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2022年11月14日 13:17
「らせん階段にはちょうちょが住んでいるんだ」遊んでいる時に幼馴染が言ったその言葉をどうしてか忘れず、たまに思い出す優しい風の吹く春の日部屋を抜けて非常口のマークへ向かう僕は長い螺旋(らせん)階段を降りていくここにエレベーターはなく皆は普通の階段を使う少し降りると目が回って来て立ち止まり深呼吸をする僕は上から下までスーッと格子が伸びた鳥カゴのようなこのアパートの螺旋
2023年2月14日 12:10
僕に仕事を教えてくれている先輩はとてもクールで凪のような人ヒールのある靴を履くと背の差は5センチくらいだから女性にしては背が高い方のかも知れない綺麗なボブヘアーがサラリと風に靡くととても良い香りがした一見サバサバしているように感じるが、とても穏やかであたたかい先輩が「コンビニに寄ってもらってもいいかな」と言ったいつも持ってきているタンブラーを忘れてしまったらしい一
2023年3月29日 20:27
拳銃で頭を打って死のうとしたのはこれで2回目だった一発撃ち込んで死ねなかったので二発目を撃ったらしい記憶があるのはその二発目を撃った直後からだった頭に二発も撃ち込んだのにわたしは死んでいなかったただ、砕かれた頭蓋骨の中は温かいもので満ちていていつもとは違う感覚だった少し経って穴の空いた所から真っ赤な血液がツーっと垂れた拳銃なんて実際にはメディアでしか見たことがないか
2023年3月23日 12:08
とうとうあの野良猫は頭がおかしくなってしまったらしいザーザーと雨が降っているその野良猫とは向かいの家の軒下に住み着いている灰色の猫だこれからご飯をくれるおばあさんの所へでも行くのだろう軒下からスルリと出てきて、北へと向かった雨なのに珍しい猫は雨の中、逆立ちをして歩いていった初めは少しヨタついたものの、それからは何とも器用に進んでいった僕は気になって、家から頭を出し頭
2022年12月20日 13:38
かなり久しぶりにぐっすりと寝た気がする部屋の中に穏やかな風が流れるゆっくりと目を開けた優しい陽の光を感じたからだとても長い間深い眠りについていたとは思えないくらいにすっと身体を起こすことが出来たどこもつらいところはなく健やかだった家の天井には大きな穴が空いていた屋根が崩れ落ちたようだ不思議と僕には被害がなく崩れた屋根もどこへ行ったのか見当たらなかったその抜け
2022年12月21日 22:56
ショッピングモールの角にある小さなレストランは祖母の友人であるオリバさんのお店で3人しか並べないほどの小さなキッチンがある他の店の外観はショッピングモールにふさわしいものばかりだったのにそのレストランだけは、そこに似合わず森の奥にひっそりとありそうなもので、何度行っても心が躍った小さな頃からよく祖母に連れられて来ていて、足を運ぶたびに壁にはった蔦や植木が成長した姿をみれる事も楽しみにし