DX時代こそ、システムエンジニア(SE)に必要なスキル。「5者理論」とは?
今、デジタル化時代にあって、経営・ビジネスの「DX化」への対応が急務とされています。そこで活躍が期待されるのが、IT技術を持ったシステムエンジニア、所謂「SE」と呼ばれる人材です。
昨今では、「コンサルタント」という役割と区別 されるケースが多くなっていますが、本稿ではその領域までを含めたスキルを持った人材の呼称として使用します。汎用コンピュータ全盛時、「コンピュータメーカーのSEが何にでも対応していた時代の技術者の役割」として位置付けられていた人材スキルということです。
コンピュータ技術が細分化された現代にこそ、「5者理論」として示すような「俯瞰的に考察し、行動できる人材としてのSE」が必要だと考えています。
以上、持って欲しいスキルとして記しました。
最後、5者理論で示した点について「留意事項」ということで、敢えて記しておきたいことがあります。
*1:「コンサルタント」という役割と区別
その昔、コンサルタントの役割と言えば、企業の経営分野やビジネス分野に関わる「経営マネジメント分野の分析や提言」といったことが中心だったと思います。
ただ、IT活用が定着し「DXという取り組み」が、経営・ビジネスにおいて欠かせないという認識が出来上がった今にあっては、「コンサルタント」という役割がIT利活用分野でも求められるようになったと考えています。「SE」という呼称で対応していた業界も、システム構築工程を分け、「上流工程(IT利活用ビジョン、IT構築計画)」と「下流工程(システム開発工程(要件分析からテスト))」とし、前者を「コンサルタント」、後者を「SE、PG(プログラマー)、OP(オペレーター)など」と区分けして対応し始めています。
「コンサルタント」=「考える人(分析とIT利活用提言する人)」、「SE」=「作る人」ということでしょうか。ただ、SEが上流工程を理解し、実際に出来ることとの擦り合わせが出来ていなければ、「上流工程のビジョンは立派」だが、「絵に描いた餅」になりかねないことは言うまでもありません。
*2:スペシャリスト(それしか考えない、考えようとしない)
少し極端な使い方をしていますが、「この分野の技術に関しては自分の領域だ」ということは、「他のことは自分の領域ではない」と割り切っても良いと勘違いさせてしまうことにも成りかねないということです。
実際に、スペシャリストを制度化した際、お客様の顰蹙を買ったという事態が生じました。それは、ある提案の場に「提案書に記された技術」を補足する要員として、関連の技術者を「10数名」も引き連れて臨んだことです。万全を期す思いだったのでしょうが、結果的にはほとんどのスペシャリストが話す機会もなく(必要が無く)、提案は終了しました。それに対し、お客様から「ここに出席した人材の工数まで面倒見るのか」といった言葉が出たということです。良かれと考えた策が裏目に出たという典型例ですが、スペシャリストということから「それ以外は答えられない」「答えなくてよいのだ」という開き直れる環境を与えてしまった結果とも言えるのではないでしょうか。
特に、日本においては、お客様が「自分と同じか、近いレベルで話が出来る人」を望み、「ある技術のこと以外は話が通じない、または割り切る人材」を好まないという傾向が高いと考えています。日本のビジネス界においては、スペシャリストより、ジェネラリストが重宝される所以と考えています。
本理論は、私が入社直後の配属先の先輩SEから、最初に「伝授」されたことでもありました。