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愛すべき珍獣達

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何なんだ⁉と思う出来事やら人物やら。誰でも理不尽に思えることが多々あるけれど。すべてのことは自分にとっては必然…と思って少し考えてみたりする。答えが導き出せるとは限らないけど。
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記事一覧

辛い記憶はもう飽きた

辛い記憶はもう飽きた

気づいたら、noteを始めてから二年が経ってた。
小中高の同級生と久しぶりに電話で再会したことが切欠だった。
連絡が途絶えていた何年かの間に、彼女は脳梗塞でしゃべること以外不自由な体になっていた。
無性に自分が沸々思う、他愛の無い言葉を吐露する場所が欲しくなった。
でも、このマガジンに関してはもう終了しようかと思う…。

父が倒れてからは色々あった。いとも簡単に人は壊れてしまう。そのことを30代で

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行き場のない叫びが宙に舞ったBirthdayランチ

行き場のない叫びが宙に舞ったBirthdayランチ

以前働いていたアクセサリー店で出会った姉さん。二人とも数年でそこを辞めたが今でも定期的に会う。もう十年以上の付き合いである。2.3ヶ月に一度会う。お互いの誕生日にはランチを御馳走する。でも、負担にならないようにとお茶は祝ってもらう方が御馳走する。二人とも随分大人であるにも関わらず、可愛らしいルールがいつの間にか出来ていた。今回は半年ぶりだった。五月は私の誕生日だったのだ。

予約は出来なかったと入

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珍獣動物園Vol.3-総長-

珍獣動物園Vol.3-総長-

「あ。初恋の人にそっくり。」
これが、第一印象だった。
彼が四十路になればこんな感じだろうか?と思いを馳せた。
その人は一番奥の席で、他の人とは少し距離を置いて仕事をしていた。かと言って、皆の話や動向を全く気にしていないのではない。自分の入るべき時には入る。要するに、無駄に他人と群れないのだ。
「この図面描いてみてくれる?」
と、その声は初恋の彼と同じだった。骨格が似ていると声も似るのだろうか?も

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珍獣動物園Vol.2-部長-

珍獣動物園Vol.2-部長-

部長はフワフワしている。大きくてフワフワの体をゆさゆさと揺らして歩く。優しいと言えば聞こえはいいが、優柔不断でいつもウジウジしている。そして、いつも何か頬張っている。私の席はラックを挟んだ部長の真ん前だった。

気性の激しい父親と、そのDNAを引き継いだ兄の狭間でアタフタして育ったのだろう。喧嘩勃発の際には、どちらの見方もせず、あやふやに二人をなだめる姿が思い浮かぶ。柔道部出身の大きな体を有効利用

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珍獣動物園Vol.1-社長-

珍獣動物園Vol.1-社長-

「何やっとんじゃ‼ボケッ!」
「早よせいや‼ボケッ!」
「何でこないなるねん!!ボケッ!」
彼の口癖は「ボケッ!」だ。みんな緊張して、普段のペースではなくなっている。いつもはしないミスをし、いつもはしない仕事が増え、いつもより仕事が遅い。空回りしている。言われる内容より、声の大きさにしょっぱらからビビッてしまうのだ。不思議に私は怖くなかった。その代わり、その姿が滑稽で不快だった。大嫌いだと思った。

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女三人

女三人

数か月ほど前、父が亡くなった時、残された女三人はひとりも涙を流さなかった。他人が見ればなんという家族かと思われるに違いない。でも、一滴の涙も流れなかった。
思えば、最初に倒れてから15年近く経っていた。医療ミスから始まった病院への不信感、看護婦の悪行、父が二人三脚でやってきた従業員の裏切り、仕事関係の人や親戚までもが手の裏返しに去っていく姿、見たくもなかった"人“の見にくく汚いものが一気に押し寄せ

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古びた靴

古びた靴

私がお嫁に行った当時、義理の父は家族の嫌われ者だった。
結婚の挨拶の日は父のいない日を選んで決められた。そんなことはつゆも知らない私は緊張した面持ちで彼の家を訪れた。そこには母の姿だけだった。おかしいなと思っていると、
「予定があって今日はいないんです。」
と言われて、何の為の今日なのだ?一家の長がいないとはどういうことか?と戸惑っていると、たまたま忘れ物があったとひょっこり帰ってきたのが父だった

