JW659 鷹と御先祖様
【景行征西編】エピソード30 鷹と御先祖様
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を平定するため、襲国(今の鹿児島県)に向けて進軍をつづけていた。
シロ「して、ここは何処じゃ?」
やぁちゃん「専寿寺にござりまする。」
シロ「ん? 寺? 仏の教えの社であったな?」
やぁちゃん「左様にござりまする。宮崎県小林市の細野にある、お寺にござりまする。」
シロ「されど、なにゆえ、そのようなところに?」
舟木「なんでも、ここに行宮を設けたんだとか・・・。」
シロ「行宮じゃと?」
野見「その名も『鷹屋宮』にござりまする。」
シロ「字が異なるが、高屋宮と被っておるではないか!? よもや、こちらも、高屋宮の候補地だったのではないか?」
もち「じゃが。じゃっどん、字が異なるのと、独自の伝承が有るかい、作者が、候補地から外したみたいやじ。」
シロ「独自の伝承?」
カヤ「ここで、大王は、軍兵の稽古をしていたそうなのです。」
シロ「技を鍛えるは、武の基じゃからのう。」
小左「そのとき、寺の東の山上・・・というか、裏山で、一羽の鷹が、大王を、じっと見つめておりもうした。」
シロ「ふむ。それで?」
夏花「やがて、その鷹は、声高に鳴くと、熊襲の方へと飛んで行ったそうにござる。」
シロ「おお! それは、久米の子ら(兵士のこと)を守る兆しに違いない! 飛んで行った方角に向かい、拝し奉ろうぞ。」
ウナ「以上が、専寿寺の伝承にござりまする。」
影媛「ちなみに、大王が坐ったと伝わる、御腰掛石も有りまする。」
そして、一行は、ついに、鹿児島県に入った。
シロ「して、ここは?」
モロキ「止上神社にござりまする。」
いっくん「鎮座地は、鹿児島県霧島市国分重久やで。」
シロ「ここにも、伝承が有るのじゃな?」
たっちゃん「隼人が叛き、大王の親征を受けたとき・・・。」
シロ「しばし、お待ちくだされ! 隼人? 熊襲の間違いでは?」
たっちゃん「伝承では、隼人となっておるのじゃ。致し方ござらぬ。」
シロ「さ・・・左様なれば、致し方ござらぬな。」
たっちゃん「して、そのとき、六所権現の霊神が大鷹となり擁護を加え、忽ち、叛賊を平定されたため、その神霊を祀ったそうにござる。」
シロ「六所権現?」
タケ「日向三代と、それぞれの嫁じゃ。」
ヤヌシ「一組目は、瓊瓊杵尊こと『ニニギ』様と、木花開耶姫こと『サクヤ』ちゃんなり!」
おやた「二組目は、山幸彦こと『ヤマピー』と、豊玉姫こと『トト』姉ちゃんにござる。」
えっさん「三組目は、鸕鷀草葺不合尊こと『ウーガ』様と、玉依姫こと『タマ』ちゃんにあらしゃいます。」
シロ「補足説明、大儀である。されど、忽ち平定されたとあるが? これは、異国の言の葉でいう『フライング』になるのではないか?」
たっちゃん「申し訳ござりませぬ。」
シロ「とにかく、我らが勝つということにござるな?」
たっちゃん「左様にござる。」
シロ「して、敵は何処に、おわす?」
百足「あちらに!」
シロ「ん? あ・・・あれは、城ではないか!」
野見「どう見ても、城にござりまするな。」
ナッカ「燃えてきたっす!」
シロ「それも・・・二つ有るようじゃが?」
タケ「立て籠もっておるようじゃな。」
ナッカ「気にしないっすよ! 攻めて、攻めて、攻めまくるっす!」
シロ「よし! 城攻めじゃ! 副将には『リトル』を任ずる!」
リトル「うぎゃう!」
いっくん「ちょっと待ってくださいよ! まだ、赤ん坊でっせ?!」
シロ「されど、伝承では、副将に任じたとあるのじゃ。」
タケ「私が、後見として、加わろうぞ。」
シロ「おお! かたじけのうござりまする。」
たっちゃん「まあ、そのために付いて来たと言っても、過言ではありませぬからな・・・。」
そのとき、熊襲の声が響いた。
すなわち、川上(以下、カワ)と弟建(以下、おとたけ)である。
カワ「夜麻登の諸君・・・。帰った方が、身のためだよ?」
おとたけ「落とせるモンなら、落としてみろ!」
どうなることやら・・・。
次回につづく
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