cheka

小さかった頃のこと、忘れられない味、今まで出会ったいい人悪い人。 日々沸き起こる色々なことや、ふと思うこと。 書きたくなって書いています。

cheka

小さかった頃のこと、忘れられない味、今まで出会ったいい人悪い人。 日々沸き起こる色々なことや、ふと思うこと。 書きたくなって書いています。

マガジン

  • OH! ママン

    だれもかれも、母という存在から生まれる。良くも悪くもどうしたって母という存在の影響は色濃くある。人と会うと、この人の母親とはどういう人か…?とフィルターをかけて見てしまう。「母」というテーマで書くエッセイ。

  • ジーンとドライブ

    うまく笑えないジーンとの人生のドライブのエッセイ。

  • 大バカメロウの I My Me Mine

    なんて自分ってバカなんだろう…と思うことがある。穴があったら入りたい‼と反省して落ち込む。また立ち上がるために、自分で自分を慰めるとしたら、「バカだって気づけたんだから、ひとまず良しとしよ。」そこに溺れてはいけないが、間違いと失敗無くしてきっと成長はないはずだから。同じように落ち込む人がいたら私のバカで少しは気が楽にならないだろうか…。

  • 水曜日のひだまり

    自由を求めて居場所を変えた先は、それまでよりも自由がない場所だった。その時出会った、デッサンを教える非常勤講師のおじいさん先生との陽だまりのような水曜日。

  • 想い出レストラン

    時々思い出す、忘れられない想い出の味。

最近の記事

大きな扉が開かれた

あっという間にもう二月も終わりに近づいていて、時間の速さに驚いている。ここのところ、noteを開くことすらしなくなっていて、いかに自分に余裕がないかが伺える。時間の余裕というよりは精神的な余裕なんだと思う。 人間関係が一気に増えたせいなのだと思う。いや、それしかない。 ずっともう20年近く、人付き合いが億劫で引っ込んでいたから、人と関わるとものすごく疲れる。疲れるといっても心地よい疲れなのだが。 いざ、30代へというころに父が病に倒れ、慣れない建築仕事を手伝うようになった。だ

    • 結界の中で締めくくりと始まりを

      食堂にはテーブルがひとつだけ。三人だけの為に用意されたものだ。何と贅沢な時間だろうか。正面の大きなガラス戸から外に出ると湖の際に出れた。海のように波が何度もやってくる。夕日は見えなかったが空と湖がフィルターをかけたようにうっすらとピンクがかっていた。 ゆっくりとした時間の中で三人で過ごす。 ゆげが香るような食堂の奥で主人はひとり準備をしている。どうぞと声をかけられるわけでもなく、スッと席に着くと順に料理が運ばれてくる。事前に「母はたくさん食べられないので少な目で。」 とお願い

      • 母娘3人旅行 Vol.2 時空間移動

        夫と旅行に行く時はほぼ雨だ。箱根に行った時も雨。何なら台風。箱根の登山鉄道が運行停止になったほど。小笠原へ行った時も曇り空が多かった。 それはそれでそれなりに過ごすし、返って多くのサービスを受けられたりしてラッキーなこともあるけど、やっぱり晴天がいい。 母娘三人の何十年ぶりかの旅行では、なんとか晴れて欲しい…などと心配もしなかったが、やはり澄み切った晴れだった。空が高く広くて、空気が新鮮だった。 母は妹に見繕ってもらった服を身にまとい、幾分若く見えた。 実は数日前から、ファッ

        • 母娘3人旅行 Vol.1

          ひょんなことから、何十年ぶりかの旅行へ行くことになった。 ひょんなこと。それはここでは省略するが、何故かご主人様がこれで旅行でも行ってきたらいいとお金をくれたのだ。なぜそうなるのだろうか。何かやましいことをしていてその罪滅ぼしのつもりか…?色々疑ってみたけど、そう言う風でもなく。自分の両親とは何年か前に旅行に行ったが、私の方の両親とは行けていないし…と。時々、不思議なことをしてくれる。母や妹もいやいやと断ったが、一度差しだしたものを戻せないと言い、ともあれ最後には、気持ちを無

