一介の読書好き

一介の読書好き。本に関することが中心です。お読みいただいた内容があなたのつぎの選書のきっかけになればうれしいです。サイト(https://lacobooks.com/

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  • ゆるやかな古典ブーム

    個人の判断で古典とみなした本たち

  • 光文社古典新訳文庫シリーズ

    好みの光文社古典新訳文庫を一生かけてじっくり読んでいくシリーズです。

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    過去に読んだなかの選りすぐりの本たちをまとめています。

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    哲学・思想を扱った本たちをゆるくまとめています。入門書が中心。

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noteで400日連続ほぼ本の感想を書いてみて

昨日が「400日連続投稿」で、今回がちょうど450投稿目。予約投稿の設定を誤り、序盤につまずきましたが、なんとか一日も欠かさずに続けてこれました。 わざわざ寄ってすこしでもお読みくださった方、ありがとうございます。 当初はiPhoneのメモ帳にあった本の抜粋や言葉をnoteへ移動するくらいの気持ちで始め、気づけば本の感想を書いていました。おそらく400日間ほぼ本の内容です。 節目ではあるので、続けてきたことに関する気持ちの整理をこの機会にしようと思います。曲がりなりにも

    • 『ドライブ・マイ・カー』を短編小説と映画それぞれで味わう

      映画『ドライブ・マイ・カー』を見終わり、余韻に浸って振り返る。脳裏に残ったセリフは何気ない「沈黙」への言及だった。 ー沈黙は金ですからー なぜこの言葉が響いたのか、久しぶりのnoteで文章を残しておきます。まずは全体から眺めよう。なお、一切のネタバレを防止したい場合は読まないことを推奨いたします。 さて「ドライブ・マイ・カー」は村上春樹の小説『女のいない男たち』に収録された、複数の短編から成る一つの作品。 世界の映画祭で怒涛の賞ラッシュを続ける濱口竜介監督が、あの短編

      • 二冊の本から学んで実践しているマインドフルネスと、サウナ。

        いま実践しているリラックス方法を紹介します。参考にした本は『サーチ・インサイド・ユアセルフ』と『医者が教えるサウナの教科書』。 はい、マインドフルネス×サウナです。 いつの間にか習慣になりつつありまして、先に自分の公式を書きます。 深呼吸+穏やかな微笑み@サウナ=最高! なんだそりゃ?という方もいらっしゃると思うのですが、自分が見出した数少ない公式の一つです。 マインドフルネスは場所を問わないEQ(Emotional intelligence:心の知能指数)的な効能

        • 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。 ルキノ・ヴィスコンティをはじめ、これまで四度も映画化された作品。 「どうやらタイトルと内容が一致していないらしい」 そんなイメージぐらいしか持っていなかったけれど、光文社古典新訳文庫に原作があったので手に取ってみました。 本書はアメリカ犯罪小説の歴史に名を刻んだ一冊。著者はジェームズ・M・ケイン。 内容を一言で表せば「不倫カップルの共謀による夫の殺害計画とその顛末」といった

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          『幼年期の終わり』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。 巨匠アーサー・C・クラークの傑作SF小説『幼年期の終わり』。1953年に原書刊行されたSFオールタイム・ベストの定番。 スタンリー・キューブリックとの『2001年宇宙の旅』では、高度な地球外生命体はけっして姿を見せなかったけれど、本作では「フツー」に具体的な描写で登場する。 人類と未知の知的生命体との邂逅・関係性をおもしろく読んだので、そこにふれたいと思いつつ、まずはあらすじを

          『幼年期の終わり』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          今週とくに印象に残った本5冊たち

          あけましておめでとうございます。のんびり本を読んでおります。 さっそくですが、光文社古典新訳文庫とは別でちょこちょことジャンル問わず読んでいたなかで、とくに印象に残った5冊をご紹介します。 服従ミシェル・ウエルベック 河出文庫 雑誌『kotoba』新しい古典を探せ!特集で紹介されていて、読みたくなった本。これから10年は読み継がれるであろう新しい古典。経年に耐えうる「思考の先見性」に注目しながら読了。 筋書きはいたってシンプル。2022年、フランスにイスラム教徒の大統

          今週とくに印象に残った本5冊たち

          2020年をこの本と振り返る!『ひび割れた日常——人類学・文学・美学から考える』

          「1年があっという間」の正体。それは外出自粛と、催し事の軒並み中止による季節感の欠如?あらためて感じるのは、日本の四季と各種イベントがそれぞれ密接に絡み合っているということ。 季節感のない2020年日本人はこれまで、四季を五感でより味わうために折々のイベントをこしらえてきたのかと思うほど。「冬」を感じられれば、クリスマスも除夜の鐘も初詣もウェルカム!...キライじゃない! 季節の節目に自分を投げ出して記憶に彫り刻んできたけれど、今年はとくにペラペラで毎日の繰り返し。時間だ

          2020年をこの本と振り返る!『ひび割れた日常——人類学・文学・美学から考える』

          『ゴリオ爺さん』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。 1814年、ナポレオンに代わってルイ18世が即位。王政復古の名のもと貴族制度が復活したフランス。物語の舞台は、社交界が息づき、お金と見栄と、ゾンバルトもびっくりするような恋愛と贅沢が蔓延るパリ。 小麦商人のペール・ゴリオ(以下、ゴリオ爺さん)は革命と隣り合わせの不安定な社会を乗り切り、製麺業で財を成した。 『ゴリオ爺さん』とは、父親である彼が愛情を注ぎ続けた娘二人から集られ、犬

