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映画レビュー:24年5月の7本

クイーン・オブ・ダイヤモンド
(1991年/アメリカ/ニナ・メンケス監督)

パトカー鳴ってても群集の騒ぎの中にいても無音(サイレント)にして静けさのコントロール。聞かせたい音だけフォーカスして拾ったり、静けを操る手法が巧み。セリフはごくわずか。寝た。

リバー・オブ・グラス
(1994年/アメリカ/ケリー・ライカート監督)

「ロードのないロードムービー、愛のないラブ・ストーリー、犯罪のない犯罪映画」という宣伝文が言い得て妙。ラスト、助手席の男を撃ち殺して旅に出ちゃうけれど、旅に出ずに、あのまま家に帰ってまたいつものママに戻る方が、面白いのでは。

ボブ・マーリー ONE LOVE
(2024年/アメリカ/レイナルド・マーカス・グリーン監督)

映画館の後ろの席の方が、嬉しそうに劇中のライブ映像にあわせてボブの曲を陽気に歌っていて、はじめての劇場体験でした。

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章
(2024年/日本/アニメーションディレクター:黒川智之)

詰め込みすぎで後章で失速。いやぁこうもあけすけと作り手の未熟な中二脳見せつけられるとなんかもうね。子供相手の相撲みたいなもんで、前章ではその力技に「うわぁヤラレター」っつってわざと負けてやるぐらいの寛大さは持てたが、後章もコレじゃあ「てめぇいい加減にしろよ」ってなるわ。

ゴッドランド
(2022年/デンマーク・アイスランド・フランス・スウェーデン/フリーヌル・パルマソン監督)

ロケ地の自然のスケールがカメラに収まりきらない雄大さ。それを、IMAXドーン!4Kドーン!自然を前に人間は為す術ない!と映すのではなくて、それらさえも人間が克服すべきもの、という思想を表してか、敢えてヒューマニズムに収斂させようとしてか、縦横比特殊な正方形に近い画面サイズ。この画面サイズにすることで、自然が小さく、人間が大きく見えるからアラ不思議。とはいえ『旅する不動明王』で描きたいことの1つはこの作品が描いていたことだったし、参考にはなった。水平移動のカメラの連続が眠気を誘うも、撮影大変だったろうなとしみじみ。

関心領域
(2023年/アメリカ・イギリス・ポーランド/ジョナサン・グレイザー監督)

夫の関心領域は軍事で、妻のそれは家族と身の回り、権力にしがみつきたい女。気にも留めぬ日常的な銃声と叫び声、引越してきた実母はその環境に耐え切れず家出。余韻たっぷりの残響、すごい。映画館内でポップコーンを食べている匂いが焼却炉で人を焼くにおいに重なってすごく臭い。

蛇の道
(1998年/日本/黒沢清監督)

リケイク版公開にあわせてYoutube無料公開で拝見。何気なく見出したら、止まらない、何コレ?と観ているうちにアッという間の狂気の85分。児童ポルノ怖い。


<了>

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