見出し画像

うつ病 コロナ以降。発病まで

はじめは対岸の火事のようだった未知の病。
そのうち、近隣の商業施設で倒れた人が搬送されたらしい等というまことしやかな噂が流れるようになった。

そして、ある日突然、オープン前の店先に行列が出来るようになった。
行列は日に日にのびた。
1番最初に出勤する私の車が駐車場に停まると全員が一斉に見るようになった。
出勤したばかりの私を「マスクは入荷しているのか」と人々が取り囲むようになるまで、そう時間はかからなかった。
みんながひどく苛立っていた。

近所のスーパーに買い物に行っても、「明日はマスクが入るのか」と怒鳴られることがあった。
毎日毎日、来日も来日も「マスクは入荷するのか」「いつ入るんだ」「本当は隠しているんじゃないか」と言われ、頭を下げ続けた。
日本中がマスク不足なのだ。
私にわかるわけないでしょう?と言いたかった。

入れば入ったで「サイズがない」「いくつまで買えるのか」と怒鳴られた。
「本当はあるんでしょう?」と、バックルームに入ってくる人まで現れる始末だった。

謝る度に仕事の手が止まる。
相手にとっては1日1回の「マスクある?」でも、私たちにとっては何十回のうちの1回だった。

そのうち仲間内でも苛立つ人が出だして、全員がピリピリしていた。
揉めることも増えた。
終わりが見えない恐怖。
日々感染者への誹謗中傷のニュースが流れ、自粛警察も現れた。
実際に駐車場に停まっている他県ナンバーに嫌がらせの張り紙が貼られたこともあった。
感染したら終わりのような空気。

そこに夫が問題を起こして会社を退職するという、我が家にとっての大事件が発生した。

いいなと思ったら応援しよう!

更年期鬱子の部屋
よろしければ、サポートしていただけると嬉しいです! 生きる励みになります。