天使の抹茶ラテと悪魔の落書き⑪
【ホクロ男とヒナちゃん】
三人はカフェへと入った。温められた店内の空気と、その空気に溶けたコーヒーの香りが裕也を少しだけホッとさせた。
「お前のおごりな」
ホクロ男の声にげんなりする。断るのが面倒臭いので何も言わなかった。
ホクロ男と女はそれぞれの飲み物の他に、サンドイッチ二つとケーキを三つも注文した。絶対に三人で食べる為のケーキではないだろう。裕也は憮然とした気持ちでカフェラテの一番小さいサイズを頼んだ。それにしても、『クーゼ』じゃなくて本当に良かったと裕也は思う。