        マガジン

        • OH! ママン
          29本
        • ジーンとドライブ
          33本
        • 大バカメロウの I My Me Mine
          27本
        • 水曜日のひだまり
          11本
        • 想い出レストラン
          26本
        • 愛すべき珍獣達
          14本

        記事

          いいことありそうだと感じた日

          週に一度は母を買い物に連れて行く。 「あんたと買い物に行けなくなったらどうしよう…。」 母はこの買い物へ出かけることをリハビリだとか、体調のバロメーターのようにしているようだ。 行くお店はだいたい決まっている。それぞれのお店の開店時刻に合わせて、買い物は朝のうちに済ませる。母はパーキンソン病を患って長いが、寝ている間にまだほんの少しはドーパミンを自ら作れているようで、朝の間は比較的調子がいいのだ。病歴が長くになるにつれ、薬の効きが短くなっていることを母は不安がっている。勿論、

          いいことありそうだと感じた日

          共に過ごした日々

          グリが先立ってから2年ほど経つ先日、愛猫オレオも旅立った。 二人とも、私達家族の歴史の一番つらくて苦しい15年以上の日々を一緒に過ごしてくれた。きっと彼女たちなしでも何とかかんとか越えてきただろうが、二人の存在にどれほど私達が救われてきたか、今はハッキリと分かる。 グリがいなくなった後、オレオと私達はその寂しさをお互いで埋め合わせるようにいたと思う。でも、今はオレオのいない寂しさを埋め合わせてくれるものはない。オレオがいない今、グリのいない寂しさをも再び押し寄せてくるようだ。

          共に過ごした日々

          ココロ躍る方へ

          もっと時間があればやりたいこと出来るのに…。いつもそう思いながら過ごしていた。でも、いざ時間が出来るとクタクタで何もしないで時間が過ぎる。そうやって十数年繰り返すうちに、たくさんあったやりたいことが何だったかを思い出せなくなっていた。 和紙職人になりたいとか、絵本作家になりたいとか、自分の作品や目利きして集めた作家さんの作品を並べた雑貨屋をしたいとか、懐かしい感じの喫茶店がしたいとか。そんなことを思っていた気がする。似たようなそんなことを叶えている人が羨ましくて目を背けた。

          ココロ躍る方へ

          ボチボチ行きます

          四月だ。桜が咲いている。 桜の見事な咲きっぷりを目の当たりにして、鉛のように重い気持ちに鞭を打つ。どうにも年明けから気持ちに力が入らないでいた。近頃、何でも病名が付くのだから何かしらの体の不調なのかもしれない。 年明け早々には人生初のギックリ腰を経験した。お馬さん状態からの脱却が一向に上手く出来ずに『マジか…。』とひとり何度も繰り返すしかなかった。風邪を引かない『おバカ』と言われし私が風邪を引き、このご時世、コロナであるまいか?と疑われてしばらく身を潜めてみたり。今は、兎に角

          ボチボチ行きます

          ネガティブは海の底に置いてきな

          年のわりにキメの細かい母の左の頬が水膨れている。 一晩中、頬で体を支えていたせいだ。 母がパーキンソン病だと分かってから、大方10年以上になるだろうか。幸い気づいたのが初期だったこともあり、薬を飲めば症状はなくなった。あの頃はまだまだ若かった。10年薬を服用すればやはり薬の効果は薄れる。そして、人は誰しも老いていく。治る病気なら希望があるが、パーキンソン病はゆっくりゆっくり悪化していく一方で希望がない。 冬の寒さは、パーキンソン病の症状を増幅させる。体を温めて血のめぐりを良

          ネガティブは海の底に置いてきな

          別段何もない日のふたりの特別

          緊急事態宣言が解除されたけれど、日曜日の車の量が増えた道を想像するだけで出かける意欲を無くすジーン。 「でこぼこ、行く?久しぶりに…。」 少しポッコリしたお腹を摩りながら言う。正しくは、『でこぼこ山』ではないけどね…と心の中で突っ込みを入れながら、 「うーん。」 と返事した。そう言えば、コロナで騒がしくなってから登っていない。人と会うこともそうそうないトレッキングだ。何度か行っても良かったのに、もう二年近く行っていなかった。自粛していたわけではないけれど、何となく遠ざかってい

