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随筆・日記
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2024年5月の記事一覧

【朔 #106】夕立のように幸福は来て

【朔 #106】夕立のように幸福は来て

 夕立のように幸福は来て、
 それは恐らくセロトニンの影像なのだけれど、
 藻が、
 水に展く様も、
 道が、
 海に向かって死ぬ時も、
 令和十一年九月八日、
 私は歌を歌うだろう。
 雨は劇しければ劇しいほど良い。
 それは悲劇の演出などではない、と
 幼い雲海は囁いた。ながらく、
 「し」という不吉な平仮名の行列を見ていない。
 本当は、
 頻繁に見ているのかもしれないが知らない──。
 唐

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【朔 #105】裏切るなら、秋櫻子

【朔 #105】裏切るなら、秋櫻子

 マツモを、買ってきていた原稿が届きましたので明日以降かどうかもある意味論的な内容量、パソコン通信とかだよ、水道水で洗ってはいけないですが洗い上がり、下がり眉で見るたびの話。残酷な結末が? 夏草さん下。炎帝な感じさせる事が必要だがこれこそありがとうございました原稿が一番好きな感じたりするもんじゃないね、俺ってなんとかなるおしまい。月願望ある。涼しくなったー♪血に濡れていないのですがこの四ヶ月でも、

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【朔 #104】籐椅子から見て等間隔に衰えてゆく馬の歯と葛の葉

【朔 #104】籐椅子から見て等間隔に衰えてゆく馬の歯と葛の葉

 先日、吉増さんが言及されていた『三田文学』のエッセー、岸田将幸「幼い筆跡」。なるほど。
 空海展へ行こうと思っていた矢先、図録が売り切れたとのこと。奈良、奈良なあ。
 鹿の子の瞳に牡丹が頽れてゆく様を見たことがあるか。黄金の塔は聳え、同じく群青の滝も聳え、聳えたつJésus、……。飽食の実存が行き交う駅前に立ってみて、すりよってくる牡鹿の群れ。袋角、梟の、朦々と。
 梟の、身辺整理の覚束ない折れ

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【朔 #103】底砂、網

【朔 #103】底砂、網

 今日(二〇二四年五月十日)、金魚鉢を探して100均へ。どれも小さすぎる or 涼感に乏しい、cheap。結局、飼育ケースを買う。そして、底砂、網。水と水草の用意ができれば、生体導入へ。
 斉藤志歩『水と茶』(左右社)を読む。
 石沢麻依『貝に続く場所にて』(講談社文庫)は佳境に入る。
 帰宅後は俳句関連の棚を整理。この四ヶ月で肥えてきた。ちゃんと、詩もやりたいが。

【朔 #102】自愛

【朔 #102】自愛

 怠慢である。
 物を書かず、漫画三昧。
 推しですか?
 推しは……迷いますねえ。
 蘭彩歌うららもいいし、弟子の蘭彩歌まゆらもいいなあ。阿良川でいくと、阿良川こぐまだし。
 唐突にコルトレーン。
 現実の落語の話をしますと、桂吉坊師匠の喜楽館興行に行きたいですね。確か、晩夏に。
 落語、能を見てきて、次なるは歌舞伎、文楽を。伝統芸能は金がかかるが、常に己の位置がわかるので良い。
 若葉冷。
 

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【朔 #101】愚かな試み

【朔 #101】愚かな試み

 横尾忠則『原郷の森』(文藝春秋)を読み進める。こちらの知識が試されながら、情報は変形し、変容し、変貌してゆく。
 CD、
 吉増剛造の声から平沢進の曲へチェンジ。
 滝(入水して死ねぬ滝ありわれはゆかず/赤尾兜子)に行こうかと思ったが、
 やめた──。
 ── ────。
  ────────  ──王国。
 公国。
 現代詩手帖へ先月中旬に送った原稿が、
 今頃になって料金不足で返ってきた。

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【朔 #100】遂に百回

【朔 #100】遂に百回

 遂に百回。
 かといって、別に終わらない。
 特別なことも書かない。
 Klee、ねえ。
 何もかもわからなくなって、相子智恵『呼応』(左右社)を読み返す。若葉冷に心が塞いできて、石沢麻依『貝に続く場所にて』(講談社文庫)を読み進める。ようやく、小論の出発点を考え始める。紙一枚で感覚的に抉り出すのがstyle。木の椅子を肘置きにして、何も考えず(薫風や頰杖ついてかんがへず/小澤實『澤』)、四十雀

