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「詩の本」を読んで

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2021年2月からnoteに自作詩を投稿しています。詩を書きだしたのがその前年20年12月から…という詩も文学もまだまだ勉強途上。そんな私が読んだ古今の詩集、詩に関する本を読んだ…
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#現代詩

■カッコ悪い「現代詩」はコレだ!

■カッコ悪い「現代詩」はコレだ!

「詩の本」を読んで(33)ものすごく久しぶりに、詩集のレビューを書く。
昨年9月以来だが、その間に詩集を読んでいなかったわけではない。感想を残しておきたい、と思う詩集、詩、詩人に出合わなかったのだ。いや、あったかもしれないが、自分の詩も納得がいくものが書けず、ましてや他人の詩について書く気になれなかった。

最近読んだ2冊について、埋め草的に書き残す。

◇「感情の配線-森雪之丞自選詩集-」
(開

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■詩人は…カッコよくなきゃ…

■詩人は…カッコよくなきゃ…

「詩の本」を読んで(32)
◇「詩人吉原幸子-愛について」

(平凡社コロナブックス 2023年6月刊)

僕は現代詩を読み、書くようになってこの11月でようやく3年…という永遠のビギナー詩人である。
これまで、現代詩のアンソロジーを何冊か読んでいながら、この詩人・吉原幸子(よしはらさちこ、1932ー2002)については素通りしていた。
きっかけは何だったか忘れたが、詩の実作講座で名前を聞いたか、

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■心のささえである自分の詩

■心のささえである自分の詩

「詩の本」を読んで(31)

◇黒田三郎「詩の作り方 」 明治書院、1993年5月刊)

僕は2020年暮れから詩を書き始めた。読み始めたのもその1-2カ月ほど前で、まだ3年に満たない。
何度も書いてきたが、「現代詩」に関心を持ったきっかけは、北村太郎の存在をたまたま日経新聞の文芸欄で読んで知り、その半生を描いたドラマ「荒地の恋」(WOWOW制作、アマプラ配信)を見て、詩と詩人たちの生き方に興味を

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■平易であることの、どこが悪い?!

■平易であることの、どこが悪い?!

「詩の本」を読んで(29)◇相田みつを「にんげんだもの」(文化出版局、1984年4月刊)

現代詩実作講座に2年余り、回数にして28回通っている。
ご指導いただいている大先生が、一度だけ相田みつをについてぽつりと漏らしたことがある。
どういう言い方をしたのか、はっきり思い出せないが、ネガティブな言い方であった。

Wikipediaの相田みつをの項には、賛否両論が書かれており、その批判的な言い方が

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■戦争体験…働くことの「重み」

■戦争体験…働くことの「重み」

「詩の本」を読んで(28) 石垣りん◇「朝のあかり-石垣りんエッセイ集-」(中公文庫、2023年2月刊)

詩に比べると、石垣りんのエッセーは強い印象を残さないが、平易に素直な気持ちを書いているという点で、この詩人には好感を持つ。

◇伊藤比呂美編「石垣りん詩集」(岩波文庫、2015年11月刊)

今年出たエッセー集だけ取り上げるつもりだったが、今週に入って、会社を辞める決断(会社から契約更新しな

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■こんな読み方では 詩人さんに失礼

■こんな読み方では 詩人さんに失礼

「詩の本」を読んで (27)「詩を読まねば、詩集を読まねば」――そう思いながら、違うジャンルの本に手を伸ばすことがほとんど。
今、小説「水平線」(滝口悠生著)を読んでいて、詩のほうはおろそかになっている。
それでも、ついつい図書館で借りてしまい、部屋の隅に積んでおき、返却期限ギリギリに飛ばし読みしてしまう本がいくつもある。

そうして読んだのが下記の2冊。ともに、同じ作者である。

◇岸田将幸「亀

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■現代詩に夜露死苦

■現代詩に夜露死苦

「詩集」を読んで (24) 不定期刊公立図書館のほとんどが仕事納めの12月28日で終わる中、都内の某区立図書館だけが大みそかまでやっていた。
他に行くところがないためか、大みそかのそこは案外に混んでいた。ぼくもその一人で、地元の図書館に行けないので、電車に乗って都心をかすめ、その図書館に行った。新聞だけ読んで帰ろうと思ったとき、詩の棚を冷やかすように眺めていたときに手にした「詩集」2冊のレビューで

