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想うこと 感じること 

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想うこと 感じることをシンプルに。
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苦笑い〜夏の午後(自由詩)

苦笑い〜夏の午後(自由詩)

瞬く間に
雨雲に覆われ
大粒の雨

激しさ増す雨に
辺りは白く霞む

コンビニやビルの軒下で
多くの人たちが雨宿り

ただただ 雨を見る

そのうち
待っていられないとばかりに
軒先から勢いよく駆け出す男子たち
高校生か

大きな笑い声を上げながら
ずぶ濡れになるのを
楽しむように
跳ねるように駆けて行く
無邪気な
溢れんばかりのエネルギッシュな 
その姿が微笑ましい

「若いな 青春やな」と呟く

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風

どこまでも

雲ひとつない空

何気ない風が

優しく髪を揺らす

梅雨入り前の

心地良いひと時

ごくり

ごくり

会いたい想いは
むくむくと
湧き出ては
引っ込む

それでいて
突然 
激しく掻き回し
息が詰まるほど
はち切れそうに
膨れ上がる

抑えて
抑えて

目の前の
やるべきことに
意識を向けて
抑えた想いを
ごくり 飲み込む

どうにか息して
ごくり 
また ごくり
飲み干す

はぁ

かすかな吐息が
愛するということは
生きるということは
こういうことなのだと
諭す

そのあとは

そのあとは

春の嵐の
そのあとは

冷えた空気

めずらしく
雪化粧

どこからともなく
桃の花

その儚さに
心 惹かれる

(神戸市灘区)

浸る

浸る

はっと耳を傾ける

静まりかえった
ビルの谷間に
こだまする
どこまでも澄んだ声

ホー ホケキョ

迷い込んだか

声を頼りに
姿を探す

エントランスの
小さな桜から
なんども なんども
放たれる声

その こだまに
ただただ 聴き浸る

通勤途中の
束の間

空が白む

今日が始まる

土産

土産

月曜日の通勤電車

斜め前の人に
思わず 頬が緩む

ああ、あの人も

私と同じ土産袋

満員の車内で
重くかさばる土産物

エピソードがぎっしり
詰まっているような

持ち手を替える
その重さが
旅へ想いを巡らせる

何から話そうか

気ごころ知れた同僚
談笑シーン

また頬が緩む

車内に朝陽が射し込む 

ほっこり

ほっこり

慌ただしく
流されるように
鬱々と歩く

都会の喧騒

ふと目をやった先に
ああ

心 ほぐれる

こんなにも

こんなにも

まさか

こんなにも
惹かれるなんて

思いもしなかった

ああ やられた

暮れなずむ空 東京

証

秋晴れが続く

抜けるような青空の下
色鮮やかな街路樹
足元を彩る落ち葉
色づき増す六甲の山々
その全てが美しく
ただただ感嘆のため息

この感覚は幸せの証

まんまる

まんまる

わっ
大きい
まんまる

思わず手で包みたくなる
顔がほころぶ

ふっくら ふわふわ
意外に ずっしり
ぼよよん 弾むような

想像の戯れ
梅雨の散歩道

もうすぐ

もうすぐ

カラカラカラ 
コロコロ

キャリーケースとともに
足取り軽く

会いたい人
交わしたい言葉
観たい景色

すぐそこの未来に
すでに自分をおいて
胸が高鳴る 

もうすぐ 会える

生きているからこそ

始まり

始まり

ジー、ジジジー、ジィィ

夕暮れの
か弱い蝉の声

地上での 
短い命の始まり

夏だ

好きな場所

好きな場所

青い空 
眩しい海

どこまでも
波音静か

穏やかに
優しく迎えられ

心 解き放たれて 

満たされて

冬の海

好きな場所

(今日の神戸・須磨)