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独書思想史

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僕の読んだ本のメモと一部にイシューを見つけ出し答えを求めようとすることを試みるマガジンです.
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記事一覧

人生の大一番、そんな9、10月

人生の大一番、そんな9、10月

高校三年生の最後の夏が終わり、着々と進路が決まっていく時期。僕も、他の人に負けじと勉強に励む日々。

8月が過ぎ、9月、10月と時間は過ぎても暑さはずっと付いてくる。「付いてくる」が正しい日本語なのかはわからない。だけど、10月の下旬を迎えた今も二の腕の赤い部分が痒い。

新書・単行本

渋沢栄一氏著『論語と算盤』(守屋淳訳)現代日本の経済の父と呼ばれる渋沢栄一は論語の言葉と商家の算盤を掛け合わせ

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色々忙しくて。。。8月

色々忙しくて。。。8月

今月1ヶ月の読書の感想と共に本を読んでくれる人が増えればいいなという思いで記録をつけています.選書の参考程度になればいいなと思っています.僕のTwitterの方で付けている記録を元に一部改変しながら書いています.下記にリンクが僕のアカウントになります.(よかったらフォローして友達になってくれたら嬉しいです.)それでは、

単行本・新書編

佐藤 優,宮家 邦彦氏著『世界史の大転換』31日未明にハマ

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世界史の大逆転が見えた20240731

世界史の大逆転が見えた20240731

「イランでハマス最高幹部イスマイル・ハニヤ政治局長が暗殺」

7月31日未明に知らされた一報は世界全体を震撼させた.

イランとイスラエルの関係悪化は1979年にイランで起こったイスラム革命に遡る.

当時、イランは1925年から続くパフレヴィー王朝による独裁政治が長く続いていた.その後イランに眠る莫大な天然資源を使い米国との貿易を行うがパフレヴィー一族による資源独占が民衆に怒りを蓄える. 

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Monthly 読書days 文月編

Monthly 読書days 文月編

今月1ヶ月の読書の感想と共に本を読んでくれる人が増えればいいなという思いで記録をつけています.選書の参考程度になればいいなと思っています.僕のTwitterの方で付けている記録を元に一部改変しながら書いています.下記にリンクが僕のアカウントになります.(よかったらフォローして友達になってくれたら嬉しいです.)それでは、

新書,単行本編

クリス・アンダーソン著のLONG TAILロングテールはニ

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イギリスの失敗はグローバル化の逃避だったのか

イギリスの失敗はグローバル化の逃避だったのか

2016年、イギリス首相のキャメロン氏は頭を抱えていた.EU離脱を問う国民投票で離脱派が全体の51.89%を占め、残留派に僅差の差で上回ってしまったからだ.

当時のキャメロン首相の思惑にはEU離脱の予定は入っていなかった.EU残留派が勝利し、EU離脱派が多かった理由を使い、EUに対して優勢に働こうという考えがあった.

しかし国民投票の結果は離脱、キャメロン首相はEU脱退への道を進まざるを得ない

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ペストが作り出した無造作な社会

ペストが作り出した無造作な社会

“パンデミック“

2020年を代表する言葉といえばコロナによって破壊された社会を想像させる.社会が目指した団結した世界、一つの世界が蔓延を助長させ、偉大な国の自由の女神像の前は疫病によって無惨にも死んでしまった人たちが並べられた.疫病が人類を殺していくスピードに埋葬が間に合わなかったのである.コロナは死者の前で泣く権利も与えられない.泣く時間も与えてくれなったのだ.

世界中の人々が“ステイホー

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21世紀に赤い繭は否定できるのか

21世紀に赤い繭は否定できるのか

1950年の大作、安部公房の『赤い繭』は今でも多くの人に読まれている作品の一つだ.

この話のキッカケは今年が安部公房の生誕100周年ということで書店に特集コーナーが設置されていたところから始まる.

安部公房といえば第二次戦後派の大岡昇平『俘虜記』や堀田善衛『広場の孤独』などと一緒に知られる文学会のスーパースターである.

