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トランジスタ・ブルーの企て~集積回路は夢を見るか?
"はんだ" の匂いが眠りをさそうから…
お父さんは家の敷地内に作業用の小屋を建てた。南側のサッシの掃き出し窓から入ると、色とりどりのコンデンサがお皿に並べられているから、ここは遊園地みたいなんだよ。
緑色の基板にささったコンデンサの中に集められた情報には、私のDNAも入っているの?
「コレとコレを回路につないで "はんだ" で固定すれば、女の子が生まれるんだ」
そんなふうにして私も
遠くと信号(その2・完結)
もう電車の窓の外は日暮れて暗くなってきた。遠くに灯りの点った家の窓が、ちらちらと動いていく。あそこに人がいて、夕ごはんの支度をしたりしているんだな。
そういえば朝食べたきり何も食べていないので、お腹がすいた。
今はどの辺りだろう。と、思った時、母さんが荷物を網棚から下ろした。
「次で降りるから」
それだけ言うと荷物を座席に置いて、母さんはまた窓の外をながめていた。
止まった駅は無人で、
遠くと信号(その1)
ターミナル駅から西へ繋がる路線に乗り換えて、終点に着いたらそこから更に西へと向かう電車に乗り換えた。朝、家を出てからもう5時間くらい経っているんじゃないか。
電車は乗り換える度に人が減ってゆき、窓の外は山や畑ばかりになっていった。
今乗っている電車は向かい合わせになった座席に母さんと座って、1時間以上になる。
母さんは何も言わずにずっと窓の外を見ている。ぼくは退屈だけれど、話しかける雰
【入れ子になった夢の話】サンドイッチを食べた
おいしい サンドイッチのレシピ を
夢 で見た ので
目が覚めてから 台所 で実際に
そのサンドイッチ を作った。
後で食べ ようと
ラップ に包んで 冷蔵庫に 入れた。
庭に出て草木に水やりをして部屋に戻ると
彼が起きてきた。
一緒にサンドイッチを食べようと
冷蔵庫を開けたら無い。
「食べちゃったの?」
と聞くと彼は
「夢で食べた」
と言う。
「夢じゃないでしょ。今、食べたんでしょ」
永遠瞬間製造 Co.Ltd
ゆーじは町工場で精密機器の部品を作っている。旋盤を回して夏は汗だらけで。
ゆーじは僕の小さい頃を知っていたけど僕はゆーじを知らなかった。
初めて会った時に「ずいぶん大きくなったんだな」って言われて、知らない人だけど僕を知ってくれていることに安心したのを覚えている。
ゆーじの作る部品で街の中心にあるでっかいビルの耐震構造とかが造られているらしい。
ゆーじはすごい仕事をしている。ゆーじ