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事後

高校を退学してから碌に運動なんかして来なかった所為で、首周りに贅肉がへばり付く様になった。ただでさえ吸いたく無い街の空気がやけに美味しく感じる。首元まで生えた無精髭が贅肉を通して首に突き刺さり仕方無く髭を剃る。僕が髭を剃る時は週に1回のみ。登校日前日のみ。元々母からの遺伝でかなりの敏感肌なので髭を剃るという行為自体が大嫌いなのだ。また何故か首元に当たるもの全てを嫌う傾向もあるので、(多分父からの遺伝)服のタグとか買ったその日に絶対切り取るし、運動会とかで貰う金メダルを首に下げる時も絶対首に下げずに手に持っていた。だから髭が首元まで生える体質にも嫌悪感を抱くし(これも父からの遺伝)上手く剃る事が出来ずに鮮血が溢れる顔を見るのも嫌悪感を抱く。何もかもが遺伝。辛い。苦しい。そうやってこういう些細な日常の中でも人生の逃げ道を作り続けているのだ。特に髭を剃る中で一番難しい部位は「揉み上げ付近」だ。これは髭を剃ってから1週間程経てば現れる揉み上げから繋がった髭の事だ。これの何が難しいかというと「揉み上げと髭の区別」だ。なんでこの行為を18のガキがしないといけないのか。なんでこの行為を18のガキだけどしなくても良い人がいるのか。辛い。苦しい。何もかもが遺伝。また逃げた。また逃げてしまった。けど、逃げるしか無いよな。なぁ皆んな。教えてくれ。なんでこの行為を18のガキがしないといけないのか。まあ、いい。するしか無いから。だからこの行為をする時はいつも慎重に髭剃りと向き合いながらしないといけない。ただでさえ髭剃り自体が大嫌いな行為なのでYouTubeMUSICで爆音の発狂系ラップ(jakiとか)を聴きながらやっているのに、この行為の時だけは無音でしないといけない。なんでこのやりたくも無い行為の時に無音でしないといけないのか。そして剃る。慎重に剃毛している為過集中モードに直ぐ突入して、気が付いたらその行為は終了している。いつも左右の揉み上げの形がリアス海岸みたいになるが、その行為が終了した事の方が嬉しいので直ぐに気分はその日の最高点を叩き出す。

女に生まれても
男に生まれても
それぞれの性別に対する
嫌な所が変わる事はない。
また、異性がその嫌な所を100%
理解する事も一生出来ない。

僕はまだ流星を人生で一度も見た事が無い。
いつも下を向いているから。
運命って、見えないから。


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