『仕事選びのアートとサイエンス』
本屋に行くと大抵置いてある転職関連のビジネス書.
でも学生の僕には全く関係のない事だ.まだ悠々と高校生活を楽しんでいるし仕事は自分の好きな事をっていう漠然なイメージしか持っていない.
でも社会では転職が正義かのように促す風潮が強い.
スマホを開けば転職の広告,テレビを見れば転職の広告.なんだか大人になったら転職するのが正しいかのように思えてくる.
それに転職は当然の事ながら歳をとるにつれて難しくなってくる.歳をとった老ぼれジジイを採用するリスクを取るメリットはない.
20,30代のうちに転職をする.それが今の社会で求められている事っぽい.
僕も転職に対するイメージは悪いものではなくて,自分の合う職場を見つけるために転職は素晴らしい選択肢の一つだと思う.
でも”選択肢の一つ“が重要で他にも沢山の選択肢はあるし続けるのも一つだと思う.
『若者はなぜ3年で辞めるのか?』でも触れた若者とおじさんたちの壁は今も健在で常に見張っている感覚がある.
若者は仕事を舐めてるというおじさんと自由にさせろと言う若者.
僕は若者側にいるけど主張はどっちも分かる.ジェネレーションギャップを感じる事は私生活で何度もあるし僕の中の常識が全く通用しない壁を感じる時もある.
若者側に立って言うならば,会社という共同体に属するストレスが嫌でたまらない.「今までの文化や風習があるから」と言う理由で画期的なアイデアも排除されてしまう.
だから自然と自由な場を求めたくなるのかもしれない.
この構造はずっと変わらない超えられない壁でもあって生きてきた背景が違うのだから仕方ない.
ちょっとした機会で総理大臣の列伝のようなTBSの動画を見た時に,中曽根元総理は明治のおじさんたちを批判した.
だったら今の令和を生きる若者は“いつまでも平成のおじさんたちに仕事を任せてられない”くらいの勢いで言っていいかもしれない.
壁は超えられないんだから今までの戦士からノウハウだけ貰って「後は俺らに任せてくれって」
選択肢が多いから
今高校3年生になってみて選択肢の多さに驚く.
僕の学校は少し特殊で美術系,理数系,社会系とか多種多様すぎる人たちが集まっている.
だから進路となれば四年生大学が一般的ではなくて美大だったり専門大学だったり....
昭和に行けば「男は四年生大学一択だ」なんて言ってくれるから選ぶ必要はない.
進路決まっていることは嬉しいことなんだけど,進学先を自分で決めたいっていう気持ちも何処かある.
自分でも嫌なほどいい加減なヤツだなって思う.
選択肢が多いことは自由が増えることって思われがちだけど実際は「違うかも」というギャップに対する不自由さの方が感じている人が多いと思う.
本書でも転職してから「やっぱ違うかも」といってまた転職する例を取り上げている.職を転々とし過ぎると逆に不自由さが増していき,働くことへの意欲も社会的立場も弱くなっていく.
だから重要なのは「転職をする」ことではなくて「タイミング」を見極めること.
僕は何かを決心してから始めるのは早いんだけど辞めるスピードも人一倍早くて「飽きっぽい人」なんて言われるけど,実際は気持ちが落ち込んでいるだけで、続けたらハマるかもしれない.
心理学研究で有名なカレン・ライビッチ教授の主張に「レジリエンス」がある.一般的にはポジティブ心理学を背景とした回復力や適応力、順応力をレジリエンスの定義としていう.
要は一度落ち込んでいても,その後に外的影響や内的影響によって回復するという主張になる.
プロジェクトを進めていて少しダルく感じる時期があっても,その後に褒められたり新しい発見があればやる気は出てくる.
やってやろうっていう気持ちがどこからか湧いてきてやる気に満ち溢れる時もある.
僕も何度かレジリエンスによって助けられた時があったし,後々になって「辞めなくてよかった」って思う機会は何度もあった.
だから何か物事をやめる時は「すぐに辞める」選択肢じゃなくて「もう少し」っていう選択肢があってもいいと思う.
常に「辞めて新しい事を」って言われる社会は実は自由じゃなくて不自由なのかもしれないって思ってる.
隣の芝は青いなんて言うけど実際は毎日欠かさず手入れしていて大変な労力を注いでいるかもしれない.