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小説

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2021年7月の記事一覧

一人と六姉妹の話 11

とりあえず仕事とは全然関係ない場所に行こうと思った。それで東畑に目を付けた。荒れ果てた家…

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一人と六姉妹の話 10

そして実際、皆ここが苦手だったのだろう。祖父の兄弟は十人もいたし、嫁とその子供たちもいた…

一人と六姉妹の話 2

どげなっちょうと? あんた知っちょった? 当然、同様の連絡が入った父の姉弟やいとこたちも…

一人と六姉妹の話 3

姉妹の父、つまり私にとっては曾祖父に当たる人のことを、おぼろげな影のような印象でもいいか…

一人と六姉妹の話 4

ん? ちょっと待って。何か今物騒な言葉が出てきたね。勘当? 私今勘当って言ったね。勘当さ…

一人と六姉妹の話 5

いや、先走ってはいけないな。何でも物語にしようとするのは私の悪い癖だ。都合よく話を動かし…

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一人と六姉妹の話 6

私はどこから来たのか。私は歴史の中の、世界の中のどこに位置づけられるのか。一体私は誰の子供なのか。つまりはそういうことなのだ。考えれば考えるほど分かることが何もない。孤立無援のみなしごのような気持ちになってしまう。 まあしかし、愚痴を言ってもしょうがない。1940年代を最近だという感覚からすると、生命体としての人間の寿命などほとんど一瞬みたいなものだ。今私の傍らで歌っているニック・ドレイクなんて26で死んでいる(に、26……!)。自分の置かれた文脈がどんなものであれ、何かを

一人と六姉妹の話 7

平日に毎日預けられている母方の祖父母の家であれば、一つ上と一つ下の従兄弟たちがいて、ご陽…

一人と六姉妹の話 8

しかし考えてみれば、十五、六で祖父を産んだ曾祖母はこの当時まだ七十代のはずで、そんなに言…

一人と六姉妹の話 9

……あれ? スミエさん? この人が? 何となく、運命に抗えず、若くして泣く泣く嫁いできた…