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■マネして、模倣して、学ぼうか

■マネして、模倣して、学ぼうか

「詩集」を読んで (22) 不定期刊◇詩・池井昌樹 写真・植田正治
手から、手へ 集英社 2012年10月刊

内容

ぼくの感想

図書館で偶然手にした、この詩人の下記2点の詩集を読んだ後、この写真付きの「絵本」を読んだ。
写真と詩が一体化し、ボリュームは少なくとも、味わい深い1冊になっている。
植田正治という写真家は、つい先日、日経新聞の記事「写真家がいた場所(10)植田正治『パパとママとコド

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■こんな「詩の教室」で学ぶか…

■こんな「詩の教室」で学ぶか…

「詩集」を読んで (21) 不定期刊◇松下育男
これから詩を読み、書くひとのための詩の教室 思潮社 2022年5月刊

ぼくの感想

この本は「詩集」ではないが、新聞の書評で読み、すぐに図書館で予約、借りて読んだ。松下育男という詩人もこの本で初めて知った。
400ページを超えるそこそこ厚い本だが、ご本人が「詩の教室」で話した内容を文章に起こしており、読みやすい。
長年、外資系企業のサラリーマンとし

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■水沢なお…ちょっとキニナル

■水沢なお…ちょっとキニナル

「詩集」を読んで (20) 不定期刊◇三角みづ紀
オウバアキル 思潮社 2004年10月刊

ぼくの感想

筆者はこの処女詩集の出版時には23歳。04年第42回現代詩手帖賞を受賞、第10回中原中也賞受賞。
その後、14年に、第5詩集「隣人のいない部屋」で第22回萩原朔太郎賞を最年少受賞…と華々しい詩歴を誇る。
僕はこの詩集で、初めてこの詩人を知った。
精神科への通院歴があることなども詩の材料にとっ

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■次の機会に…いや、次はないな

■次の機会に…いや、次はないな

現代散文自由詩人の独り言(65)
「詩集」を読んで (19) 不定期刊◇小笠原鳥類
テレビ         思潮社 2006年6月刊 
現代詩文庫222    思潮社 2016年4月刊

この2冊、途中で投げ出した。
「テレビ」は、『ひろがるテレビ、イソギンチャク色彩カラーテレビ、鮮やかな花のような生き物達を集合させるテレビ…。大量の色彩破片の乱反射にはじまる未来の「放送」10篇を収録。『現代詩手

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■頭がイイ人が書いた詩…らしい

■頭がイイ人が書いた詩…らしい

「詩集」を読んで (18) 不定期刊◇望月遊馬 詩集2題
焼け跡         思潮社 2012年7月刊 
水辺に透きとおっていく 思潮社 2015年5月刊

いずれも、この詩人の詩集で図書館にあったものを借りて読んだ。
「焼け跡」の惹句に曰く「洗いざらしの焼け跡へようこそ!  ゼロ年代の現代詩が産み落とした至高のコトバの果実――。第44回現代詩手帖賞を受賞した詩人・望月遊馬による第2詩集」なん

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■「わからんでいい」というモノ

■「わからんでいい」というモノ

「詩集」を読んで (17) 不定期刊◇零余子回報 森本孝徳 思潮社 2015年10月刊

月刊詩誌「現代詩手帖」の新人作品投稿の選者は6月号に代わる。
毎年5月号で、年間最優秀新人詩人「現代詩手帖賞」を選び、翌月から新たな選者2人が担当するという流れ。
この手帖誌を読むようになったのがおととし暮れからだから、まだ2年にも満たない。昨年3月から投稿し始め、まったくカスリもしないというのは何度も書いて

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■90年前の「現代詩」を見つけた!

■90年前の「現代詩」を見つけた!

「詩集」を読んで (16) 不定期刊◇左川ちか全集 島田龍編 書肆侃々房 2022年4月刊23歳と10カ月余りで亡くなった、女性詩人の詩集、英文詩の日本語訳、散文、日記などを収録した、研究者による本である。
亡くなったのが1935年。生まれた1911年2月と同じなのは、元米大統領のレーガン。映画監督黒澤明は1学年年齢的には上。
左川は、日中戦争、太平洋戦争のことも見聞きしないまま、何編かの詩、翻訳

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