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枝ちなみ
2021年10月24日 23:56
蝉の鳴く声が遠くにも響かなくなった季節僕は今旅をしていますふわりふわりと気持ちを宙に浮かせ僕自身を誰も知らない街を旅していますそこには何も無くて人もいない嫌いもなければ好きもない平和な街街を歩く中で僕はとあるお店を見つけたので入ってみました入った先に勿論店員はいなく雑多な食器が並んだ食卓が1つ使われた形跡もなくただ並べられた食器たちを見て僕はまた
2021年10月17日 23:47
ウォークインクローゼットがあればこんな面倒な衣替えいらないのに。そう思いながら積み上がった冬服と棚に入る夏服を交互に見た。終わる気がしないその量に深いため息をつくのは毎年恒例。仕事があるから昼はできない。だから夜にまとめてやる。でも明日も仕事だし、本当に面倒。私は片付けが苦手。だからやり始めるまでに時間がかかる。私にお金があれば、家政婦さんを雇ってやってもらうのに。私が魔法
2021年10月16日 23:45
夜、帰宅。ベッドの上にカバンごと飛び込む。今日は友達のアケミと久々のショッピングで、つい浮かれて色々買ってしまった。カバンから財布を出し、レシートを見る。なんでこんなもの買ったんだろうって後悔する。訳の分からない顔をしたお揃いのくまのキーホルダーと、大して可愛くない銀色のピンキーリング。その場では、とても可愛いと思った。だから買った。でも家に帰って見てみると、さほど可愛くない
2021年10月13日 21:26
実家から沢山のりんごが届いた。「いや…嬉しいよ、嬉しいんだけど」段ボール1箱分のそれは、一人暮らしの許容量をゆうに超えていた。数にして30個。1日1個で1ヶ月。「りんご好きなら…行けるのか…?」そう思いながらまずは1つ、皮をむいて食べた。昔母から教わった、簡易的なりんごの剥き方。アニメのようなとぐろを巻いた皮は出来ないけど、しっかり溜まった蜜を逃がさない、そんな剥き方。
2021年10月11日 20:02
「コーヒーでいいですか」大して仲良くない後輩が、俺に対して聞いた。「ああ」大して仲良くないから、すんっと答えた。「……」積み上がった紙コップを1つ取り、仲良くない後輩はディスペンサーからコーヒーを出して、入れた。「ガムシロはいりますか」「いや」「ミルクは」「いや…てか自分でとるよ、そのくらい」俺が少し手を伸ばせば届く位置に、いま仲良くない後輩が聞いてきた
2021年10月9日 20:33
いつも食べてるどら焼きの味が変わって変だなぁって思った。それは小学校から変わらない味だったから尚更、変だなぁって。僕が小学生の頃からお母さんに買ってもらってたササキ屋のどら焼き。なんでこんなに味が変わったのだろう?何か、あったんだろうか。人間、ストレスを感じると味がおかしくなるらしい。インターネットにはそう書いてあった。てことは、だ。ササキ屋の店主さん、もしかしてストレ
2021年10月8日 23:39
僕はいつか、声を失うそうだ。そういう病気。もう逃げられないんだって。だから僕、いつか声が無くなる日まで君の名前を呼ぼうと思うんだ。大好きな君の名前を。なーんて。医者に言われた時はそんなこと言ったけどさ。結局君の名前だけを呼ぶわけじゃないんだよね。沢山の人の名前を呼ぶ。なんかの歌の歌詞にもあったな。声が無くなるまで君の名を呼ぶよって。じゃあ本当に無くなるって言われたら
2021年10月5日 22:59
延長コードが壊れた。もう代替も無いし、正直ショック。いや、新しいの買えばいいんだけど。この延長コードだけは、なんというか。壊したくなかったっていうか。「これ、先輩にもらったやつなのに」とある高2の夏休みの合宿。私は小説を書くことを主に活動している「ストーリー部」の部員だったんだけど、小説を書くための合宿で憧れの佐藤先輩と同じグループになったの。合宿先は長野県の高遠。自然が
2021年10月4日 23:06
「あの日から、耳鳴りがするんだ」クラスの翔太くんが、友達の輪の中でそう言っていた。あの日。それは、彼ら翔太くんグループの男の子4人が心霊スポットと呼ばれるトンネルに行った日。そのトンネルでは昔、男の子が亡くなったらしい。その男の子は親からネグレクトを受けていて友達もいなくてすごい寂しい思いをしていてある夜にベランダから家を抜け出して、どこかにある幸せを見つけに走っていたら、その
2021年10月1日 20:40
それは、ひどい雨の中。女は、言った。「相変わらず雨男なのね」男も、言った。「相変わらずってなんだよ。たまたまだよ」女はお気に入りの赤い傘を少し回しながら男は使い込んでボロボロになった傘をそれぞれ差しながらここへ来た。ここは2人の思い出の地。少し坂を上った所にある、橋の中心。雨で川の水が増え、ここへ来るのにも危ないぞ、と何度も声をかけられた2人。それを無視して、傘