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タニグマー小説集2

16
短い! 早い! すぐ終わる! 短小(タニグマー)小説です。すみません。
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記事一覧

衆院選、自公惨敗でした

衆院選、自公惨敗でした

オフィス。コーヒーブレイク。

マリコ部長(以下マ)「ふああああ」
みつき(以下み)「大きなあくび」
マ「衆院選の開票速報、零時過ぎまで見ちゃったから」
デスクの上には衆院選の結果を報じる新聞。
「自公惨敗」の大見出し。
み「私も遅くまで見てました。ふああああ」

マリコ部長の部下で、みつきの後輩のエイコがやってきた。
エイコ(以下エ)「まあ、はしたない。年頃の娘が大口開けて。のどちんこ丸見えです

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衆院選、結果は如何に

衆院選、結果は如何に

オフィス。コーヒーブレイク。

マリコ部長(以下マ)「今度の日曜日は衆院選の投票日ね。行く?」
みつき(以下み)「はい。行きました」
マ「あら。期日前投票?」
み「はい。この前、出勤前に役所の投票所で。けっこう途切れなく人がいましたよ」
マ「期日前、前回より少ないって新聞に書いてあったけどね」
み「だから、スカスカかなと思っていたんで意外でした」

マリコ部長の部下で、みつきの後輩のエイコがやって

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発情列島

発情列島

浜の真砂は尽きるとも性犯罪のタネは尽きまじ。
2024年5、6、7月の新聞記事などから犯罪者の噴飯物のけしからん言い訳、脅し文句、動機、被害者の悲痛な叫びなどを拾いました。
暑さが増すにつれて人類の性欲もヒートアップ。日々わんさか、性犯罪のオンパレード。
もうタマランチ会長ですわよ囧r
みつきの感想付き。

「ホストクラブの売掛金(ツケ)の支払いに困って応募した女性もいた」
(5月10日、東京新聞

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滑稽詐欺メール

滑稽詐欺メール

みつきのiPhoneの「メッセージ」(SMS)に大量に送られてくる迷惑千万なクズ詐欺メール。
削除するのも難儀なわけさ。余計な手間を取らせるんじゃねーよ。やー、たっくるさりんどー、ふらーが!(おんどりゃー、ぶちのめすど、このアホンダラ!)。

こんなブルシットジョブに日々勤しむ方々って、毎日が充実しているの? 生きている!って実感できてるの? 仕事終わりのビール、うまいの?

こんな、あからさまな

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散歩

散歩

風がさわやか。家族で散歩に出かけた。小さな公園に向かう住宅街の狭い道。

パパ「車が来たよー、はじに寄ってー。ほら、危ないからねー」
車が通り過ぎる。
ママ「怖かったねー。車や自転車は怖いですよー。だから言うことを聞きいてねー」

二人は、イヌに言った。

ママ大嫌い!

ママ大嫌い!

「ママ大嫌い!」が口癖の、
もうすぐ六歳の長女。
祖父母の家で初めての、ひとりお泊まり。
元気に遊び、ママの監視がないのをいいことにYouTube見放題だったそう。

でも、
ご機嫌だったのは夕飯まで。
寝る時間になると、心細くなったのか、泣き始めたのだとか。
祖父母がなだめても、
「ママはどこ? ママがいいよー」
と涙が止まらない。
そのうち泣き疲れて寝てしまいましたとさ。

やっぱりママが大好

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ドーナツ

ドーナツ

祖父母がドーナツを買って来た。
五歳の長女はチョコ。もうすぐ二歳の次女は抹茶を選んだけれど、一口食べてやめてしまった。
「なんで抹茶を選んだんだろ」
首を傾げる大人たちに、
長女が「マスカットだと思ったんだよ」。
「ああ、大好きだもんね」
長女の名解説に大人たちは目を細めたのでした。

