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2023年4月の記事一覧

『レコード芸術』休刊 掲載原稿の思い出

『レコード芸術』休刊 掲載原稿の思い出

『レコード芸術』がいよいよ休刊になるらしい。

これも時代の流れだから仕方ない。とはいえ、母校が廃校になるような悲しさと寂しさがあった。

『レコード芸術』、通称『レコ芸』は長らくクラシック音楽ファン(クラオタ)のバイブルだった。

『レコ芸』の思い出を振り返りたい。

私が『レコ芸』に出会ったのは1997年だったろうか。

1996年の秋、高校1年の私は家出をして新聞販売店の寮に住み込みで働いて

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ティッシュにくるまれた希望の話——伝えられないかもしれないお礼の言葉

ティッシュにくるまれた希望の話——伝えられないかもしれないお礼の言葉

 今日まで42年生きてきて、その間いろんな人に手助けされてきた。だが、お世話になった人たちに必ずしも満足のいくお礼を言えてこなかった。
 ものすごくお世話になって20年たった今でも感謝しているのに、相手のフルネームも知らない。知っているのは20年前の顔と名字だけだ。

 私がお礼を言いたいのは、入院していた精神科病院の患者友達のお父さんである。当時白髪で60代に見えたから、今は80歳を越えているだ

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8年間不幸せだったわたしへ

8年間不幸せだったわたしへ

私は約8年作業所に通っています。

作業所というのは軽作業をしながら社会復帰の訓練をする施設です。

就職を目指している人もいれば、体調の安定に通っているだけの人もいます。

利用目的は人それぞれです。

今の作業所は4ヵ所目です。

作業所に通い出す1年前まで入院していました。

退院して、母と二人暮らしをしながら家事をやったりして生活していましたが、生活上の揉め事が絶えないので、すっかりノイロ

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チャップリンの「街の灯」におけるラストシーンの解釈

チャップリンの「街の灯」におけるラストシーンの解釈

私はチャップリンの中編長編は全作観ているチャップリンファンですが、屈指の傑作が「街の灯」であることに異存のある方は少ないでしょう。

あらすじを簡単に説明すると、盲目の花売り娘に恋した浮浪者が金持ち紳士のふりをして、お金をあちこちから工面して手術代を渡してやる。
花売り娘は目が見えるようになって、自分の店を構える。そこに浮浪者が通りがかって…という話です。

この話、ラストの受け止め方がさまざまで

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