石橋直子

昔話と詩吟が好きな高校国語教員です。隠岐に残る不思議な浦島伝説の調査をしています。『おしゃべりな出席簿』今井印刷から出版。https://amzn.asia/d/hFdtOI4

石橋直子

昔話と詩吟が好きな高校国語教員です。隠岐に残る不思議な浦島伝説の調査をしています。『おしゃべりな出席簿』今井印刷から出版。https://amzn.asia/d/hFdtOI4

マガジン

  • とらねこ村<トランスミッション>

    • 157,490本

    あなたと作る共同マガジン。総勢4000名が関わる大規模マガジンに成長中。グループ合計で参加者1,500名、フォロワ数2,500名、約18万記事が収録中。🥕コンテンツを広めたい方の参加をお待ちしています。🥕マナー:①連続投稿はしない②社会一般的に不適切な記事は投稿しない③トップ画面は変えない。参加希望の方は,マガジンの固定記事からコメントしてね。

  • 浦島語り

    古典から近代の作品まで、浦島伝説について、様々な視点から書いたものです。

  • おしゃべりな出席簿

    現役高校教員による学校エッセイ「おしゃべりな出席簿」の記事をまとめました。

  • 中編小説「川詣でーかわもうでー」

    祖母の昔語りから書き下ろした中編小説です。戦時中の松江、兄の出征前夜に、母に手を引かれて渡った川。その向こうには神社があった…………。 ―――――――――― 兄に赤紙が来た。キヨ子は女学校に通う鞄から折り畳みの国旗を出して振った。家で振ったのは、初めてだった。万歳、そう言った。 出征前夜、母の声で目が覚めた。外はまだ暗い。「顔を洗っていらっしゃい。身を清めたら、お出かけいたしますよ」。ただならぬものを感じた。手拭いを顔に当てながら戻ると、母が藤色の着物を出していた。十三誕生に叔母から譲り受けたその着物は、戦火が高まる中、袖を通さぬまま箪笥で眠っていた。なぜ、今。母にくるくると駒のごとく着つけられつつ思ったが、聞けないまま草履をはいた。 行き着いた先は、川土手だった。白いしぶきが川石をじっとりと濡らしていた。 ――――――――――

  • 掌編・短編小説集

    短い小説をまとめています。少し怖くて、奇妙な味の短編はいかがでしょうか?古典作品や近代文学のオマージュや怪談も書いています。

最近の記事

浦島語り#07 女心とモタとメチー侍女は何になったのかー

はじめに昨日まで1週間にわたって隠岐でフィールドワークをしていました。 そう、日本史では配流の地として有名な、あの隠岐です。 前回紹介した、この地に残る不思議な浦島型伝承が私のテーマ。 この伝承に迫るため、地域のシニア層や当地の図書館はもちろんのこと、教育委員会に法務局まで訪問させていただきました。家族にたくさん協力してもらって実現したフィールドワークでしたが、実際にその地に入り込むと見えてくるもの、というのは、本当にたくさんあって、やっぱり行って良かったな、と、しみじみ

    • 出席簿#35「『おかえり』温かい挨拶」

      【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」11月18日、月曜日。今日から一段と寒くなりました。皆さまお元気でしょうか?私は11月16日に海士町産業文化祭に出演し、そのまま隠岐に滞在しています。数ヶ月にわたり準備をしてきた舞台がなんとか無事に終わりましたー! これまでにやったことがないほど大人数で、照明や音響にも凝った大舞台。源義経の生涯をテーマに、海士町の詩吟愛好会「隠岐國縁吟会」のみなさんと一緒に衣装を整えたり、お芝居パートの練習をしたり。 アクシデントもありましたが、なんとか

      • 浦島語り#06 白島の赤法印ー隠岐の不思議な浦島伝承ー

        はじめに浦島語り、再開します。 昔話が好きで、とりわけ浦島太郎が好き。 海向こうの不思議な世界への夢があって、 どこかファンタジーのようで、 うっとりしていると・・・・・・ 唐突に老いと別れを突きつけられる。 たった一度の過ちのため、がっくり浜辺に膝をつく心優しき1人の漁師。 浦島伝説は、哀しく理不尽にも思われますが、 その運命に翻弄される青年浦島の優しさも、弱さも、 妙に人間らしさが感じられたりもします。 これまでは、古典作品を中心に、浦島伝説の歴史やその特徴を紹介

