#327「ビジネス頭の体操」 6月7日、8日のケーススタディ
はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。
→部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。
6月7日(月) ○○○は日本の失明の原因の第一位!?
東京都中央区日本橋に事務局を置き、緑内障の患者やその家族で作る一般社団法人「緑内障フレンド・ネットワーク」(Glaucoma Friend Network:GFN)が制定した「緑内障を考える日」です。
日付は「りょく(6)ない(7)」(緑内)と読む語呂合わせから。緑内障についての正しい理解と一年に一度は検診を受けるように呼びかけています。
緑内障。
耳にはしますが、縁がないというか、あまり実感を持って考えたことがないですが、こういうものこそ頭の体操で取り上げる意味がありますね。
調べてみると、緑内障は失明の原因第1位です。
となるとますます縁遠いと感じてしまうところですが、なんと、40歳以上では20人に1人、70歳以上では10%が緑内障を発症していると言われています。
え?というところですが、初期では自覚症状がなく進行する病気でそのまま放置されることが多く、「目の成人病」と言われるそうです。
どんな病気なのでしょう?
まず、緑内障という名前の由来ですが、一般社団法人緑内障フレンド・ネットワークのHPによれば以下の通りです。
古代ギリシャのヒポクラテスが「目が地中海の海の色のように青くなり、やがて失明状態になる」と記述しているところに由来しています。日本語では別名「あおそこひ」とも呼ばれていますが、日本人の場合は緑内障になっても瞳が青く見えることはほとんどありません。
というわけで、古くからある病気、なのですね。
緑内障という病気は、視神経(見たものを脳へ送る目の神経)が眼圧(眼球内の圧力)が高くなるなどの原因で損傷を受け、治療せずにそのまま放置しておくと徐々に視野が狭くなっていき(視野狭窄)、やがて失明してしまうこともある危険な病気です。
なぜ視野が狭くなるのに気づかないのでしょうか?
それは、両目でものを見ていると、片方の視野が狭くなってももう片方の目で補ってしまうことでかなり進んでも気づかない、というのが理由だそうです。
ですから、ときには片目で見て、見え方がおかしいところはないか、を確認した方が良いそうです。
そして、緑内障の怖いところは、視神経を損傷するので、一度失った視野は治療をしても戻らない、ということです。
さらに、治療を適切に行えば、進行を遅らせ、失明を防ぐことができるのですが、偶然早めに見つけられたとしても、差し当たって自覚症状もなく、日常生活に不自由はないために、点眼などの治療を始めても効果が実感できず、中断してしまうケースが多いことも問題だそうです。
この辺りのところは、公益社団法人日本眼科医会のHP、「緑内障といわれた方へー日常生活と心構えー」に詳しいので、ご覧ください。
また、一般的には、日経ヘルスの解説が分かりやすかったので合わせてご紹介しておきます。
こうした病気等が原因で視覚に障害を持つ方の数ですが、厚生労働省「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」によると31.2万人となっています(5年に1回の調査なのでこちらが最新です)。
一方で、今回の緑内障のように潜在化しているものは含まれません。古いデータで恐縮ですが、日本眼科医会が平成21(2009)年に公表した「本邦の視覚障害者の数 現況と将来予測」では、さまざまな調査からより広義な視覚障害を164万人としています。
他にもさまざまなデータが紹介されています。
視覚障害の年代別、性別の有病率は以下の通り。
失明に至る原因は以下の通り。やはり緑内障が1位になっています。
次に、視力が0.5以下のロービジョンの原因もありますが、そこでも1位は緑内障です。
最後に、同予測では、視覚障害による経済コストを試算していて、医療費などの直接的なもので1.3兆円、生産性の低下等による間接的なもので1.5兆円、そして最も大きいものとして、視覚障害によるQOLの低下が5.8兆円、合計8.7兆円にもなるとしています。
→視覚が不自由になる、見えなくなるというのは確かに大変なQOLの低下だと考えられる。単に早期発見、だけでなく、予防的な観点で何かできないだろうか?そしてビジネスとして回る仕組みで継続できないだろうか?
6月8日(火) 2050年には魚より○○○○○○の方が多くなる!?
