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JW633 八柱の神

【景行征西編】エピソード4 八柱の神


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦82年、皇紀こうき742年(景行天皇12)9月5日。

ここは、周芳国すほう・のくに娑麼さば

地図(周芳国娑麼→山口県防府市佐波)
筑紫行幸参加者名簿

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、三人の男に遭遇そうぐうした。

すなわち、おおおみ武諸木たけもろき(以下、モロキ)。

国前くにさきおみ菟名手うなて(以下、ウナ)。

物部もののべきみ夏花なつはなである。

系図(多氏:モロキ)
系図(物部君:夏花)

三人の出自しゅつじなどについて語っていた時、「シロ」は、何かを発見したのであった。 

シロ「なにやら、怪しき煙が・・・。」 

タケ「大王おおきみ? 如何いかがなされた?」 

シロ「みなみほうに、煙が多くのぼっておるのです。」 

ナッカ「たしかに、煙ががってますね。」 

シロ「これは、もしかすると、もしかするぞ。」 

やぁちゃん「どういうことです?」 

シロ「煙のもとには、ひとり・・・。必ずや、ぞくるにちがいない。」 

百足ももたり「そうなりまするか?」 

シロ「うむ。そうとしか考えられぬ。では『モロキ』、『ウナ』、夏花なつはな! なれたちは、一足ひとあしはやく、筑紫ちくし(今の九州)におもむき、煙について調しらべてまいれっ。」 

モロキ・ウナ・夏花なつはな「ははっ。」×3 

こうして、三人は、様子ようすさぐるため、筑紫ちくしへ旅立っていった。 

たっちゃん「して、大王おおきみ? われらは、如何いかがいたしまする?」 

シロ「三人が戻ってくるまで、この地にとどまろうぞ。」 

百足ももたり「そうなりまするか?」 

タケ「では、行宮かりみやもうけねばな・・・。」 

もち「何処いずこに設けるんです?」 

おやた「玉祖たまのおや神社じんじゃの近くに、森が有りまする。そちらに、行宮かりみやを設けられては?」 

玉祖神社(鳥居)
玉祖神社(拝殿)

シロ「うむ。そうしようぞ。」 

えっさん「ちなみに、玉祖たまのおや神社じんじゃ祭神さいじんは、玉祖命たまのおや・のみことにあらしゃいます。」

舟木ふなき天照大神あまてらすおおみかみこと『アマ』様が、岩戸いわとがくれをさったおり八尺瓊勾玉やさかにのまがたまを作られた神様にござる。」 

ワオン「して、鎮座地ちんざちは?」 

いっくん「山口県防府市ほうふし大崎おおさきやで。」 

地図(玉祖神社)

影媛かげひめ「そのやしろから、北に300mほど進んだところに、宮城森みやきのもりがございます。そこが、行宮かりみやとなった地にござりまする。」 

地図(宮城森)
宮城森(近景)

シロ「その通りじゃ。ついでに、玉祖たまのおや神社じんじゃにて、戦勝せんしょう祈願きがんいたそうぞ。」 

野見のみ「そうなりまするか?」 

シロ「うむ。それに、この地にて、お世話になることも、伝えねばならぬであろう?」 

こうして、行宮かりみやが設けられ、戦勝祈願がなされたのであったが・・・。 

シロ「どうも、物足ものたりぬ・・・。」 

タケ「では、やしろから、北北西600mのところに、糘山すくもやまが有る。その地でも、祭祀さいしをおこなわれては、如何いかがかな?」 

シロ「おお! そういたしましょうぞ!」 

ヤヌシ「ちなみに、糘山すくもやまには、霞山かすみやまという別名べつめいも有るなり!」 

もち「して、どのような神様をまつられるんや?」 

シロ「八柱やはしらの神をまつろうと思う。」 

やぁちゃん「八柱やはしらも?!」 

シロ「うむ。神皇産霊神かみむすひのかみ高皇産霊神たかみむすひのかみ生産霊神いくむすひのかみ足産霊神たるむすひのかみ魂留産霊神たまつめむすひのかみ大宮売神おおみやのめのかみ御膳都神みけつかみ事代主神ことしろぬしのかみの八柱じゃ。」 

タケ「大王おおきみまもたてまつる、八柱やはしらの神じゃな?」 

シロ「左様さようにござる。八神殿はっしんでんとして、代々、まつられ、二千年後も、皇居こうきょにて祀られている神々にござる。」 

えっさん「神皇産霊神かみむすひのかみは、天地開闢てんちかいびゃくおりに現れた、造化三神ぞうかさんしんの内の一柱ひとはしらにあらしゃいます。」 

おやた「高皇産霊神たかみむすひのかみも、造化三神ぞうかさんしんの内の一柱じゃ。」 

百足ももたり生産霊神いくむすひのかみは、人のたましいちからあたえる神にござる。」 

野見のみ足産霊神たるむすひのかみは、人の魂をりたものにする神にござる。」 

ワオン「魂留産霊神たまつめむすひのかみは、魂が体からはなれぬようとどく神にござる。」 

小左おひだり大宮売神おおみやのめのかみは、みやの平安を守り、臣下しんかあやまちをおかさぬよう見守みまもる神様にござる。」 

ヤヌシ「御膳都神みけつかみは、食べ物の神様なり!」 

影媛かげひめ事代主神ことしろぬしのかみは『えびす』様のことで、漁業ぎょぎょうの神様にござりまする。」 

舟木ふなき叔母上おばうえ? 大国主大神おおくにぬしのおおかみ御子神みこがみでも有りましたな?」 

影媛かげひめ「その通りじゃ。」 

シロ「うむ、解説、大儀たいぎである。して、祭器さいきを、この山にめようと思う。」 

もち「大王おおきみ八柱やはしらの神をまつり、祭器さいきめたんで、二千年後は、八籠山やこもりやまと呼ばれちょるんやじ。」 

地図(八籠山)
八籠山(近景)

いっくん「せやけど、なんで、そんなことするんです?」 

シロ「そ・・・それは、玉祖たまのおや神社じんじゃ伝承でんしょうにて、そう書かれておるからじゃ。」 

タケ「ロマンじゃのう・・・。」 

筑紫ちくし辿たどくのは、いつになるのであろうか。

次回につづく

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