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かどみなかずき
2023年4月1日 18:24
ラーメンの海苔はスープに半身浴させてパリパリ感を残したまま麺に巻いて食べる。このとき、麺は少なめに取る。口の中で海苔を楽しめるように。追加でトッピングできない私の、贅沢な食べ方。お冷がお持ちされた。すでに私の手元にはあるのだが、お持ちされた。カウンターの上にはピッチャーがあり、隣のおじさんにはきていないところを見ると、たぶんミス。ラーメン屋では珍しく、同じ人に配属になった二つ目の
2023年3月23日 17:49
人間は地球の空気でしか生きられないし、火星人は火星の空気でしか生きられないし、流星は宇宙の空気でしか生きられないから、地獄の空気でしか生きられない生命もいる。地獄は、筆画が多くて恐く見えるけど、ほんとは、なんにもみえなくてなんでもあるとこなんだよ。精神を毀す為の檻みたいに。あなたの部屋に似てるわね、って言われた。その言葉をのせて吐き出された息が、一番きみだったような気がした。「寥」っ
2023年3月21日 17:22
あなたは 肌を茶色で描くけど 瞳はターコイズブルーで描いてくれる。色の流れをコントロールできない 水彩下手なわたしを良い色の配置って褒めてくれる。あなたが描くわたしを見て あなたは才能が違うって思ってしまう わたしの残酷さ。あなたが 窓っていうよりガラスの壁だよね って言った 窓から 射しこむ夕陽が あなたもわたしも部屋も時間も ほほえみも夢も 言葉も現在もマグカップも 茶化した。
2023年3月18日 17:20
線路が背骨のように行きわたったから、日本列島は立ち上がれるはずなんだけど、北海道の頸のところが、まだ座っていないのかな。四国と九州の脚と、沖縄諸島の尻尾じゃ、バランス取れないのかな。もしかしたら、寝ている事を選んだのかもしれない。石川県は何度も折れたし、鹿児島の先端を、大陸の角に打つけるから、諦めたのかもしれない。わたしは免許をもっていないのだけれど、運転する人は、自分のからだが車体まで広がるらし
2023年3月9日 16:56
どれが意味あることだろう って思った所が 恋のおわりで 老いのはじまり。この部屋は 秩序ある混沌というか 不快感のない不潔感をテーマにしています。 騎兵の恋。快感の海岸線。ケンタウロスの恋。律動と理屈に 虜われている。
2023年3月5日 17:24
じんせいはたびすること柄のシャツの上にジャケットを羽織ってネクタイを締めて 電車に揺られるにんげんは 脂ぎった光をしている。鏡を見るのは嫌いになったから 宇宙空間の空気を燃やしながら進む流星みたいな 光をはなつ言葉 を見ている。 世界は美しい 自分のいるこの世界は美しい 美しくない自分でもいるこの世界は美しい。 だから アンシンして 電車に乗っていい らしい。連結部分のたびに しゃっくりする 怪
2023年2月27日 17:18
冬が終わる時期になると 春の壱番隊がやってきて 研ぎ澄ました包丁で 夜空の表面の鱗を 魚市場みたいに剥がす音がきこえる 冬のあいだ 恋人たちの敵役だった 鱗が 飛び散る つめたくてよくきれる 皮膚が切れて 肉の断面が見えても 血は流れていなかった 自分の肉体じゃないのかもしれない 自分の肉体とスウェットの 境界線がなくなっているのかもしれない 夜よりも 自分は にんげんじゃないんじゃないかというこ
2023年2月20日 17:11
じんせいはたびすること柄のシャツの上に ジャケットを羽織ってネクタイを締めて 電車に揺られるにんげんは 脂ぎった光をしている かがみを見るのは嫌いになったから 透明なにんげんを見て 空気のない宇宙空間の 空気を燃やしながら進む流星みたいな 光を 放つ言葉 を見ている 世界は美しい 自分のいる世界は美しい 美しくない自分でも いる世界は美しい から 安心して電車に乗っていい らしい 連結部分のたびに
2023年2月14日 17:15
いつもアスファルトの上に立っているから忘れちゃうけど、カタラーナみたいにアスファルトの下には土がある。雑草が割ったアスファルトからは土が見えて、掘っていくことができる。街に潜るように掘りすすんで、到達したところが詩だから、詩とはじごくの空気なのかもしれない。地獄は、画数が多くて恐いけど、ほんとうはじごくって感じ。ひとは地球の空気でしか生きられないし、火星人は火星の空気でしか生きられないし、流れ星は
2023年2月9日 17:14
文字にならない声は ゲンジボタルみたいなひかりになって にんげんを 星空に沈めるように漂っていた 耳から 髪から 指先から 必要としている だれかに向かって とびたっていった 瞳からでてきたひかりは 時には拒絶してしまうくらい やさしかったひかりを束ねると 電気になるとわかった 電気はひつようだから 年に一度 収穫祭をするようになった 六歳になったら 自分のひかりをささげる ふんばって 口からひ
2023年2月6日 16:54
鋭角三角形みたいな冷気が二粒あわさってできた星が、オリオン座みたいに結び合わされて、結び目がどんどんふえていって、固くなって出来上がった包丁が、夜空の表面を撫でる。夜空を覆っていた鱗が飛び散る。それは必殺・降鱗流星斬になって僕に襲いかかる。それは一瞬の光の奔流だった。皮が裂け肉の断面が見えていても、僕から血は流れていなかった。夜よりも、自分は人間じゃないんじゃないか、ということの方がこわかった。
2023年2月1日 22:03
東京の真ん中から、神奈川の隅の六畳一間の隅まで、撃ちぬける歌をうたうアーティストを飾る、すごい照明器具があるから、光もすごいってことになっている。ゲームもカメラも最新作は、夢想的な美しさをしていて、どれだけの絶景を再現しても飽きたらず、透明まで美しくしようとしている。他人の為のメイクやファッションって、眼球とのあいだの、透明に施しているのかもしれない。えのぐと違って、夜は冬みたいに、空気を染めてい
2023年1月26日 16:54
とんとんたーん、つかつかしゃーんとんとんたーん、どぅぐどぅぐどぅんでもでもだって、けどしたがァってどぅどぅどぅ、どぅどぅどぅ、どぅどぅどーうせだから、だから、だからッたッたッとんとんたーん、つかつかしゃーんきときとったい、ぴとぴっちゃんなまら、なまら、なまらほんでのぉけどけれどBut、けったいなだってずんずんぱァん、ぱらッぱッぱぱァんずるずらあかん、ぱらッぱッぱやんすしゃっこ
2023年1月9日 16:43
たとえばの話なんだけど排泄するために食べるラーメンでもおいしい 老いのために鍛える筋肉もすごい死ぬために塗られるマニキュアもぴかぴかするキリンが電車の吊り革に頭をぶつけるから 屋外に住みはじめた パンダがアイドルになるために 動物園に住みはじめた 鳥からいんすぴれいしょんを受けて 飛べるようになるのがかちじゃない 脇を締めて肘を腰に付けて跳びながら両手首をばたばたさせるたとえばの話な