          別段何もない日のふたりの特別

          凹んだ話

          二十代で車の免許を取得してから、然程大きな事故などはせず今までこれた。けれど、スピード違反と一旦停止、駐車違反で罰金を科せられたことは幾度かある。そして、自分で自らぶつけたことも…。 しかしながら、ここ何年も至って順調に穏やかに運転をしていたはず…だった。つい先日までは。 その日は少し頭が重く、体がだるいような感じだった。雨の日頭痛というのか、雨の降る前の飽和したような空気の日、私はいつも必ず体調がすぐれない。しかし、母の数か月に一度の検診日だった。元々近くの病院に通院して

          凹んだ話

          火鉢のおじさんと縁側

          火鉢のおじさん。そう呼んでいた。小さい頃、祖母の家へ遊び行くと、そこから時々会いに行った火鉢のおじさん。祖母のお姉さんの旦那さんのことだ。祖母のお姉さんは私が知る随分前に亡くなっていた。祖母がカエルなら、そのお姉さんはウサギ…祖母以外の他の兄弟は皆、ハンサムでべっぴんさんだった…と、母たち娘らは集まるとそう話していた。ウサギのお姉さんもべっぴんさんと評判だったらしい。お姉さんはお風呂の中で最後を迎えたという。自ら湯灌を済ませ、死に際さえも美しいと言われた。 大きな平屋の日本家

          火鉢のおじさんと縁側

          水曜日のひだまり 強いまなざし

          描くためにはよく見ること。そう教わった。抽象画とかって話になるとまた違うけど、絵を描き始める時はきっとみんなそう言われる。 だからと言うわけでもないけど、人に見られるのは好きじゃないのに、人を見るのが好きだ。好き嫌いというよりは、見てしまう…もしくは目についてしまう…と言う方が正しいかもしれない。 先生も人のことをよく見た。すごく見た。穴が開くほど見た。そのうち、右手の人差し指をクルクル動かしながら見た。絵を描く人はよく見る。見る人と見る人の視線がぶつかるととても困る。私は先

          水曜日のひだまり 強いまなざし

          野菜のぬか漬け

          ここのところ、相棒が会社からたくさんの野菜を持ち帰ってくる。職人さんが週末菜園で作っているものらしく、出来過ぎたものは籠一杯に分けてくれるという。どれも形はいびつだったり、大きすぎたりはするが、野菜の味がしっかりしてとても美味しい。 街っ子育ちの私には畑とは無縁だった。けれど、父方の祖父母の家へ行くと少しだけ土に触ることが出来た。 小さい頃、お正月や夏休みはどこへ?と聞かれて、「東京のおばあちゃんのところ。」と言って、詳しくどこかと聞かれて、「埼玉。」と答えると、「東京ちゃう

          野菜のぬか漬け

          ママン、いるだけでいいんですよ

          「私の血を引いていれば、子宮なんてピンピンしているはずなのに…」 母は肩を落とした。 私は不育症と高齢で子供を持てず、妹は卵巣のう腫で手術して子宮腺筋症と診断されている。女二人姉妹なのに二人とも子供を持てずにいる。 私は紆余曲折の末明らめてから、心身共にスッキリと毎日過ごせるようになった。妹は仕事人間で、周りは独身ばかりで集まって実に楽しそうに過ごしている。「子供は…いいかな。」とクールに言うが、実際の本当の本当のところはどうなんだろう?もう、後2.3年で年齢的には限界だろう

          ママン、いるだけでいいんですよ

          鳥たちの昼下がり

          チーチーチーチー ピピピピピピ チュチュチュチュ やけに外が騒がしい。 私の仕事机はキッチン横の窓際にある。窓は東南を向いていて、明るく見晴らしが良い。私の年と同じほど古い5階建てのマンションの3階。ベランダからは駐車場と雑木林、その向こうには遠く海と街が小さく見える。昔は今より雑木林が広く残っていて、もっと景色が良かったらしいが、私達が越してくる少し前に戸建ての住宅街が出来ていた。3階からの目線左手にはその屋根が連なって見えている。住宅が建つ前の条件に高さ制限をつけてくれ

          鳥たちの昼下がり