読みかけのお月様
ホウキ星の尾っぽを栞代わりにして昨晩読んだところまでを目印にしておいたのだが、さてーーー
この物語はあまりにもあっけなく終わりを迎えるので、実のところもうあまり読む気は失せてしまっていた。薄々は気づいていたはずの結末、それがどうにもお粗末で、やりきれなくなってしまうのだった。
ウソでしょ?みたいな事を散々繰り返したお陰で星は無尽蔵に増え続け、あっちでぶつかりこっちでぶつかりしているうちに火花のスパークによりエントロピーが増大し、逃げ場を失った熱エネルギーは地上にとどまりながら空気を暖め、巨大な風や大量の雨、雷を起こしたりした。
それもまだ周期的に起こるうちはよかったが、そのうちには突発的、予測不可能な発生となり、星自体も大量に流れたり燃え尽きてしまったりしたのだ。
そうなってもなお、星の運行自体は変わらないまま続行されていたため、増えすぎた星を減らすことはできず、犠牲になる星を救うこともできなかった。
30年近く前に起こったあのshakeでも、海岸そばにできた段差のミルフィーユ加減といい、海の中でかたむいた街灯さえ・・・
まるでそのまま気ままに歌っているような有り様だった!
「知ったこっちゃ無い」
ほんの僅かな温度帯と空気の層と巡る水、その条件下に於いてのみ存在可能なひ弱な生き物が、何もかもを自分たちのせいだと信じ、今さら元に戻そうとしたところで事態は全くちがうところで動いているのだから。
すべからく変化は訪れる。時間と空間が綾なすこの場において、それは始まりの時からずっとそうだ。百年も生きない身の上では、自分が生きているうちに何かしらブッ飛んだことでも起きてもらわなくては元が取れない、、、というのは、「それなりのもの」を見せてくれなくては、この特別シートを張り込んだ甲斐が無い!
とは言え返金システムなどは無いし、そもそもブッ込まなければここには来られない。
まぁしかし、興行主からすればそんなものは最初から度外視で、せいぜい後から教科書あたりに記される感じを想像してみたところでショボいので、でもまあ、ガッカリさせるのも気がひけるから、デカい花火のひとつやふたつはサービスしときましょうかね。
どーーん 🎇🎆🌠
たった今、立っている場所を覚えておきたまえ。そこは100万年前だか100万年後だか知らない、時間の目盛りがスライドした時にも、変わらずに、そこにある。
生まれた星は、ただひたすらに点滅し、光信号を送る現象で、そこで起こったどんな出来事も一夜の夢の如く、である。
この場所を今夜もわずかな街灯の灯りが照らしている。変わらないものがそこにある。
だから安心して、いいんだよ。