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映画レビュー:24年3月の11本
・ミレニアム・マンボ
(2001年/台湾、フランス/ホウ・シャオシェン監督)
光の色合いがまだまだアナログの頃で、全然違うんだよなぁ。目にやさしいし温かみがある。女も男も(小道具として)タバコ吸いすぎ。てか夕張ロケのくだり、脈絡なさすぎる。どんな力が働いてこの捻じ込みシーンがあるのか。。
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・ロッタちゃん はじめてのおつかい
(1993年/スウェーデン/ヨハンナ・ハルド監督)
よくねた。劇場にロッタちゃんみたいな年頃の子供いっぱい来てたけど、つまんなかったんじゃないかな。徹頭徹尾「大人から見た子供像」の押し付けだからね。退屈だよ。大人のエゴです。
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・ドリー・ベルを覚えているかい?
(1981年/ユーゴスラヴィア/エミール・クストリッツァ監督)
童貞卒業を通過儀礼的にワルにそそのかされて1人の泣いて嫌がる女の子で順番にすませるシーンとか胸糞だけど(主人公の男は悔しくて泣いてる)、なんか思春期の痛々しい感じすごい伝わってきて。今なら完全にアウト、なんだけど、そのいわゆる「今」を形成してる潮流とは別の文化圏の、別の行動原理に基づいて日々を過ごしている人達もいるよな。。と、「わかりあう」ことの途方もなさを感じたりなど。音楽は豊か。移動遊園地みたいな遊具の回るシーンめっちゃ良い。
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・ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ
(1980年/西ドイツ・ジャマイカ/ステファン・ポール監督)
ボブ・マーリーだけじゃない、レゲエ・アベンジャーズみたいなライブ・フィルムなのに、マーケットの規模が小さいがゆえに「ボブ・マーリーの映画」として釣るしかないのか。これだけオールスター集結してもHIPHOPの1人のアーティストのドキュメンタリーに太刀打ちできないという。
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・神の道化師 フランチェスコ
(1950年/イタリア/ロベルト・ロッセリーニ監督)
信仰に生きる人々を描いた良作。名言のオンパレード。「大切なのは言葉ではなく、態度なのだよ。」って、おっしゃる通りですハイ。しかし為政者が“清貧”を説く宗教者を歓迎するのは当然だよね、そのぶん自分たちで富を独占できるんだからね。
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・私が女になった日
(2000年/イラン/マルズィエ・メシュキニ監督)
やっぱり「イスラーム映画祭」でかかる作品にハズレ無し。狭い世界は外界と繋がっていて、ガラスの天井な生活からの抜け感、美しい色づかいがタマラン。
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・海がきこえる
(1993年/日本/望月智充監督)
大盛況!淡いなぁ。青春の当事者って、自ら判らないもんだよね、あとで知る。それにしてもBunkamura ル・シネマ渋谷宮下、スペース広くてゆったりとした設計で、上質な映画体験が約束されていて、本当にすばらしいなぁ。
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・ストーリー・オブ・フィルム Ep.15:映画の未来
(2011年/イギリス/マーク・カズンズ監督)
観客1人で劇場貸しきり。原動力は、情熱と革新力。この本編の中で紹介されていた映画、観たいのいっぱい。
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・暴力をめぐる対話
(2020年/フランス/ダヴィッド・デュフレーヌ監督)
対話のシーン、登場人物をとくに紹介せず双方の意見を並列に映し、最後に紹介する手法。肩書きにおける先入観なくニュートラルに見れてとてもいいな。作り方の参考になること多。
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・ドリーの冒険
(1908年/アメリカ/D・W・グリフィス監督)
あぁ面白かった。映画のすべてがある、って触れ込みごもっとも。グリフィスなんて大学の授業ぶりに観たけれど、学ぶところ多いな。チェックしとこう。
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・ニューヨーク・ハット
(1912年/アメリカ/D・W・グリフィス監督)
無声映画だからこそ、音楽で操る心理描写、今生きるなぁ。しかし110年前の映画なのに「訴訟を求めるべく抗議してくる」ってくだりがあるの、100年以上前から訴訟社会なんだなぁ(涙)
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3月はフランス、台湾、スウェーデン、ユーゴスラヴィア、西ドイツ、ジャマイカ、イタリア、イラン、日本、イギリス、アメリカと、世界各国の映画観れてよかったな。
<了>