短歌連作「何もかも受け入れられぬまま時が経つ」 14首
顔のない人々の群れ ひらひらと灰によく似た雪の降る街
言えるわけない言葉たちが残ってて景色が剥がれ落ちてく二月
腸を引き抜かれるような別れだ だけど笑って戦わなきゃな
冬のよる空が重くて遠い灯があまりに遠く行くあてはない
楽園のイミテーションだ 地下室の少年がドア強く叩いた
折れている翼で空は飛べないね 当たり前だね 当たり前、だね
皆はもう行ってしまった進めないたったひとりの僕の戦争
錠剤と空缶だけの朝の無い部屋で覚めない悪夢がわらう
青き日の残骸燃える 戦利品は劣等感とフラッシュバック
あの場面ばかりリピート 前の日や次の日などはほどけて消えた
燃えている閉ざされた部屋 何もかも受け入れられぬまま時が経つ
未知のものどれも刃に変わりそう知られたくないさせられたくない
どうせもう何にもないしどうでもいい割れた鏡に映る化け物
闇のなかもっと闇へと素潜りで衝動だけが暗示している
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