マガジンのカバー画像

短編とブログの花園

18
はがきサイズではない短編だったり、ブログです。なんでもありな花壇のつもり🌷🌸🌺🌻
運営しているクリエイター

#私の作品紹介

【はがきサイズのエッセイ】白玉クリームあんみつ

【はがきサイズのエッセイ】白玉クリームあんみつ

とある用事で上野へやってきました。ことをすまし時計を見ると、電車の時間までかなり時間が残っています。

これは、ずっとあこがれていた名物、みはしのあんみつをお店でいただくチャンスでは?

そうと決まれば、上野駅を公園沿いにくだります。

グーグルマップを見ながら歩いていくと、外国からきた旅行者が、わたしと同じようにスマホと看板を見比べていて、少し親近感を感じます。

にぎやかな街の色と嬉しそうな見

もっとみる
【短編】CRAZY BOYFRIEND テーマ:見惚れる

【短編】CRAZY BOYFRIEND テーマ:見惚れる

私の彼氏で超能力者の祝くんが失踪した。

ダイエット中の私は家のベランダで両腕をぐるぐると回し続ける。

一ヶ月も連絡がとれないなんて、初めてだ。

まさかと思うけど、最近二の腕が太ったことに気づいて引いたのかもしれない。

いやいや大丈夫、私大好きクラブに入っているちょっと変わり者な祝くんだもん。

でも、じゃあなんで連絡がないんだろう。

不安は徐々に膨らんでいく。腕の回転率も上がる。

もし

もっとみる
【短編】雪うさぎとひねくれた道 テーマ:真っ直ぐ

【短編】雪うさぎとひねくれた道 テーマ:真っ直ぐ

"曲がったようにしか生きられないのです。

普通を真っ直ぐ押し付ける世界についていけず、僕はこの雪山で独り暮らすことを選びました。

けれど、人は孤独に弱い生き物ですね。

痛いほど冷たい自然の中不安は消えず、自らの存在に誰か気づいて欲しくて、行動の矛盾などおかまいなしに宛もない伝書鳩を飛ばしました。

だから、あなたから返事が来たときは本当に驚いたのですよ。

「じぶんもこどくです。」この一言だ

もっとみる
【短編】最高のナニー!

【短編】最高のナニー!

いつもより大分長いです。部屋を明るくしてなるべく大きな画面でご覧ください(またアニメみたいになっちゃった)。

――――――――――――――――――――――――――――――

  広く澄みきった青い空から、赤い和傘を差した小柄な若い女性が舞い降りてきた。

 軽やかに砂浜に着地し、山吹色の着物と深緑の袴をぱしぱしとはたくと、足元で驚く親指ほどの小人たちに跪いた。

 柔らかく微笑み、彼らの言語を流

もっとみる
【短編】コーンポタージュで抱きしめて テーマ:ぬるい

【短編】コーンポタージュで抱きしめて テーマ:ぬるい

ゆりくん、お話できなくて、ごめんね。わたし、自分でもわからないけど、夜更けの暗い道を走っているんだ、いま。

冬の冷たい空気の中で、どうしても知りたいことが、あったの。

でもね、わたし、あんなに寒いの苦手だったのにね、知ってるでしょ?冷たくなっていく自分の気持ちが、怖かったの。

この世界は怖いことばっかりで、みんな、わたしと話すといらいらするみたいで、人に迷惑をかけるくらいなら、わたしなんてい

もっとみる
【短編】やさしさとは、きっと テーマ:そのはず

【短編】やさしさとは、きっと テーマ:そのはず

  狩野リサが大嫌い!

 と、めらめら考えながらあたしは泣き腫らした目で教室に入った。学校では透明人間だから、誰も気にしない。

 青野くんと狩野リサが付き合ったって知ったのは1週間前のこと。失恋したあたしは布団にくるまり続けて、とうとうブチ切れたお母さんに家を追い出されたってわけだ。

 だって仕方なくない?青野くん、好きだったんだから!

 ダンス部の部長で、笑うと大型犬みたいに目尻が下がっ

もっとみる
【短編】夢で逢えたら

【短編】夢で逢えたら

      太陽の光が木立をきらきらと照らす、ある晴れた朝のことだった。

  青年は大切な妹が暮らす村に帰るため、これから歩いて山を越え街を抜けた海沿いの先まで行かなければならない。彼が出発しようと立ち上がると、空から鶏卵ほどの大きさをした桜貝色のたまごが降ってきた。

  たまごはそのまま地面に落ちると、ピシピシと音を立てて桃色のヒナが誕生した。小鳥は青年をまっすぐ見つめると「ピャヒャア」と鳴

もっとみる
【はがきサイズの短編】爆弾逃亡犯 テーマ:清明 追記あり

【はがきサイズの短編】爆弾逃亡犯 テーマ:清明 追記あり

こんにちは!高木梢です。

今回のテーマは、「清明」です!

うまく引用できていますかね…?上記のサイトからです。春のみずみずしい雰囲気を感じますね。まだ秋ですけど! 

実は冬を待ち望む 高木梢より

    
    なぜだ、爆弾が正常に作動しない!

  4月5日3時50分。俺の体に巻き付けた爆弾に設置された時刻を見てまた焦る。

  ここ自然遺産の山の中でこいつを炸裂させれば、満足に食えね

もっとみる
【超短編】物語

【超短編】物語

  なんとなく嫌だ、が知らないうちに重なって、今日も誰とも話さずに帰ってきてしまった。お母さんは仕事に行っているので、この家はわたし一人だ。

 窓の外の楽しげな声たちが聞こえるのが嫌で、雨戸を閉めてわたしの部屋の隅に座り、ひざにできた小さなかさぶたを眺めている。

 クラス替えで、一緒になった慣れない子たち、先生、去年までの友達、いろいろなことが心の中でバラバラになって、自分でも何が嫌なのかわか

もっとみる
【短編】Flowers & Cute

【短編】Flowers & Cute

  始業式が終わってお昼ご飯を食べるのもそこそこに、私は青い自転車にまたがりかすみ叔母さんのお店に向かった。だって、今日は叔母さんに絶対話したいことがあったから。

 畑と緑と高い空が広がる小さな田舎道を、ちょろちょろと流れる小川に沿って走ること一五分。メルヘンチックでこぢんまりした白樺の小屋の前に、自転車を停めた。私はぼさぼさになった短い髪をなでつけ、デニムのズボンとグレーのトレーナーをなんとな

もっとみる