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高屋敷坂
2023年10月9日 10:49
足はふらつき鼓動する頭四肢はどれも痛々しかひぐまのように巣にこもりぬくぬくと晴天なるまで寝て待つや
2023年10月8日 11:27
風邪をひいた朝はまぶしすぎて ひどいひどい頭がおもく 地蔵のようからだは蒸されてあつくてさむい薬をのんだら よいよいよいくるくる混濁 咳ばらい
2023年10月7日 11:01
紙とペンだけでなにができるのだろう。書いた詩は証明した物語は掌のしわよりふえた。そしてなにがかわったのだ。ふと月夜の晩に考えた。その日は秋で風邪をひくぐらい寒くてひとりだった。その詩は自分のためなりその文学は自分のためなり正しい、正しい、正しくてしょうがない。でも一万枚書いたうちの一枚、二枚でも誰かに安らぎをあたえるそれができたら僕は君より、正直な人だ。
2023年10月6日 11:05
夜道を歩む街灯の明かりは蛍火か時間はすすみ 飯はさめ星月のしたで 跡をのこすあの娘はきっと 猫車にはねられてしまえよあの娘はきっと 猫
2023年10月5日 11:04
夜は無人という電灯の明かりだけが手がかりで月の明かりは御無用です夜は無人という己の意思だけはすてないでみえざる者は御無用です夜は無人という車の走音だけが安寧で耳なりの地震は御無用です夜は無人という虫の宴会だけは楽しみで戦闘機の爆撃は御無用です
2023年10月4日 11:48
秋はわびしいおちばが はらりと松の木 ちりちり秋はさみしい夏風 さよならこがらし どうも秋はたのしい赤くいろづく 果実たち冬のおとずれ 七輪の煙
2023年10月3日 11:13
さむくなったねええそうだね紅い葉の雨 ふる並木あいだあいだの 木立からあさい陽の光がさしている並木の影が星のよう秋の風は かわいていてふたりで肩をならべ 歩いてもへだたりがあるよう心がつめたい
2023年10月2日 11:19
白雪の朝 ほとぼりつかずつららのからだで 窓をみる家の屋根に 岩のような雪山々に 川のような雪原靴はひとつ 雪解けの跡を結露のしずくが 涙のようひとりさむく 火でもくべて小声ながらまつのくちびるはさかむけ
2023年10月1日 11:29
鯖は青くて 包丁のよう青い絵の具を 蛇行した腹に波が描かれて閃光のように 目をひとさし箸をいれてひとくちたべて脂と塩味をひろがして白米とともに腹をみたす嫌いになったのは十代の夏うたがいもなくひとくちたべて脂と塩味がひろがって白米とともに腹をめぐり胸やきげして気分が悪くなった鯖は青い
2023年9月30日 11:52
私の平穏がなくなるとき夜の波間 仕度はおわりはげしい命が あばれだす鮮やかな命と 初老の命あらそいあっても なにも生まん雷 地震 放火 豪雨どれもちがうどれもちがうそんな大層なものじゃない家が崩壊 いましがたそれはいつも夜の波間
2023年9月29日 11:42
秋の夕暮れにからす カアとないてすすき道が ゾワッとゆれるかえす言葉はない秋の夕暮れにからす ガアとないて稲畑が ザラッとゆれるみつめる先がない秋の夕暮れにからす カアカアないて松の木が ミシッとゆれるみたす幸福がない秋の夕暮れにからす ガアガアないて柳の髪が サアッとゆれる帰路は延々とつづく
2023年9月28日 11:44
雨の日の朝は ひとり雨の小槍のうつおとが頭痛とともに目覚めおき乾いた喉で ことはじめさみしい足どりで向かへば家族はいない家族はいない
2023年9月27日 14:21
ふみしめてゆく 秋の道落ち葉が朝からたむろしてシャクシャク カラカラ遊びだすなかむつまじい その姿ほほえみ木のした くぐってはひらりりらりと内気な落ち葉が 舞いおりる
2023年9月26日 11:21
さっそうとゆく 田舎自転車子どもたちは からかい追いかけ夏のすずしさを手にいれるお金もないよな土地だから青空そよそよ すすんでいる白卵ひとつで いっぽんをくれ赤卵ふたつで にほんをくれこんなに汗をかいたんだこれは褒美とおもいたいきらきらひかる アイスキャンディ