マガジンのカバー画像

読書レビューまとめ

18
小説家になりたい向井みの、読書をよくします。 このマガジンは本の感想・推薦文のnoteをまとめたものです。
運営しているクリエイター

記事一覧

読書記録、短編集ブーム到来

読書記録、短編集ブーム到来

 短編集を読むのが苦手だった。図書館に行ったときにチラッと一編読むのは楽しいけれど、一冊全て読み通すとなると難しい。
 世界を理解し始めたところで終わっちゃう、また新しく世界を理解するところから始める。この繰り返しがちょっと煩わしい。長編を一冊読むより、短編集を一冊読む方が格段に時間がかかる。

 しかし最近、短編集を読むと自分の創作が捗ることに気がついた。自分が書くのは主に短編だから、必然的に短

もっとみる
2024年、心に残っている読書

2024年、心に残っている読書

 2024年はこれまでの人生で一番本を読んだ年だった。書きたいより読みたいが強く、手当たり次第に読みまくった。読んだタイトルをメモしているのだが、「なんだっけこれ」というものも増えた。すべてがすべて印象に残るわけでもないらしい。

『ベケット氏の最後の時間』マイリス・べスリー

 チラッと読んで文章が好みで、そのまま借りて読んだ図書館の本である。「ゴトーを待ちながら」の作者ベケット氏の死に際の日々

もっとみる
読書記録、最近読んだ本より3冊

読書記録、最近読んだ本より3冊

 最近は読書のペースが上がっていて、毎日何かしら読んでいる。家で何もすることが無く、意欲もわかない時に少しだけ踏ん張って本を開くようにした。kindleアンリミテッドでありがたく読める小説たちや、本屋で衝動買いしてその価格のおののいた海外文庫。平坦で鬱屈としがちな日々の中で、読書のトピックは尽きない。

『ハンチバック』市川沙央

 芥川賞を受賞した話題作がKindle Unlimitedで読めた

もっとみる

読書記録、日々こつこつ読んでる本たち

 私の趣味はなんだろうと考えた時、ちょっと照れ照れしながらも「カフェで本を読むこと」という答えが手を挙げる。
 本を読むためだけに着替えて、荷物を用意して、お気に入りのカフェへ歩いて行って本を開く。私は大抵、2冊併読しているから、リュックからどどんと2冊テーブルに出して自分も席に着く。この、カフェのテーブルに本を置いた時、幸福感が胸にジーンとくる。どどん、ジーン。

『絶叫』葉真中顕

 マンショ

もっとみる
読書記録、読書の幅よ広がれ

読書記録、読書の幅よ広がれ

『Butter』柚木麻子

 三人の男と交際し、貢がせた挙句殺害として世間を大きく賑わせている「カジマナ」。獄中にいる彼女をなんとか取材できないか、記者の主人公はいちかばちか、彼女が愛した料理の話題で接近を試みる――。

 kindle unlimitedより。柚木麻子といえば、私の中では『ランチのアッコちゃん』のイメージが強い。女性の団結、友情を描いたほっこりさせるだけじゃないシビアさもある現代

もっとみる
最近の読書話、ありがとうkindle unlimited

最近の読書話、ありがとうkindle unlimited

 毎日頭痛と胃痛で、蒸し煮た白菜と鶏もも肉ばかり食っているが、読書は健康に続けている。

 kindle unlimitedで読めるものを中心に、時折まとめ買いして置いていた海外ミステリー(過去に何度か感想を書いたデュヴァインだ)や本屋で衝動買いしたつやつやカバーの小説を挟んで。iPadやスマートフォンで読む電子書籍に慣れるのはもう少し先かなと思う。

『樽とタタン』中島京子

 2024年、幸先

もっとみる
読書記録:イラストで見るゴーストの歴史

読書記録:イラストで見るゴーストの歴史

 先日、就労支援事務所を終えた昼過ぎより、1時間歩いてブックカフェへ行きついた。たくさん歩いた後は読書がはかどる。頭がスッキリするからかな。

 Googleマップで調べた時は気がつかなかったが、辿り着いたブックカフェは戦争や世界情勢にまつわる本が並ぶところだった。巨大な軍艦のレプリカが威圧的で、私はフラフラと店の奥へ流れ、お化けと目が合う。

