞伎の世界に引き込まれて、かつ歌舞伎とは何ぞやがよくわ

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色気の大渋滞。映像では味わいきれない感動がたしかにある。片岡仁左衛門・坂東玉三郎初春特別講演

色気の大渋滞。映像では味わいきれない感動がたしかにある。片岡仁左衛門・坂東玉三郎初春特別講演

正月の坂東玉三郎さんの公演に続いて、今回は片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの共演です。どちらも人間国宝というとんでも特別公演です。

このお二人は名コンビとして有名なのですが、実はわたくし全然見たことがありませんでして、、やっと夢が叶いました。

いやもう、色気の大渋滞でした。

鼻血でるかと思った。なんとか涙だけにおさめましたけど。
二人が少し離れたところにいると、どっちを見ればいいのやら。ちょ

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夢二の女性って実写可能だったんだー坂東玉三郎・初春お年玉公演

夢二の女性って実写可能だったんだー坂東玉三郎・初春お年玉公演

坂東玉三郎さんの初春お年玉公演に行ってきました。
ここ5年ほど、大阪松竹座で毎年開催されているお正月公演です。

もう、幸せで胸がいっぱい。

今回の演目は、「口上(挨拶)」「残月(地唄舞)」「長崎十二景(舞踊劇)」でした。

毎回、最初の幕があがって玉三郎さんを見た瞬間に涙ぐんでしまう。
待ってましたの喜びと、玉三郎さんの舞台にかける真摯な姿勢がこう、ビビビっとなって、ぐぐぐっときて、どばぁーっ

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油で滑ったり、建物が崩れ落ちたり。三月花形歌舞伎。

油で滑ったり、建物が崩れ落ちたり。三月花形歌舞伎。

南座の三月花形歌舞伎に行ってきました!

しばらく風邪をこじらせてしんどかったのですが、気合で当日に治しました。間に合ってよかったー。

実はあんまり歌舞伎を見に行くことってなかったんですが、知人に誘ってもらい、見に行くことに。

高校生くらいの時に、歌舞伎大好きな子に連れてってもらったことがあって、そのときは衣装がきれいだなーくらいの感想で、役者さんたちが何言ってるのか全然わかんなくて、物語もち

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しんしんと降る雪の中――「坂東玉三郎 はるのひととき」

しんしんと降る雪の中――「坂東玉三郎 はるのひととき」

昨年7月、南座で「夏のひととき」の公演があった。
坂東玉三郎さんと春風亭小朝さんとの共演で、お二人の対談にはじまり、小朝さんの落語「一豊と千代」でひと笑いして、玉三郎さんの「由縁の月」で締めくくられる。

玉三郎さん目当てで行ったのだけれど、落語の面白さを知った日でもあった。こうして世界が広がっていくのは嬉しい。

この対談の時に、新春にも二人での公演を予定している、という話があったので、絶対に行

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ウクライナ国立バレエ日本公演「ドン・キホーテ」

ウクライナ国立バレエ日本公演「ドン・キホーテ」

人生初めてのバレエ鑑賞。

正直に言うと、今まで全く興味がなかった。

子どもの頃、クラスに必ず一人はバレエ教室に通っている子がいたように思う。姿勢が良いから、一目で「あ、この子バレエ習ってるんだな」って気づく。でも私が考えていたことといえば、髪の毛ひっつめてて痛くないのかな、とか、つま先立ちしてて身体に悪くないのかな、とか、そんなことばっかり。

そんな人間がなぜ今回見に行くことになったかという

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坂東玉三郎 新春お年玉公演。至福。

坂東玉三郎 新春お年玉公演。至福。

気づけば年が明けてから6日も経っている…
今日からまた、noteの更新を再開したいと思います。続けるぞー。

いま、大阪松竹座で坂東玉三郎さんの新春お年玉公演が行われています。
1月3日、初日の公演に行ってきました。

もう、最高過ぎて。
記録を詳細に書きたいのだけれども、気持ちがあふれるし全部イイから全部書きたいし、今も書きたいことがぽろぽろ脳みそから零れ落ちていく感じで。

ああぁ。もどかしい

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タイトルの力ってすごい。

タイトルの力ってすごい。

「竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー」
京都市京セラ美術館の展覧会に行ってきました。

江戸末期に生まれ、明治~昭和期の近代日本画界に旋風を巻き起こした京都画壇の立役者。

それまで師匠の様式をそっくり受け継ぐスタイルだった日本画界に、画家自身の目で見たものを描く「写生」という新風を吹き込み、西洋の技術も積極的に取り入れた人です。

今では当たり前の描き方も、当時にしてみれば革新的。
絵に限ったこと

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坂東玉三郎×泉鏡花「天守物語」

坂東玉三郎×泉鏡花「天守物語」

シネマ歌舞伎の坂東玉三郎×泉鏡花4作品上映企画、今日で4作品制覇しました~

1ヶ月で4本。満たされたー。

「海神別荘」「高野聖」「日本橋」そして「天守物語」。
3作品もとてもよかったのですが、個人的には天守物語が大本命だったので、最後の最後に期待も最高潮。

やっぱり、期待を裏切らない美しい世界でした。

ただ劇場公演を放映するだけでなく、冒頭にインタビューが入っているのが嬉しいところ。印象的

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歌舞伎初心者にはシネマ歌舞伎もおすすめしたい

歌舞伎初心者にはシネマ歌舞伎もおすすめしたい

興奮冷めやらぬ夜11時。
今日はシネマ歌舞伎で坂東玉三郎さんの『海神別荘』と『高野聖』を見に行ってきました。

もうね、坂東玉三郎さんの美しさですよ。
そこらの女性では誰も太刀打ちできない、まさに「理想的な女性」の美しさ。あんな美女がいた日には、傾く城がいくつあっても足りやしません。

今、玉三郎さん演じる泉鏡花作品を4作品上映するという企画が開催されているんですが、泉鏡花の小説もとても好きで、玉

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