【本音で語る】なんで未だに分割法でトレーニングしている人がこんなに多いのか理解に苦しむ。
「今日は胸の日!」「明日は背中の日!」という初心者~中級者トレーニーに告ぐ。
ま だ そ ん な 分 割 法 し て る の ? ?
あえて強い言葉で言います。
そのトレーニングに根拠はありますか?
今回も凝りもせず、【分割法は超上級者とステロイドユーザー以外には意味ない】という話をしようと思います。
●分割法はステロイドユーザーにしか効果がない
分割法が意味ない(効率が悪い)としたら、なぜ流行ったのでしょうか。
それは、フィットネス業界はステロイドユーザーの声が大きいからです。
誰でも、身体がデカくて絞れているボディビルダーの話を聞きたがるし、彼らの成功体験を追随しようとするでしょう。
しかもタチが悪いことに、ステロイドユーザーは自分達がステロイドを使っていることを公表しません。
ステロイドユーザーの、ステロイドユーザーによる、ステロイドユーザーのためのトレーニングが、古くからトレーニングビデオや今はYouTube、パーソナルトレーニングの現場でも紹介されているので、みんなそれが当たり前だと思っているのです。
「ステロイドユーザーのトレーニング」とは何か?というと、
月曜は胸、火曜は背中、水曜は肩…
のように、トレーニングする部位を細かく分ける方法、通称「分割法」。
ステロイドには、筋肉の発達を強制的に促す作用があります。
通常の人であれば、トレーニングや血中アミノ酸濃度の急上昇をトリガーとして筋合成のスイッチが押されます。
一方、ステロイドを服用している人は筋合成のスイッチが押しっぱなしになっている状態、つまり四六時中筋合成が起きているのです。
これは人間の生理作用を根本から変えてしまうものです。
ステロイドの効果について実験した、1,800回以上も引用されている有名な論文があります。
ランダムに集められた人を4つのグループに分けて、筋肉の増加を調べました。結果は以下の通り。
A:運動なし+プラセボ(偽薬)…筋肉量+0.7kg
B:運動なし+テストステロン投与(ステロイド)…筋肉量+3.2kg
C:運動あり+プラセボ(偽薬)…筋肉量+2.0kg
D:運動あり+テストステロン投与(ステロイド)…筋肉量+6.1kg
この結果からわかるのは、運動よりも、ステロイドのほうが筋肉を増加させるということです。
この実験ではスクワットとベンチプレスをしているので、生半可な運動ではありません。
それにも関わらず、ステロイドはトレーニング以上の筋肥大効果があるというのだから、身体の仕組みを根本的に変えてしまうものだということがよくわかります。
●ナチュラルは分割法をやめろ。
研究によると、通常、トレーニング後の筋合成は24-48時間続きます。
逆に言えば、筋合成はトレーニング後48時間しか続かないと考えることもできます。
FSR=Fractional synthetic rate(筋合成率)
FBR=Fractional breakdown rate(筋分解率)
従来の分割法で月曜に胸トレをして、次の胸トレがくるのはいつですか?
早くとも金曜、遅ければ次の月曜になるのではないでしょうか。
しかし仮に筋合成が48時間で終わってしまうとしたら、水曜か木曜には次の胸トレをしないともったいないですよね。
なので、一日に一部位ではなく、全身あるいは複数の部位をトレーニングしようと筆者は主張しているのです。
●そもそも分割法でちゃんと追い込めてる?
そもそも一日に同じ部位を4種目も5種目もやって、本当に追い込めているといるのでしょうか?