『イラストで見るゴーストの歴史』

 人目で表紙のイ

もっとみる
タタール人の砂漠を読み終わった

タタール人の砂漠を読み終わった

 軍人として、攻めてくる敵を迎え撃つロマンを渇望する男たち。彼らは自国の端っこに建つ砦に勤務している。砦はあまりにも味気ない、夜寝ようとすると水槽から水が垂れる雑音に邪魔されるし、窓から見えるのは恐ろしいほど何もない砂漠だ。

 この砦に取り込まれたのは純粋な新人将校、ドローゴである。この小説は、時間が過ぎていくことの恐ろしさが描写されている。

 人生、映画やドラマで観るような「絶対こんな目に遭

もっとみる
最近買った読みかけの本たち

最近買った読みかけの本たち

 先日上野でご飯を食べた後ブックオフへ行ったら、財布の中に500円しかなくて真顔になった向井です。
 最近の読書の傾向というと、やはり海外ミステリーとエッセイを平行して読むのが主流になっている。家にいる時は無音だと落ち着かないから、猫の配信を流し環境音を流して読んでいる。

 『もうレシピ本はいらない。人生を救う最強の食卓』稲垣えみ子

 ブックオフでチラッと読んで一度離れてから、とある一文が脳裏

もっとみる
本の感想・推薦『暗いところで待ち合わせ』

本の感想・推薦『暗いところで待ち合わせ』

※このnoteは感想文ですが、推薦も兼ねているのでネタバレは含みません。

 個人的に『zoo』のイメージが強い乙一さんの『暗いところで待ち合わせ』を読んだ。本屋さんで平売りされていたのを、あらすじを読んで衝動買いしたのだ。平売りされていたから最近出版されたのかなと思いきや、2002年の小説だった。
 表紙も怖いしタイトルもホラーじみているが、趣向を凝らしたミステリーといった具合で、ホラー小説では

もっとみる
《読書感想》トリックのない人間観察型ミステリー

《読書感想》トリックのない人間観察型ミステリー

※あくまで感想文ですが、紹介も兼ねているのでネタバレは含みません。

 ミステリーを読むのが大好きだが、トリックが用いられるミステリーはほとんど理解できないまま読み終わる。そもそも人の話も、授業もネットも理解できないことが大半の私に、知恵者が考えたトリックなど通用するわけがない。時間のトリック→数字が覚えられない。何かしらの小細工→構造が理解できない。
 それでもミステリーが好きだ。混乱が多い日々

もっとみる
物書き志望、小説家のエッセイに震える

物書き志望、小説家のエッセイに震える

 トートバッグの中で下敷きが折れ曲がってしまった。すごく悲しい。高校生の時、下手したら中学生の時から使ってきたプラスチックの下敷き。本屋の文房具コーナーや、イオンにありそうな子供向けのスヌーピー柄、買い換えないとダメかな。新しいデザイン選ぶのめんどくさいな…適当に選ぶと後で使うのが嫌になっちゃうから、集中しないといけない。
 大人向けの粋な下敷きありませんか?ちょっと調べてみようかな。

 貫井徳

もっとみる
本日のつまみ読み

本日のつまみ読み

 カフェラテの泡が小さくパチパチ音を立てている。ここはブックカフェなり。久しぶりにやって来た。コーヒー成分の濃いカフェラテに胃の健康を捧げながら、かわるがわる気になる本を手に取る。

 レシピ本が読みたくて来たのだが、めぼしいものが見当たらず、結局panpanyaさんの漫画『枕魚』を読む。漫画と小説の中間という感じで、独特の世界観を味わえて楽しい。絵が抜群に可愛い。にぎにぎしくも時折、隙間風のごと

もっとみる
まだ読みたい

まだ読みたい

 2022年は例年よりたくさん読んだ。書くことに注力したために、普段読まないジャンルもどんどこ読んだ。また、名前は聞くけれど読んだことのない著名な作家さんの本も読んだ。
 私は長らくストーリーが凝ったものが好きだと思っていたが、この一年でとにかく文章が美しい小説が好きだと気がついた。自分が書く小説の理想も、美しく読み易い文章であることが必須だ!

 ずっと大好きな宮部みゆき、唯一『火車』だけ読んで

もっとみる