2008年(平成20年)12月の国連総会で制定。翌2009年(平成21年)から実施されている「世界海洋デー」です。英語表記は「World Oceans Day」。
1992年(平成4年)6月8日にブラジル・リオデジャネイロで開かれた「地球サミット」においてカナダ代表が提案し、以来「世界海洋デー」として非公式に実施されてきました。
海。
うみ。調べてみると、SDGsに「目標14.海の豊かさを守ろう」というのがあるんですね。
この項目について調べてみました。
それにしてもSDGs、本当に盛んであることを実感しました。ちょっと検索するとものすごいたくさん出てきますし、比較的きちんとした内容(個人の感想です)なのです。
「14.海の豊かさを守ろう」というのは、海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する、というもので、14-1から14-7までの7項目の達成目標と14-aから14-cまでの3つの実現のための方法が示されています。
詳細は以下のユニセフのSDGs CLUBのHPをご覧ください。
これに関連して衝撃的だったのが、2016年に開催された世界経済フォーラム(通称ダボス会議)で発表された、「海のプラスチックの量は、2050年までには魚の量を上回る」という予測です。
1964年〜2014年までの50年間で世界のプラスチック生産量は20倍以上(1,500万トンから3億1,100万トン)になり、そのうち毎年少なくとも800万トンものプラスチックが海に流れ出てしまっているということです。
結果、フィリピンの海岸に打ち上げられたクジラの胃から40kgものビニール袋が出てきたというニュースや、死んでしまったウミガメ102頭の内臓からマイクロプラスチックなどの合成粒子が800以上見つかったという報告もあります(FROGSホームページ)。
現状ですが、国際連合広報センター「持続可能な開発目標(SDGs)報告2020」によると、「14.海の豊かさを守ろう」については以下の通りです。
海洋の酸性化は引き続き深刻で、2100年には海の生き物の半数に影響が及ぶと懸念されています。一方で、海洋生物多様性地域が保護区に指定される割合が上昇するなど一定の成果も出ているようです。
同報告での日本の取り組み達成度合いは全体で17位ですが、特に課題があるとされる5つの中に、「14.海の豊かさを守ろう」が入っています(以下の赤い項目。その他は、「5.ジェンダー平等を実現しよう」、「13.気候変動に具体的な対策を」、「15.陸の豊かさも守ろう」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」)。
さらに3つしかない、「改善の進捗が停滞している」の1つとなっています(その他は「5」と「13」)。
もちろん、さまざまな取り組みがされています。
まず、現状の把握です。
環境省「海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組」では、
☑️ 陸上から海洋に流出したプラスチックゴミ発生量(2010年推計)
☑️ 日本の沿岸に漂着したペットボトルの製造国
☑️ マイクロプラスチックの調査
などを行った結果、日本周辺海域(東アジア)はプラスチックゴミが多いことがわかっています。
こうした現状把握だけでも大変な手間がかかるのですが、そこに技術を活用する動きがあります。
例えば、どの海岸でどのタイミングで清掃作業をすることが効果が高いかを決めるためには、ゴミの量を推計が必要ですが、多くの海岸でサンプル調査を行い、回収されたゴミを分類、記録、分析する必要があり、大変な工数がかかります。
そこで、この状況把握を省力化、非属人化するために衛星データやドローン、AIを使う方法「衛星・ドローンによるゴミ漂着状況診断システム」が構築されています。
このシステムは昨年のモーリシャス重油流出事故の被害状況の可視化にも貢献したそうです。
こうした取り組みが、世界の海洋環境が保たれることを願うとともに、自分に出来ることもやっていきたいと改めて感じました。
→海洋プラスチックの問題はそもそも海にプラスチックを流出させないことが大事で回収再利用の循環を確立することである一方、すでに流出してしまったものをどのように回収するかというのも課題だ。沿岸に漂着したものを回収する以外に何か方法はないだろうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆様の頭の体操ネタになるものが1つでもあれば嬉しいです。
こうした投稿を昨年7月から行ってきました。だいぶ溜まってきました。以下のマガジンにまとめていますのでよろしければ覗いてみてください。