#読書感想文
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜
一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。
ルキノ・ヴィスコンティをはじめ、これまで四度も映画化された作品。
「どうやらタイトルと内容が一致していないらしい」
そんなイメージぐらいしか持っていなかったけれど、光文社古典新訳文庫に原作があったので手に取ってみました。
本書はアメリカ犯罪小説の歴史に名を刻んだ一冊。著者はジェームズ・M・ケイン。
フランス恋愛小説の最高峰と呼ばれる『アドルフ』(コンスタント)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜
一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。
人生は選択の連続であって、現状維持だとしても自らの意思で「そうしている」。何か新しく行動を起こそうとすると緊張で身体が震えたりする。この現象は遺伝レベルのアラート。どうやら人間には「自己保存の本能」が備わっているらしい。
こういう自己保存の本能だとか、回収ができなくなったコストの投下が意思決定に影響を
『嵐が丘』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜
一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。
著者のエミリー・ブロンテは29歳で『嵐が丘』を出版し、肺結核を患い30歳の若さで亡くなった。
イギリスの片田舎で魂を削りながらしたためた一冊。生涯で小説はこの一編のみ。彼女の死後、『嵐が丘』は世界文学を代表する一冊と称されるまでに至った。
出版時の著者と、いま読者の自分は時代は違えど29歳の同い年。
「見るなよ!」と言われたら確実に見るフラグ!『古事記―マンガ日本の古典』(石ノ森章太郎)
漫画界の巨匠であり学習漫画のパイオニア・石ノ森章太郎。足かけ5年の大事業『マンガ日本の歴史』を書き上げた直後に手がけたのが本書です。
「マンガ日本の古典」シリーズの栄えある一発目こそ日本最古の典籍『古事記』。
構成は上・中・下の三部に分かれていて対象は「上巻」のみ。「建国の由来」がテーマで神武天皇へつなぐ物語ですが、著者いわく上巻がおおいにマンガ的であって古典的。
*イザナキ・イザナミの国生
ふたりにしか見えない師弟愛『春琴抄』(谷崎潤一郎)
『細雪』のこいさんといえば四女の妙子で恋多き現代的な女性だったけれど、『春琴抄』のこいさん・春琴は、またちがった魅力を持つ人物です。
美貌を持ち性格難ありな盲目の三味線師匠春琴と、彼女に尽くしぬく奉公人佐助の、奇妙かつ壮絶な師弟愛を描いた小説。
「萌え」「ツンデレ」のような要素が感じられて、そのコンパクトな分量からもライトノベル的なのかもしれません。『とらドラ!』の大河が思い浮かんだ。ほんと一
坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』を読み返す
学生時代以来の再読です。堕落論の言葉だと思って携帯にメモしていたのが、じつは恋愛論の一文であることに気づいたり、あれ?そもそも恋愛論なんてあったの?だっり、いろいろ忘れていました。
坂口安吾を一躍有名にした堕落論が収録されたエッセイ集。頭からページをめくると文学・芸術・創作論から始まります。目次をご覧になって興味ある箇所から拾っていく、つまみ食いの読みがおすすめです。
徹底的な欺瞞の否定坂口安
19世紀ロシアを代表する恋愛小説の古典!『はつ恋』(ツルゲーネフ)
村下孝蔵の『初恋』は好きと言えなかった気持ちを歌詞に表したように、初恋という言葉には胸に秘めた想いであるとか「甘酸っぱさ」的なニュアンスを感じます。が、
…そんな甘いもんじゃないのがロシア文豪ツルゲーネフの『はつ恋』です。
本書は、19世紀を代表する恋愛小説の古典にして名作とされています。ハンサムで浮気症な父と、地主の母を持つツルゲーネフの自伝的小説です。
16歳の主人公・ウラジミールは越し
「事実は小説より奇なり」の生みの親!『バイロン詩集』を読んで
十八世紀末から十九世紀初頭にかけてのヨーロッパは「近代」を生み出すための「陣痛」の時期、ロマン主義。
イギリスではワーズワース、バイロン、キーツたちが現れます。
ふと手にとったバイロン、読むとその「人」に俄然興味がわくのでした。
人生の境遇と作品が決まっていたかのように絡み合っている。さすが事実は小説より奇なりの生みの親です。
バイロンとはイギリス生まれ、大伯父の死でわずか10歳で「男爵」
400年読み継がれてきた言葉の宝庫『菜根譚』(洪自誠)を読んで
「誰が言うか」で言葉に箔がつくけれど、本書はどちらかというと「何を言うか」の力で中国の明代の末期から400年読み継がれてきた古典といえるのではないでしょうか。
松下幸之助、田中角栄といった各界のリーダーたちが愛読してきた理由も読むとわかってきます。
洪自誠という人は都会のエリート生活を経て、田舎で隠居しながら晩年に本書を仕上げたのではないか?
道教的・仏教的儒・仏・道の三教を兼修したとふれこ
デカルトの『方法序説』から学べること
今週末、初参加予定の猫街倶楽部の読書会のテーマがデカルトの『方法序説』。というわけで、感じたことをここにまずメモします。台風大丈夫かなあ。
拝読できておりません(読まなきゃ!)が『デカルトの憂鬱』よろしく、「デカルトの○○」という見出しを付けて、学びや気づきを引用交えながら書いてまいります。
まずはもっとも「これは!」と感じた2つの引用です。
デカルトの開き直り(中略)われわれの意志はもとも
『ハムレット』(シェイクスピア)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜
一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。
『ハムレット』を読みました。
好みの光文社古典新訳文庫で、しかもKindle Unlimitedの読み放題ということで、こちらを手に取りました。
はじめて知ったのですが、どうやらハムレットには原著にバージョン違いがあります。どれを正とするか、これまで議論がずっとあったようです。
そう、タイトルのQ
『五輪書』(宮本武蔵)を読んで
自身で書かれた原本は現存していないものの、自己の体験のみで書かれた日本思想史上でも稀有な一冊。読んでみると宮本武蔵の実在を感じる他にありません。「こんな内容は本人にしか書けない」と。
宮本武蔵は「一度も負けず」に実戦から足を洗い、人生の後半はその一切を修業・鍛錬に捧げました。禅も取り入れていました。自身の最期を悟った宮本武蔵は、洞窟に籠り、遺書をしたためるように『五輪書』を完成させます。
『五
『新訳 茶の本』(岡倉天心)を読んで
日本のことを英語で世界に発信した偉人といえば内村鑑三、新渡戸稲造、岡倉天心。あ、鈴木大拙もそのなかに含まれるでしょうか。
さて今回は岡倉天心の『茶の本』です。
角川の新訳版が素晴らしいのは、ところどころ解説を入れてくれていること。そして「エピソードと証言でたどる天心の生涯」の収録です。
岡倉天心はその生涯を知った方がぜったいにおもしろいですね。(自分のラブレターまで晒されて本人は怒っているだ
『後世への最大遺物』(内村鑑三)を読んで
『後世への最大遺物』を読みました。
明治27年(1894年)、内村鑑三が箱根の夏期学校で講演した内容です。口語調でまとまっていて読みやすい。
速記がベースで途中、内村鑑三のセリフの終わりに(会場大笑い)とか書いてあって、100年以上も前の講演なわけですが、ちょっと身近に感じさせてくれます。
すなわち私に五十年の命をくれたこの美しい地球、この美しい国、この楽しい社会、このわれわれを育てくれた山