見出し画像

【朔 #106】夕立のように幸福は来て

 夕立のように幸福は来て、
 それは恐らくセロトニンの影像なのだけれど、
 藻が、
 水に展く様も、
 道が、
 海に向かって死ぬ時も、
 令和十一年九月八日、
 私は歌を歌うだろう。
 雨は劇しければ劇しいほど良い。
 それは悲劇の演出などではない、と
 幼い雲海は囁いた。ながらく、
 「し」という不吉な平仮名の行列を見ていない。
 本当は、
 頻繁に見ているのかもしれないが知らない──。
 唐揚げ弁当の半額セール。
 同様に、
 チャーハン定食の値上げ。
 宇宙は、
 遠心力の複雑な方向に一本の棒を得て退行する、対抗する、対向する。
 奮起する獅子の鬣の不知火の逆縫いの杭。

いいなと思ったら応援しよう!