ココペリ
名著「気流の鳴る音」に続いて、1980年に書かれた本。今年4月に亡くなった東大教授・見田宗介氏がペンネームで書いている。 用語に硬いところがあり、読むのに最初、骨が折れるけれど、それを乗り越えるととても興味深い。原始社会や古代社会、近代社会の時間意識について述べた本は他にもあるけれど、この本では、それらを人類史の総体を見据えた社会システムの変化(=自然からの離脱と、共同体の崩壊)と関連づけて構造的にとらえ、「時間」と「貨幣」の相似性にも触れながら、近代を越える未来の充実した
この惑星で数万年間にわたって繁栄を享受してきたヒトという種は、いま滅びに向かい始めていると思う。ヒトが大脳を駆使して発達させてきた「文明のシステム」の矛盾が限界に来ているからだ。気候崩壊のティッピング・ポイントはすでに越えたとも言われており、食糧生産の低下や格差拡大、大災害の頻発や新たなパンデミックなど、さまざまな困難が降りかかることが予想される。 個体数が0にまでならなくても、何十年後かには、食糧生産やエネルギー、経済、貿易、交通、通信など、現代生活を維持する巨大システムを
反ワクチン・親トランプ・スピ系陰謀論カルト、神真都Qについての 雨宮純さんのNote記事が大変興味深かったので、よりどころ問題の見地からちょっと考えてみたい。 詳しくは雨宮さんの記事を読んで頂きたいが、「神真都Q」の信奉者がワクチン大規模接種会場で妨害行動を行い、警察が出動したという。信奉者たちは警察官が宇宙人だと思っており、松ヤニで撃退できると信じているという。 記事を読んで感じたのは、「マスコミの洗脳」を云々していた頃が懐かしい、ということだ。 ヒトという動物は、どんな
投票してきた。 選挙のたびに投票する政党は変わるけど、心がけているのは、自分の属する社会階層の利害だけでなく、社会全体として長期的に見てポジティブな選択になること。 今の資本主義社会は、豊かな者がより豊かになり(富の集中)、成長し続けることが至上命題になっているシステム。それによって自然環境が破壊され、格差・貧困が深刻化していく。そして、集中した富が政治権力とメディアに影響を与え、政治が一部の人達の利害を代表するようになって民主主義が損なわれる。これは世界規模で起きている
今回の衆院選、僕は地元の野党統一候補を応援することにした。最近の自公政権の無策と傍若無人ぶりが許せなくて。 五輪開催を強行して医療崩壊が起き、空きベッドがなくて多くの人が家で亡くなった。政治家をかばうために役所の文書を改ざんさせ、やらされた職員は良心の呵責で自殺。与党が企業に発注して「Dappi」なるTwitterアカウントでデマを流し世論誘導してきた。株価を上げて金持ちを儲けさせる一方で、消費税を上げ賃金が低下して庶民の暮らしは厳しくなるばかり、自殺者数も増加に転じた。いく
岸田さんは総裁選で安倍麻生甘利の力を借りたので言いなり、という話だけど。あの人たちはなぜこんなに傲慢で、仲間内を贔屓するのかと思ったら、強烈なのを知った。 日系人初の米下院議員ダニエル・イノウエが来日した折、安倍の祖父である岸信介首相が、こんな発言をしたのだと。(貴堂嘉之『移民国家アメリカの歴史』岩波新書) この上級国民の特権階級意識と、下々の者への差別意識。ほんとにすごい。この岸を尊敬しまくっているのが安倍だ。岸&安倍は長州閥だし、麻生も戦前からの福岡の麻生財閥。甘利も
流行り病が蔓延するさなか、不安な気持ちを抱えてとぼとぼと夜道を歩いていると、向こうに明かりが見えた。 「スナック おもてなし」。 営業自粛のお触れが出ている中、開店を強行したのか。ならばここで気晴らしでもするか、そう思って扉を開けると、店内には小さなステージがあって、ちょうどマリオの扮装をした男が開演の挨拶を済ませて退場し、踊り子たちが登場するところだった。この店は世界各国から踊り子やパフォーマーを集めているようで、さまざまな踊りや、超絶的な技巧の曲芸が、次から次へと繰り広げ