※「星々」様の「春の星々140字小説コンテスト」に応募した作品です。
note掲載にあたりに加筆修正しました。

鬼を喰う口

鬼を喰う口

ガチャリ。
玄関の開く音。
「なんか来たー!」と叫ぶ母。
姉の手を引き、リビングにいた私のところに駆けてくる。
不穏な空気を感じ、頭が空っぽになる。
三人で玄関の方をうかがう。
暗がりに大きな人影。ゆっくり近づいてくる。
母と姉が大声をあげながら、何かを投げつけている。
人影が灯りの下に入る。
真っ赤な顔。口から牙。両手を上げて向かってくる。
「ぎゃー」と大泣きする私。
視界が真っ黒に染まる。

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電熱器

電熱器

♪春のこもれ陽の中で♪

ラジオから森田童子「ぼくたちの失敗」が流れてきた。
いまにも消えそうな、ささやくような歌声。

♪ストーブ代わりの電熱器 赤く燃えていた♪

貧乏学生だったあの頃。
木造モルタルアパート「富士見荘」の2階。(富士山が見えるわけではない)
風呂なし、台所・トイレ共用の四畳半一間。
窓を開けると、目の前に大家さんの庭の柿の木。(どれも渋かった)

朝、電熱器でお湯を沸かし、コ

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寝室

寝室

夜中。
隣に寝ている愛しい人が、
くっ、くっ。
くしゃみを2度我慢したあと、
ぷぅ。
小さなオナラをした。
私は、笑いを堪え、体を震わせた。

愛しい人は寝息をたてている。
私は、愛しい人に脚を絡めた。
あったかい。
突然、
ひえええー。
愛しい人の叫び声。

そーです。
私が、冷え性なんです。

乙女のお色気かるた

乙女のお色気かるた

みつき、年末年始はマリコ部長のお家におじゃましました。もちろん後輩のエイコも一緒。
年越しお泊まり女子会です。

北京ダックとお寿司をつまんで、紅白歌合戦にツッコミなど入れながら(首振りダンスむずい、けん玉、途中で失敗してただろ、キャンディーズの親衛隊がいまやみんな老人だー、生田ちゃんは坂道系では一番の大物になったわね、だのだの)、ビール、ワインで泥酔。

新年は朝からおこたに丸まって、お餅、おせ

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スマホとビンタ

スマホとビンタ

オフィス。コーヒーブレイク。
マリコ部長、スマホで小説を読んでいる。
みつき(以下み)「なに読んでいるんですか」
マリコ部長(以下マ)「ん? 青空文庫。岡本かの子の『越年』(1939)。年の暮れ、終業時間。男性社員からいきなり平手打ちされて憤慨するOLのお話。そのまま会社を辞めてしまった彼を探し回るの」
み「おもしろそうですね。なんでビンタされちゃうのかしら」
み「それは読んでのお楽しみ」
み「あ

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新聞大好き

新聞大好き

みつき、新聞が大好き。
東京新聞を定期購読して、時々コンビニで朝日新聞を購入している。
新聞は衰退産業だ、将来消滅するなんて週刊誌でけなされているけれど、情報、知の宝庫ですよ。

例えば12月19日(火曜日)付の朝日新聞。
こんなにたくさんの記事が気になったり、ためになったり、切り抜いたりした。

まずはニュース。
「安倍派・二階派きょう捜索」「自民支持率下落」。
当然よ。この十数年、政治に関する

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盗まれた日本語

盗まれた日本語

オフィス・コーヒーブレイク。
みつきはいま、いつものようにマリコ部長とおしゃべりしています。

マリコ部長(以下マ)「みて。家の机、整理してたら引き出しからこんなのが出てきた」
みつき(以下み)「電車の切符? 幸福行き!」
マ「そう。愛国駅から幸福駅へ。北海道のよ。『愛の国から幸福へ』。1970年代にブームになったの。小学生かな、家族で旅行に行った時に買った」
み「なんて素敵なんでしょう」

みつ

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