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雨の日の車庫入れ

雨の日の車庫入れ

大雨が続いていますね。皆様被害はないでしょうか…。

雨の日に時々思い出す人がいる。いつだかお世話になっていた会社の同僚だ。私よりも二つほど年上で、社長の同級生だった。横柄な社長と比べて温和で優しい人だった。兎に角腰が低くて、丁寧。だけど時々、優しさが行き過ぎて迷惑がられたり、大失敗したり、嫌われたりする人だった。何事も過ぎるとダメなのねと知らしめてくれる人だった。

会社の横の空き地を駐車場にし

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パンチの利いた二人のおじさん

パンチの利いた二人のおじさん

学生の頃、大方二時間をかけて大学まで通っていた。携帯電話もまだ普及していなかった頃、電車の中ですることと言えば、本を読むか寝るか、ボーっとするか、人間ウォッチング。

私は専ら人間ウォッチング派だった。色々なことがあってオチオチ寝ていられなかった。

ある日、二つ目の電車でのことだ。人は疎らで全員を把握できるほどの人が座っていた。一通り見渡すと、違和感を感じるおじさんに釘付けになった。たぶん乗って

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ガールズトークのブラックホール

ガールズトークのブラックホール

男の人にも、女の人にもいろいろな人がいるので一概にはこうと決めつけるわけにはいかないけれど。性別関わらず、友情というものは確かにある。そう思う。思いたい。でも時々、女同士の友情が怖いと感じることがある。当人同士は友情…親友だと信じて疑っていない。けれど、傍から冷静に分析するにそれは本物なのか?と疑いたくなる時があるのだ。

女子気質の強い人は、いくら親友だと言っていてもどこかで競い合っていることが

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遅れてきた春

遅れてきた春

「え?あれ?その彼は二週間前に話していた方とはまだ別の?」

学生の頃、親に反対され勘当され、それでもついて行く!と駆け落ち同然で結婚したという彼女。その後二人の子供に恵まれて事業も成功し順風満帆に人目には映っていた。

ある年の暮れに話があると呼び出されて聞かされた話は離婚話だった。正直、そんな素振りは全く感じられなかったので驚いた。自分は結構、人の様子の変化には敏感な方だと思っていたが、いい加

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電話とLINE

電話とLINE

最近、電話の鳴る音にビクンッとなる。

最近は電話に加えてメール、LINEだスカイプだと色々と連絡手段が増えている。電話を滅多に使うことがない。LINEを使う人が周りに増えて、仕事もプライベートもまずLINEで済ましてしまう。緊急を要する時や会社や公共施設、病院からの連絡は流石に電話を使用するけど、そうでなければほぼ、LINE。仕事のやり取りもLINE。メールでデータを送って確認してもらって返事を

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間違った親の育て方

間違った親の育て方

50歳を越えて独身だった女性が、30代の若い男性と結婚をした…という話を、2年ぶりに会う、40歳を過ぎ未だ独身の私の友人が声を荒げて話している。

「若い子をゲットできた熟女を羨んでいるのではない!」と彼女は言う。その30代の男性に、何故、彼女を選んだのかと聞いてみたところ、「彼女はあの年になって何もできないんだよ。守ってあげないと♡」という答えが返ってきたと言うのだ。

確かに、50歳越えて何も

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試練はみんなにあるものか?

試練はみんなにあるものか?

人は生まれて死ぬまでに、いくつかの試練を与えられる。

そして、それをどうやって乗り越えるか、はたまた、ただやり過ごすのか…。

その成り行きを、目には見えない何か大きなモノに見られながら生きている。

なんてことを常々思っている。馬鹿馬鹿しいと言われそうですけど。

思い返せば、二十代まで敢えて幸せだと感じたこともなければ、不幸と思ったこともなかった。嫌いな人も周りにはいなかったし、好きな人ばっ

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