アメリカ大統領選では、陰謀論が広がりました。「民主党は小児性愛や悪魔崇拝の巣窟だ」「中国や共産主義の脅威が迫っている」「マスメディアは嘘ばかり」「イルミナティによって人類は奴隷化される」「コロナもディープステートによる民衆支配の手段」といった、さまざまな言葉や映像が出回りました。真偽ないまぜの情報が、新型コロナによる不安にとらわれた人たちに向けて組織的に拡散され、集団洗脳による内乱が企てられましたが、失敗に終わりました。(今なお、その物語の中にいる方たちもいますが) 今回、
この春から、田んぼを始めた。三浦半島の生物多様性保全に取り組むNPOに参加し、横須賀のとある耕作放棄地の復田を任されることになったのだ。 現場は、周りに宅地開発の波が押し寄せる中で奇跡的に残った谷戸。草や竹を刈り取って燃やし、ユンボで根を掘り起こして畦をつくり、川からパイプで水を引いて田んぼに入れ、田起こしをして畦塗りをし、土がドロドロになるまで代掻きをする。←今ココ この田んぼは1960年代に耕作放棄されたというが、確実に江戸時代からここで代々お米を作ってきたはずで、赤穂浪
アメリカ大統領選をめぐって、知り合いの間で意見が割れている。「トランプなんて最低!不正選挙などなかった」という人もいれば、「最後はトランプが勝つ!彼こそ救世主だ!」という人もいる。あの議事堂乱入事件もあり、ずっとモヤモヤしてきたが、最近やっと本質が見えてきた気がする。 僕はだいぶ前から、アメリカの軍産エスタブリッシュメントに関心があった。いわゆる「ディープステート」だ。いろいろネット記事を見てきたけど、その中には真実もたくさんあったと思う一方で、「ディープステートはレプティ
Everyone is an essential part of the universe.
Hさんは、愛媛県の若いみかん農家だ。彼の住む町は、2年前の西日本豪雨で大きな被害を受けた。山の斜面にあったみかん畑が1000箇所も土砂崩れで流され、町を離れる人や、長年続けたみかん栽培を諦めるお年寄りも出てきた。被害が大きすぎて、行政による復旧はなかなか進まない。このままでは、ただでさえ過疎化・高齢化が進んできた町が、さらに衰退してしまう。 そこで彼は若い農家仲間と一緒に、自分たちで農地の修復や道路の泥出しをやることにした。そして復旧が一段落すると、彼らは地域を盛り上げる
米大統領選は、アメリカだけでなく日本社会の分断をも浮かび上がらせた。それも、従来からの「左」「右」の分断だけでなく、フェイク情報や陰謀論などの蔓延による左派・リベラル内の分断も生まれている。ネット情報の深読みにはまって悪者探しに興じるより、この社会の根本問題、すなわち経済の拡大による環境危機と1%対99%の格差拡大に集中し、その改善のために大きく手をつないでいくこと。そうしないと人類社会に未来はないのではないか。 米大統領選で見えた社会の亀裂 米大統領選、みなさんはどうご覧
いま話題の「人新世の「資本論」」を読んだ。素晴らしかった。 僕はマルクスに、微妙な感情を抱いてきた。自分は理系出身だし、マルクス自身の著作は「資本論」はじめ通読したことはない。大学時代にはまだ学生運動の時代の残り香もあり、「資本論って左翼の聖書っぽいけどゴリゴリしてて難しくてめんどくさそうだな」と思っていた。一方で、環境を破壊し貧富の格差を生む資本主義というシステムに違和感を抱いていたこともあり、気になる存在でもあった。 もちろん、ソ連や中国や北朝鮮のような不自由な社会
SNS中毒から逃れたくて、Noteを始めてみることにしました。 自分が考えたこと感じたことを、時々心落ち着けて、それなりにまとまった形で残していきたいと思います。共感していただける方がいたら嬉しいです。