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『後世への最大遺物』(内村鑑三)を読んで
『後世への最大遺物』を読みました。
明治27年(1894年)、内村鑑三が箱根の夏期学校で講演した内容です。口語調でまとまっていて読みやすい。
速記がベースで途中、内村鑑三のセリフの終わりに(会場大笑い)とか書いてあって、100年以上も前の講演なわけですが、ちょっと身近に感じさせてくれます。
すなわち私に五十年の命をくれたこの美しい地球、この美しい国、この楽しい社会、このわれわれを育てくれた山、河、これらに私が何も遺さずに死んでしまいたくない、との希望が起ってくる(中略)
私の名誉を遺したいというのではなくい、ただ私がドレほどこの地球を愛し、ドレほどこの世界を愛し、ドレだけ私の同胞を思ったかという記念物をこの世において往きたいのである、すなわち英語でいうMemento(メメント)を残したいのである。
内村鑑三は何を遺すかというテーマにおいて金、なければ事業、それがなければ思想といったように、これらがいずれも価値があると具体例を出しながら、一つひとつ聴衆と確認しながら語っていきます。
では万人がそうした価値を遺せるかというとむずかしい、どうするか。
内村鑑三は「最大遺物は己の主義のために送った生涯そのもの」であるといいます。解釈すれば「どう生きるか」だと。
ふとドラッカーの問いを思い出しました。「何によって人に憶えられたいか」。どうやって有名になるかではなく、核心はどう生きるか。
金、地位、名誉ではなく仰々しい思想でもなく、自分の価値観を大切にしながら、身近な人たちに「あの人らしい人生を貫いた」と思ってくれさえすれば万々歳だなあ。
というわけで以上です!
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