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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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2023年6月の記事一覧

なんでこんなに皆面白い小説書けるんだ!「ネイティブ・サン」と「我が友、スミス」

なんでこんなに皆面白い小説書けるんだ!「ネイティブ・サン」と「我が友、スミス」

重すぎる表紙とか「黒人作家の存在を知らしめた問題作!BLMの原点!!」とか、そういうの関係なく読んでくれ。ぼくは文庫はカバーとって裸で持ち歩いている。サスペンスとして目が離せない面白さと、作者の全人生を刻み込んだようなメッセージに圧倒された。

主人公は二十歳の黒人男性で、白人家庭に使用人として働けることになる。
そこがめっちゃいい家庭で、お嬢さんなんて
「私は肌の色に関係なく接するし、あなたたち

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【芥川賞】首里の馬、ババヤガの夜に震える

【芥川賞】首里の馬、ババヤガの夜に震える

#首里の馬

えっ!?こんな芥川受賞作あった?
と思ったら遠野遥「教育」と同時受賞で、向こうの話題性に隠れていたらしい。

地味な女の人が沖縄の資料を整理していたら馬が来たからどっか乗っていくというあらすじです。
世間と合わない人が、すぐには役に立たない情報を管理して保存する。
今「役立たず」「低収入」「陰キャ」とか言われてる人も、今1円の価値もないおもちゃや誰も見向きもしない情報も、すべて宇宙規

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【読書】火垂るの墓は急にガンダムにならない「宇宙の戦士」(改稿)

【読書】火垂るの墓は急にガンダムにならない「宇宙の戦士」(改稿)

ロバート・A・ハインライン「宇宙の戦士」新訳版を読みました。

「パワードスーツ」を着て戦う小説で、数多くの漫画、アニメに影響を与えています。刊行されたのは1967年。
カバー絵のいかにも「ちょっと前のロボットアニメ」っぽいイメージで読んだ。(原題がSTARSHIP TROOPERS)

そのイメージからすると、すごいギャップがあった。

「機動歩兵」部隊の主人公は、金持ちの父に歯向かい、勢いで軍

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「つけびの村」が他人事とは思えない

「つけびの村」が他人事とは思えない

限界集落で行われた連続放火殺人事件の犯人を取材したノンフィクション「つけびの村」が、まあ怖かった。恐怖を与えるために書かれた本じゃないのに、不安になるツボを刺激する内容だった。
それは、ぼくが電車内で叫んでいる「どうかしてる人」を見ていられないのと関係がある。
そういう人が、向こう側の人間とは思えないのだ。

「つけびの村」では、連続放火殺人をおこして、殺害予告のような川柳を残した犯人の印象を聞い

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