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呼吸瞑想法のコツについて考えてみる
瞑想にはさまざまな方法がありますが、その中でも特に「呼吸に意識を集中する瞑想」は、手軽に始められて汎用性が高い方法です。しかし、初心者にとっては『呼吸に集中する』と言われても、具体的な方法が分かりにくいかもしれません。
私自身の経験を振り返ってみたところ、「呼吸瞑想は、呼吸+特定の要素(リズム・音と振動・数)に意識を向けると効果的」であることに気づきました。今回はその3つの方法をご紹介します。
1.呼吸 + リズムに集中:共鳴呼吸法(レゾナンス・ブリージング)
共鳴呼吸(Resonant Breathing)は、海外では四半世紀以上にわたって研究され、心拍変動(HRV)の改善が臨床的にも確認されている呼吸法です。特に、アメリカなどではメンタルヘルスやストレス管理の一環として広く取り入れられています。
方法としては、1分間に約6回(吸う5秒、吐く5秒 または 吸う4秒、吐く6秒)のペースで呼吸を行います。これにより、心拍変動(HRV)の振幅が最大化され、生理的リズムの調整が促されます。吸う息と吐く息の「リズム」に意識を集中しながら、静かに深い呼吸を続けてみてください。
2.呼吸 + 音や振動に集中:口すぼめ呼吸法
次に紹介するのは「口すぼめ呼吸法」です。この呼吸法はぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんにも推奨されているもので、息を吐くときに口をすぼめてゆっくり吐き出すのが特徴です。この方法では、口すぼめ呼吸の際に生じる「音」や「振動」に意識を向けることがポイントです。
通常よりも息を吐く時間が長く、自然と呼吸が深くなるため、リラックス効果が得られやすいでしょう。実践する際は、吸うときは鼻から、吐くときは口をすぼめて「フーッ」と音を立てながらゆっくり吐き出してみてください。この振動や音が、集中を助ける役割を果たしてくれます。
3.呼吸 + 数に集中:数息観
最後にご紹介するのは、禅宗の瞑想法である「数息観(すうそくかん)」です。1〜10まで呼吸を数え、途中で意識がそれたら1からやり直します。このシンプルな手順が集中力の向上につながります。
この方法は、呼吸の数を数えるという単純な作業に集中することで、自然と余計な考え事が減り、集中力が高まる効果があります。「呼吸に集中」だけではピンとこない方、前述の二つの呼吸法もいまひとつ合わないという方は、数をカウントするという方法が合うかもしれません。
おわりに
今回は私自身の瞑想の経験を振り返り、呼吸瞑想のコツとして「共鳴呼吸法」「口すぼめ呼吸法」「数息観」の3つをご紹介しました。今回紹介した方法を試しながら、自分に合ったものを見つけ、無理のないペースで続けてみてください。
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瞑想とは何か?脳科学が示唆するその本質
瞑想の基本的な効果や脳に与える影響を科学の視点から解説しています。共鳴呼吸(レゾナンス・ブリージング): 生体リズムの調和を促す科学的アプローチ
共鳴呼吸の科学的な背景や効果を詳しく解説しています。
参考リンク
共鳴呼吸(「呼吸と健康 心拍変動バイオフィードバック」日本心理学会)
https://psych.or.jp/publication/world104/pw10/
共鳴呼吸は、呼吸と心拍が共鳴することで心拍変動(HRV)を改善し、自律神経の調整等に効果があるとされています。口すぼめ呼吸(COPD-jp.com)
https://www.copd-jp.com/rehabilitation/breath.html
口をすぼめてゆっくり吐く呼吸法で、肺への負担を軽減し、呼吸を深める効果があります。ぜんそくや慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状緩和に活用されています。数息観(息を数える 臨済宗大本山 円覚寺)
https://www.engakuji.or.jp/blog/36330/
数息観は、禅宗で行われる呼吸瞑想法で、呼吸を数えることで雑念を払い、集中力を高める効果が期待されます。