脚の日を例に考えてみましょう。
<分割法の場合>
まず高重量の①バーベルスクワットから。
次に②レッグプレス。結構しんどいながらも、高重量で攻めます。
次に③ブルガリアンスクワットを行うとすると、スクワットとレッグプレスの疲労でクタクタになっているでしょう。自分のベストとは程遠い、6割くらいの重量でなんとか3セットこなします。
その次は④レッグエクステンション、⑤レッグカール。動かない脚の筋肉にムチを打って必死に動かします。
最後に⑥カーフレイズで〆る。
んな感じでしょうか。これを週一回行うイメージ。
一方、週に4回全身トレーニングの場合も見てみましょう。
<全身法の場合>
土曜からルーティンをスタートしているので、土曜はフレッシュな状態で高重量での①スクワットができます。補助種目として②レッグエクステンションを入れてもいいでしょう。
日曜は多少疲労が残っているので、③ブルガリアンスクワット。とはいえ、少なくともスクワットと同じ日にやるよりは良い状態で行うことができます。
火曜、四頭筋狙いで④レッグプレス。しっかりとしたフォームでハイレップ気味に狙っていきます。〆に⑤カーフレイズ。
木曜は⑥デッドリフトの日。ハムはしばらく休ませていたので高重量でやっちゃいましょう。
いかがでしょうか。
種目数はどちらも6種目で、種目の内容もあまり変わっていませんが、後者のほうがフレッシュな状態でトレーニングができるので、トータルでの負荷は高くなりそうです。
しかも、分割法ではレッグカールだった枠で、全身法だとデッドリフトを行うこともできちゃいます。
更に言うと、筋合成が終わる48時間を過ぎたらすぐに次のトレーニングが回ってきます。
これでも分割法のほうが優れている理由が何かあるのでしょうか。
●分割法でも成長はするけど、好きにすればいい。
「ドーピング検査があるJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)のトップ選手も分割法でトレーニングしているぞ!全身法がいいなんてウソだ!」
という声が聞こえてきそうです。
(日本のJBBFという団体はしっかりとドーピング検査をしています。)
筆者の主張は、「分割法では全く成長しない!」ではありません。
「科学的に効率がいいのは、つまり論理的にベターだと考えられるのは全身法じゃないか?」という提案です。
「生存バイアス」という言葉をご存知ですか?
ある方法で成功した人がいたとします。
一方で、その裏では同じ方法で成功しなかった人が大量にいます。
しかし、私たちが目に入るところにいるのは成功者だけなのです。
具体的には…
「水を飲むな!」「ウサギ跳びをしろ!」
指導者になってこのような発言をするのは、「たまたま熱中症にならなかった」「たまたまウサギ跳びで身体を壊さなかった」人たち。
一方で、こういう非科学的な言葉に潰されてきた人は大量にいます。
それでも、どうしても「たまたま分割法でのハイボリュームに耐えられる身体だった」「たまたまトレーニング方法とか関係なく筋肥大する才能の持ち主だった」人たちの意見を聞きたいなら、それでもいいと思います。
●パーソナルトレーナーをやっていて感じた葛藤。
筆者がパーソナルジムに勤務していたときも、(あくまでもジムの方針で)クライアントさんには分割法をおすすめしていました。
クライアントさんはトレーニング初心者がほとんどだったので、正直どんなトレーニングをしてもある程度は成長するのですが、内心ちょっとモヤモヤを感じていました。
というのも、だいたいの人が、パーソナルトレーニングをするのは週2回。
基本的には胸/背中/脚で分割していたのですが、そうすると胸の日が回ってくるのは1.5週間に一回。
これで本当に上達しますか?最速で筋肥大しますか?
そもそも、トレーニング初心者が1回でベンチプレスもインクラインダンベルプレスもダンベルフライもペックフライもやる必要性ってあります?
正直ベンチプレスをしっかり3セットやれば翌日には筋肉痛がきますよね?
しかし「トレーニングの楽しさ」とか「追い込んだ感」とか「飽きさせないようにする」という大義名分の元、非効率なことをせざるを得ない。
大前提としてパーソナルトレーニングは接客業なので、そうする理由も理解はできますが…
個人的にトレーニング初心者に教えるときは、基本となる種目にじっくり取り組むようにしてほしいと思っています。
スポーツでも言語学習でも同じですが、結局一番実を結ぶのは地道な鍛錬だったりするんです。
●まとめ
・ステロイドユーザーの情報を鵜呑みにするな
・ナチュラルの場合、筋合成はトレーニング後48時間しか続かない
・そもそも一日に同じ部位だけをやって、本当に追い込めてる?
・分割法でも成長はするけど、どっちを選ぶかは自由。
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