          『ゴリオ爺さん』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          『嵐が丘』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。 著者のエミリー・ブロンテは29歳で『嵐が丘』を出版し、肺結核を患い30歳の若さで亡くなった。 イギリスの片田舎で魂を削りながらしたためた一冊。生涯で小説はこの一編のみ。彼女の死後、『嵐が丘』は世界文学を代表する一冊と称されるまでに至った。 出版時の著者と、いま読者の自分は時代は違えど29歳の同い年。親近感とはまたちがう、なんだか感慨深いものを覚えました。ブロンテさん、すげーっす

          『嵐が丘』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          『アンナ・カレーニナ』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。 毎日、本の感想を書いていると長編の小説には手が出しにくい。というわけで自由気ままに読むスタンスに変えました。 これまでの反動もあって一発目に選んだのは大長編『アンナ・カレーニナ』。本棚にひっそり眠っていて、ようやくです。 トルストイが描く同時代ロシア貴族社会の人物群像劇。タイトル同名の女性、アンナ・カレーニナ夫人が不倫の恋の末、鉄道に身を投げて破滅する恋愛沙汰。 そういう印象

          『アンナ・カレーニナ』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

          今週とくに印象に残った本3冊たち

          ご無沙汰しております。毎日更新をあらためて、のんびり本を読んでおります。 今週は読書会のテーマだったファインマン『光と物質のふしぎな理論―私の量子電磁力学』に手こずった一週間でした。 なぜ『ご冗談でしょう、ファインマンさん』にしなかったのか!と内心思いつつも「わからない」のも味わい。これも後ほど書いておきたい。 さて、ちょこちょことジャンル問わず読んでいたなかで、とくに印象に残った3冊をご紹介します。 行動経済学まんが ヘンテコノミクスマガジンハウス 佐藤雅彦、菅俊一

          今週とくに印象に残った本3冊たち

          行動経済学や心理学など多彩なアプローチ!『残酷すぎる成功法則』(エリック・バーカー)

          『ホモデウス』でユヴァル・ノア・ハラリは、これからの人類の探求テーマは「不死」「幸福」「神性」だと述べた。 幸福や成功といった一見、非科学的な領域も、いまや真面目に研究されているらしい。 本書は、成功法則をエビデンスベースで検証した一冊。著者がアメリカの人気ブログの執筆者だからなのか「読ませる」導入に長けていて、全体としてボリュームある分量だけど、スラスラ読めます。 ここでもっとも伝えたいのは、いわゆるカギカッコ付きの自己啓発本の類とは一線を画しているということです。な

          行動経済学や心理学など多彩なアプローチ!『残酷すぎる成功法則』(エリック・バーカー)

          全体主義的システムの周到さにいまさら驚くディストピア小説『一九八四年』(ジョージ・オーウェル)

          訳者あとがき曰く、英国での「読んだふり本」第一位が本作らしい。漫画版の『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』を最近読んだものの、小説の方は学生時代に図書室で読んだ程度で、記憶もおぼろげ。 たしかにビッグ・ブラザーだとかキーワードさえ知っていれば「読んだふり」はできそう。ドキッとして笑ってしまいました。 さて、舞台はビッグ・ブラザー率いる党が支配する全体主義的近未来(1984年)。主人公ウィストン・スミスはテレスクリーンの視界から逃れ、非合法とされている日記を開く

          全体主義的システムの周到さにいまさら驚くディストピア小説『一九八四年』(ジョージ・オーウェル)

          初めての方にも、復習の方にも!『ファンベースなひとたち ファンと共に歩んだ企業10の成功ストーリー』

          Facebookのオーガニックリーチ(広告ではない投稿によるオススメ)で知り、Amazonでポチッと予約。週末に届いたので手に取ってみました。 もともと『ファンベース』には共感していて、仕事でもファン領域に携わっているので自分ごと。 ちなみにファンベースとは、自社のサービスやブランドを愛してくれるファンを大切にし、そのファンをベースにして中長期的に売り上げや価値を上げていくこと。 企業セミナーでさとなおさんの講演も拝聴したことがありますし、ラボ生としても学ばせてもらいま

          初めての方にも、復習の方にも!『ファンベースなひとたち ファンと共に歩んだ企業10の成功ストーリー』

          あなたは人生何回目?岩波文庫的な小説『月の満ち欠け』(佐藤正午)

          岩波書店、初の直木賞受賞作品であり、「岩波文庫的」な装丁の文庫化は話題を呼びました。本屋で見かけたときは、タイトル名と表紙のイラストからして「現代の古典」的な作風?と気になっていた作品。 月は満ち欠けを繰り返す。つまり、死んではまた蘇る。本書はタイトルが示す通り、月のように生まれ変わりを繰り返す、あるひとりの女性を主軸に話が展開されます。 数奇な恋愛小説でもあり、ミステリー要素も含んでいます。 テーマは輪廻転生。想いを持つ「瑠璃」という女性は死後、別の少女として生まれ変

          あなたは人生何回目?岩波文庫的な小説『月の満ち欠け』(佐藤正午)

          で、なんで待ってるのかわかりまてん!『ゴドーを待ちながら』(サミュエル・ベケット)

          TBSラジオ、ライムスター宇多丸さんのムービーウォッチメン「桐島、部会やめるってよ」の映画評。 たしか「シンボルとなる人物が劇中の最後まで登場しない」という共通点で本作がかるく紹介されていて、ずっと気になっていました。 不条理演劇の代名詞にして最高傑作。デュシャンの泉のようなメインに対するカウンター的存在が、いつの間にか演劇史のなかでどっしりと鎮座している、そんな印象。 本書の解説にある通り、どんな解釈も感想もこの作品の前ではブラックホールのように飲み込まれそうなので、

          で、なんで待ってるのかわかりまてん!『ゴドーを待ちながら』(サミュエル・ベケット)