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【朔 #99】アマタイだ、アマタイにヒントがある

【朔 #99】アマタイだ、アマタイにヒントがある

 立夏とのことで、風車を変形させる。
 依然、牛の舌の謎が解けない。あれやこれやと引っ張り出してきて、ここにそこに線を引き、睨みつけても、中村屋!
 文机が混乱し始めてきた。良い兆候。
 何故、Turner? との問いあり。お答えする。鹿の尻である。
 昨日(二〇二四年五月五日)の懐かしいオムライス。そして、谷の若葉が、泣きたいのに泣けない。泣いているように、見えない。土鳩またまた鴉またまた鶯。

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【朔 #98】コノ、渾沌のTongue

【朔 #98】コノ、渾沌のTongue

 前回、思わぬ形で、ソノ、鉄路を発見した、虚子の句と吉増さんの詩。文机の前に掲示する。コノ、渾沌のTongue。
 新しい詩を書き始めて、てい、ている、指の方から囁きかけてくるものがある。玄米茶まで写り込んだ画像には、そういう、狂ひ始めた日時計にも一抹の理性を担保しようとする、抵抗。夜々、狂って。
 死児もいる、雛の家。
 嬰児とは、疲れやすいもの(鳩を傍に 生れ疲れの嬰児ひとり/赤尾兜子)。
 

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【朔 #97】扇の震えも、蟹の死も、犬歯も臼歯も

【朔 #97】扇の震えも、蟹の死も、犬歯も臼歯も

 扇の震えひとつにしても、
 私にはない。
 湖底に死ぬ蟹ども。揺れ、やがて静まる碇の落下軌道に発情したら、青鷺の糞、若緑、ゆきゆきて夏、明易の歓びを窓枠に蝙蝠傘をひっかけて叫ぼう。新しい詩を書き始める。筒鳥の歌は、低く響くのみだけれども、今年はとにかくひと月一篇は書いておきたい。「雛の家(吉増剛造)」から聞こえてくる、のろのろとした牛の舌(夏草に延びてからまる牛の舌/高浜虚子)、そうか、ここで吉

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【朔 #96】鴉と会話

【朔 #96】鴉と会話

 若葉の、芽吹きの、筒鳥の、
 藤懸り、桜蘂降り、躑躅燃ゆ。
 師の道筋に、
 得難い、鯛、
 または露涼し。
 三日位、
 六甲山に籠りたいような気持ちで、鴉と会話していた。
 ──厳然と聳える死と同じく、
 ──芥ほどじゃあないが、
 ──恋という主題を、
 ──パン屑のいくつか、
 ──賜る刹那を展開する、
 ──マクドナルド。
 ──眠気の侵襲的な公益性について、
 ──……。
 ──鼻が

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【朔 #95】弑すべし、釘を知らない

【朔 #95】弑すべし、釘を知らない

 酒臭い接吻を、
 たんぽぽの傷んだ茎のように思い、
 川、
 占い師の足裏から単眼の巨人が囁くか、
 真っ赤な紐が垂れている橋に、
 筒鳥の心の、
 火の記憶よりも早く、
 遠ざかる乾癬のかんばせ、
 遠ざかる密教のコルク、
 葉桜に、
 樹としての姿、
 桜若葉に、
 磊々落々、
 きっと世界の深奥には鰻が尾を漂わせて人骨の閊えた肛門を庇っている、
 心理が現象の全てを恋に逢着させるなら、
 

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【朔 #94】まあ、鮫みたいなもんです

【朔 #94】まあ、鮫みたいなもんです

 昨日(二〇二四年四月三十日)は榎本櫻湖『Röntgen、それは沈める植木鉢』(思潮社)を読む。日付が変わってから未明にかけても読む。
 歌に関する両極が、縷々、解けてゆく。
 若楓とは、
 オオサンショウウオのことであるけれども、
 結局、
 不安のない歯がわからない!
 スキー合宿に行ったけれど楽しかった。
 春スキー?
 ハスキー犬から河馬に乗り換えて、千手観音を曳き摺ったのも良い思い出。成

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