        • 出席簿#34「寄り添う心、時を超えたリレー」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」11月11日、月曜日。一気に肌寒さを感じるようになりましたが、皆さまお変わりありませんか?私はお稽古をつけるため通っている隠岐國縁吟会の舞台が近づいてきたこともあり、なんだか慌ただしい週末でした。 隠岐の高校で教壇に立っていたのは、もう6年も前。でも、そのときに立ち上げた詩吟愛好会は今も健在です。それどころか年々パワーアップしているように感じます。次の週末に予定されている海士町産業文化祭での出演が、この会にとって一番の大舞台になるのですが、

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        • 中編小説「川詣でーかわもうでー」
          5本
        • 掌編・短編小説集
          3本
        • 中編小説「笠地蔵異聞」
          5本

        記事

          創作童話 まあくんと いしの かめさん

          まあくんと いしの かめさんお寺の奥に、その亀はいました。石でできた、大きな亀です。亀のこうらには、大きな石が乗せられていました。いつからじっとしているのか、もう、亀にはわかりませんでした。 毎日、たくさんの人がやってきて、好き勝手に話していきます。「この亀は、夜な夜な悪さをしたそうだよ」「お殿様が可愛がってたんだって」。動くことのできない亀には、どうでもいいことでした。 ある朝、どこからか足音が聞こえてきます。だんだん近くなって近くなって…… 「ここは、雨のにおいがす

          創作童話 まあくんと いしの かめさん

          出席簿#33「届けたい、選び抜いた言葉」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」11月3日、月曜日。あっという間に今年もあと二か月!しかも11月は文化の日を含んだ三連休から始まるので、行事がてんこ盛りで、わっしょいわっしょい言っている間に過ぎ去ってしまいそう……!なんて、落ち着きなく過ごしているのは私だけかもしれませんが、皆様はこの三連休、いかがお過ごしですか?土曜日の大雨が嘘のように日曜日と月曜日は快晴。地元では中世の武将を模した大名行列が名物のお祭りと、産業祭が連日で行われ、にぎやかな二日間となりました。 さて、月

          出席簿#33「届けたい、選び抜いた言葉」

          創作童話 よく似ているけどちがう虫

          よく似ているけどちがう虫広いのはらのそこかしこ。よく似た虫がいるそうな。 よく似てるけど遊んじゃいけない。 だって似ててもちがう虫。ちがう虫にはちがう幸せ。 そよ風が吹き抜け、しなった葉が大きく揺れました。コガネムシの子、ピカがびよんと地面に降り立つと、不思議なものが見えました。大きな泥玉が、コロコロ転がってくるのです。止まった泥玉から声がしました。 「ここはどこ?迷っちゃった。ねえ、手伝って」 驚いたピカの前に、そっくりな虫が顔を出すと、器用に逆立ちをして後ろ足だけで

          創作童話 よく似ているけどちがう虫

          出席簿#32「彼女にしか描けない世界」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」10月28日、月曜日。ここのところ週末の天気が崩れがちですが、、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私は月に一度の詩吟お稽古で海士町に行っていました。今は11月の産業文化祭に向けて練習をしています。 基本的には10名少しの会員さんと詩吟をしているのですが、今年の産業文化祭では殺陣も交えて平家物語の構成吟(詩吟ミュージカル)をやろう、ということで、地域有志の方にも協力いただきながら練習をしています。殺陣部隊としてお集まりくださったのは島前高校生中

          出席簿#32「彼女にしか描けない世界」

          創作童話 ふよ と ほよ ーちいさな くらげ の ものがたりー

          ふよ と ほよくらげたちは、いつもあたたかい海をただよっています。 プカリと海の上にあたまをだせば、とりたちのおしゃべりがきこえるし、海のそこをさんぽすれば、きれいなさんごの森であそぶこともできます。 くらげのふよは、波にまかせていろいろなところに行くのが好きでした。あたらしいことを知るのが好きでした。 でも、見つけたことをいっしょうけんめい話そうとしても、なかなかおしゃべりができません。 「ねえ、今日さんごの森で魚のあかちゃんが生まれたよ。」 「それ、前に見たことあ

          創作童話 ふよ と ほよ ーちいさな くらげ の ものがたりー

          出席簿#31「初めての投票、大人への一歩」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」10月21日、月曜日。雨の週末となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。先週はきれいな月を眺めた方も多かったのでは?秋らしい貴校が感じられるようになってきました。個人的に一番好きな季節は秋。いつまでもこのままがいいんだけれど・・・・・・そういうわけにもいきそうにないので、この季節を楽しみたいな、と思っています。 さて、月木に更新しているnoteですが、月曜日には拙著『おしゃべりな出席簿』お試し版として、連載当時の作品とそれに寄せて今の