最近では国語の教科書に掲載されていることもあり、名前だけでも聞き覚えがあ

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自己認知で出来上がった歴史の修正

自己認知で出来上がった歴史の修正

「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」

高校受験を振り返ってみれば社会が一番暗記に苦労した思い出が蘇る.いくら覚えようとしても既にインプットした情報でストレージが一杯.記憶容量を増やすなんて物理的変革がない限り無理だ.

そんな苦しい思い出のある社会という科目だが、この本を見れば多少は解消される.

まず僕らのやっている歴史というのは時系列が存在して、そこに名前をプロットしインプットするという作業

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2024年のマエストロに思うこと

2024年のマエストロに思うこと

「年老いた者が賢いとは限らず、
年長者が正しいことを悟るとは限らない。」
『旧約聖書ヨブ記』

旧約聖書の一部として編纂されたある男の人生日記.

神がある男の信仰心を試すために試練を課す物語なのだが、その課題は男を苦難の道に導き、人の死や自分の不幸を味わう事になる.そんな男の苦難の物語の一説である.

僕はこの文章を見て勝手に今の日本と重ね合わせてしまった.

接客が気に食わないと文句をいう老人

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行きたい世界が家の中にある世界

行きたい世界が家の中にある世界

「自由にどこにでも行ける世界」

僕の小学生の頃にずっと憧れれた世界だった.ドラえもんが四次元ポケットから“どこでもドア“を出してくれて「今日は暑いから海に行こう!」「今日は寒いからタイに行こう!」なんて世界を真剣に考えていた. 

でも小学校高学年にもなれば面白くないほどに現実が見えてきてしまう.

僕は海外に住んでいた時、休みの時期になれば必ず旅行に行っていた.みなさんもご存知の通り国境を越え

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『仕事選びのアートとサイエンス』

『仕事選びのアートとサイエンス』

本屋に行くと大抵置いてある転職関連のビジネス書.

でも学生の僕には全く関係のない事だ.まだ悠々と高校生活を楽しんでいるし仕事は自分の好きな事をっていう漠然なイメージしか持っていない.

でも社会では転職が正義かのように促す風潮が強い.
スマホを開けば転職の広告,テレビを見れば転職の広告.なんだか大人になったら転職するのが正しいかのように思えてくる.

それに転職は当然の事ながら歳をとるにつれて難

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『ポピュリズムとは何か』から見える日本の危機感

『ポピュリズムとは何か』から見える日本の危機感

水島治郎著『ポピュリズとは何か』から見える現代のポピュリズム的動向について少し考えてみたい.近年、ポピュリズムの概念が普遍的な理解として広まっている.しかしポピュリズムの認識はいずれも「悪」や「扇動」「独裁」といったデメリットの部分の認識が強いと感じる.

最近急激に支持層を増やしていった「れいわ新選組」や「NHK党」は正にポピュリズム政党に当てはまる.さらに遡っていくと元大阪市長の橋下徹氏が創設

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『自在化身体論』は「自動化」と「自在化」 

『自在化身体論』は「自動化」と「自在化」 

稲見昌彦教授らによる『自在化身体論』.稲見教授と言えば透明なマテリアル「光学迷彩」の研究で有名だが、この本の中では人間の拡張可能性について興味深い話をしている.

この本の中で取り上げられている「自動化」と「自在化」と言う考え方.最近注目を集めている完全自動運転やルンバといった掃除機は「自動化」に当てはまる.そして自在化と言うのは人間の身体性の限界を超越したアプローチを取ることだと思う.

例えば

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『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか?』は知性があって生まれるセレンディピティ

『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか?』は知性があって生まれるセレンディピティ

大黒達也氏による著書『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか』は人間の脳メカニズムに基づいた創造性プロセスを分かりやすく紹介している.この芸術的創造は芸術のみならず仕事におけるアイデアや新しい発見を助長する際にも有効な手立てである.

そして創造性において最重要なのが「知性」である.この知性を基に創造的とは何かを考えてみたい.

記憶は2種類の大きな枠組みで捉えることができる.「潜在記憶」と「健在記

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