『天晴!な日本人』 第111回 荻野吟子(4) 「人生の大転換」
吟子は古市に誘われて一八八四(明治一七)年、新富座で開かれたキリスト教の大演説会を聴きに行ったことを契機として、信仰心を持つようになりました。大演説会では女性の地位向上と、男女同権が説かれ、吟子は、「これだ」と目覚めたのでした。
新富座とは、九世市川団十郎の演劇改良運動の拠点となった歌舞伎の劇場で、新富町にあったのです。
一八八七(明治二〇)年六月、吟子は本郷教会の海老名弾正牧師の洗礼を受け、聖書を愛読書とするようになっています。海老名はこの時代のスター的牧師で、近くの明治女