          出席簿#31「初めての投票、大人への一歩」

          むかしばなし雑記#09 「鶴の恩返しー巡る思い、恩返しに見た夢ー」

          はじめにこんばんは、ちょっと箸休め、くらいのつもりで書いてきた昔話シリーズでしたが、気づけば2ヶ月。いつもお付き合いいただいている皆さま、ありがとうございます。 今回ご紹介するのは、定番ともいえるむかしばなしの一つ、「鶴の恩返し」です。小学生の頃、音楽の教科書載っていた童謡がとても印象的で、ずっと歌っていたな、と探すのですが、なかなか歌詞が見つからない。しばらく探して、動画サイトでようやく見つけました! 短いながらもいい歌詞と、物寂しい雰囲気のある曲。久しぶりに聴きました

          むかしばなし雑記#09 「鶴の恩返しー巡る思い、恩返しに見た夢ー」

          出席簿#30「離島の一日写真屋さん」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」10月14日、月曜日。一度に秋らしくなりましたね。過ごしやすいこの季節が、四季の中で一番好きなのですが、今年は急激な寒暖差に風邪を引きそうでひやひやしながら過ごしています。半袖はそろそろ閉まって大丈夫なはず・・・・・・と思いながら、やっぱり今日は夏服で充分、という日もあったりして。皆さまも体調に気をつけてお過ごしください。 今日はスポーツの日。この三連休に運動会、という保育園や町内会も多いのではないでしょうか?2歳になる息子は、一時保育でお

          出席簿#30「離島の一日写真屋さん」

          むかしばなし雑記#08 「舌切り雀ー不思議な世界はどこにある?ー」

          はじめにこんばんは、前回は“人間が寝ている間にこっそり食料を盗んでしまう”ねずみの話を紹介しましたが、今回のキーパーソン(アニマル?)もお米と縁の深い彼女。  すずめは雑食で、イネ科の植物の種子(お米など)や、虫を食べます。お米が主食なんて、とってもジャパニズム!!…だからかどうかは分かりませんが、やはり、米を主食とする日本では、田んぼや庭先とすずめという取り合わせがごく当たり前の風景。とっても親近感わく小鳥ですね。  おばあさんが洗濯物をととのえるために作った“のり”も当時

          むかしばなし雑記#08 「舌切り雀ー不思議な世界はどこにある?ー」

          出席簿#29「先生の、小さな挑戦」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」10月7日、月曜日。早いもので、noteを初めて半年が経ちました。節目のこのタイミングで、お知らせがあります。 実は、先週の水曜日、別記事でも書いたのですが、拙著『おしゃべりな出席簿』が電子書籍になりました!もし「紙書籍は最近買わなくなったけど、電子書籍なら……」という方がいらっしゃいましたら、ぜひこの機会にお読みいただけると嬉しいです。どうかよろしくお願いいたします。 そして……こちらは「お知らせ」というほどでもないのですが、半年続けた

          出席簿#29「先生の、小さな挑戦」

          むかしばなし雑記#07 「ねずみの嫁入りー足もとの幸せ、気づかせたのは?ー」

          はじめにこんばんは、今回はめずらしく人間が一切登場しない話。ねずみの語源は「寝盗み(人間が寝ている間にこっそり食料を食べてしまう)」だと言われています。長い間、人間と共存してきたねずみたち、その姿が愛されてキャラクターとなっている例も少なくありません(ポケモンの有名キャラクターもねずみモチーフですね)。神様が行った干支選びでは機転を利かせ(ずるい?)一番目のポジションを獲得したという昔話があります。かくいう私はねずみ年生まれ。ねずみには人一倍親しみを覚えていたり…。そんなわけ

          むかしばなし雑記#07 「ねずみの嫁入りー足もとの幸せ、気づかせたのは?ー」

          電子書籍になりました

          「おしゃべりな出席簿」が電子書籍に10月2日、水曜日。noteを初めて半年が経ちました。 いつもお読みくださる皆さま、本当にありがとうございます。 今日は大切なお知らせがあります。 昨年の10月に出版した拙著『おしゃべりな出席簿』ですが、 \\ なんと電子書籍になりました // Amazonにて好評発売中です。 採用間もない新米教員のころから11年にわたって 朝日新聞島根版にて連載させていただいたコラムを まとめてお読みいただける1冊。 紙書籍だとなかなか買いにくく

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