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上司の説教がピンとこなかった話

~価値観と目指すべき姿~

 わたしは今、紆余曲折あり、保険の営業をやっている。いや、やっているというのは語弊がある。初めて3ヶ月目の研修生だ。まだ一人ではなにも出来ない役立たずだ。しかし、資格も4つ取り、一通りの保険の販売は出来る状態なので、最近になって、お客さんと直接やり取りをするようになった。
 であるのだが、わたしは今まで営業経験は皆無だ。こちらから進んで売り込むという営業に必要な商売人根性は持っていない。わたしは基本的に相手を大事にしようと思った時、相手の意思を尊重する姿勢を見せる。それが人を大切にするということだと考えているし、もはや当たり前だとすら信じている。つまり、お客さんの希望なりなんなりあれば、それを曲げてまで売り込んだりしようとは思わないのだ。

 と、こういった考えをしているため、わたしの目の前で仕事をしている社長が、わたしが自分から担当を増やす考えで仕事をしていないと話があった。営業目的で電話をかけたお客さんが、わたしが不在の予定の時に来店されるというので、他の人間に引き継いでおくことを伝えたためだ。その日が駄目なら今から自宅に伺うことを聞いてみるべきだと。もしかしたら、わたしの担当のお客さんになってくれるかもしれないと。これは確かにその通りだと思った。営業ならば売るのが仕事だ。しかし、わたしがそれを言い出さなかったのは一つ理由があった。相手はかなり若い女性だった。営業目的とはいえ、40手前のおっさんが、若い女性の自宅に押し掛けるという発想にならなかった。SNSに保険の営業マンがそういう目的で自宅に上がり込もうとしていると揶揄したものが上がっていたのも記憶にあったからだ。そんなことを考えながら、お話を聞いていると、社長はこう続けた。「営業は人よりも数字を上げることにこだわるのが大事だ。お客さんを他の営業マンではなく、如何に自分の担当になってもらうかが重要なんだ」と。しかし、わたしはこの社長のご意見に本音を口にした。してしまった、という方が正しいだろうか。

 「わたしは、会社の功績になるのならば、それで良いと考えます」
 そう言った。

 わたしは、自分が評価を受けることにほとんど興味がないのだ。例えば、今回のケースでいうなら、わたしがきっかけになって来てくれるようになったお客さんが、他の営業担当になれば、わたしの業績にはならない。当然ではあるが、営業には各々ノルマがある。それについて、決算時ああだこうだという話があるのだ。営業は皆そうだろう。おそらくだが、今後それでわたしが数字を上げること出来ないのだとしても、わたしは気にならないだろう。そもそも、人よりお金を稼ぐことに価値を感じていない。そして、なによりわたしは、数字が上がっていないのだとしても、わたしが日々やっていることが無駄になっているのではないという考えをしている。職場の全員が関わり、会社の業績が伸びればそれでいいと考えているのだ。むしろ、組織とはそういうものではないか。そう考えてしまっている。

 それを聞いた社長は「その考えも一理あるが、営業は自身の数字を上げることに努力をするべきだ」と仰った。営業としての考え方を身に着けてないわたしは理解したことを伝えた。もちろん、人の考えなど簡単には変わらない。納得はしていない。自分だけの利益を考えて突き進むことに興味などない。

 その後、社長はわたしのいないところで長い間、電話をされに不在だった。、、、そろそろ正社員に昇格出来るかのところ。どうなるかな。


 正直、人には寄り添う在り方を好んでいるわたしです。向いてないのかな?とも思います。
 上で挙げていることに関することで、わたしは因果応報という言葉を信じています。自分の行いは良いことであれ悪いことであれ、自分に返ってくるという考えです。数字を上げようと上げまいと、わたしが行動を起こし、結果的にサービスが提供でき、会社、顧客に貢献できているのであれば、それは何らかの形で自分に返ってくる。直接的に給料に反映されないだけの話です。それで他の営業マンが自分より給料をもらうことを何とも思わないのか、と思いますか?どうでもいいです。お金は人の豊かさではない。これは価値観ですので、賛否両論あるでしょう。少なくとも、わたしのお金の対する考え方はそうなのです。生活するためにお金がある。確かに必要なものです。が、それは生活するためだけのお金があればいいとも言い換えることも出来ます。贅沢する必要はない。幸せは常に目の前にあります。気付かないだけです。

 わたしは時折、想像してみます。
 わたしが息を引き取る時、「楽しかったなあ!」と心から思えるには、どんな人生を送ったらいいのかと。
 その答えはまだ見つかっていません。
 ですが、その時に目の前に100億円あっても、そうは思えないことだけはわかります。
 わたしは、楽しまなければならない。
 そのために生まれてきたのだから。

では、また。
皆さんの行き先に明るい未来がありますように。

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