riehirano

2024年の文化活動を記録してみようと思います。

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最近の記事

『かくしごと』試写会

東京で一人暮らしの女性が、認知症の父の介護のため、田舎の実家に帰省中に出会ってしまった少年をかくまってしまうお話。 90%くらい読める展開で、ストーリーそのものに驚きや共感が薄かったのが残念ではある。 テーマとして掬い上げたかったことは、社会の問題としてとても意義のあるテーマだろうし、伝えたいことも訴えたいことも、考えて欲しいことも伝わらないわけじゃない。 でもなぁ。 このキャラクターなら、この提案は拒絶するのでは?とか、もっと動揺するのでは?とか。警察そこまで馬鹿じ

    • 『メイ・ディセンバー ゆれる真実』試写会

      「メイ・ディセンバー」は、年の差恋愛を示す、皮肉混じりの慣用句のようなもの、だそうです。 実際にあった、メイ・ディセンバー事件を参考にした架空の事件の当事者と、彼らを観察しにやってきた第三者とのやりとりを軸に展開するお話です。 繰り返し繰り返し流れてくる不穏なピアノ音が、カンヌではコメディに見えていたらしいけれど、私は純粋に不穏さだけを受け取って見てしまった。 13歳だった少年ジョーは36歳。双子の娘息子が高校を卒業するタイミング。17歳とすると、彼が19歳の時の子。この

      • 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』試写会

        1970年、ボストン近郊にある名門バートン校を舞台にした、先生と生徒と職員さんを見守る話。 チラシには、それぞれに理由あって心を閉ざしている孤独な3人、と説明されている。 ある意味、想像通り、己で引き起こしてる孤立が描かれる。その孤立がどう変化していくのかは、ぜひ映画を見て体感してほしい。 一番すごいと思ったことは、この変化の過程において、彼らの人格を何も変えないということ。生意気だったり偏屈だったり、彼らが彼らの人生で培ってきた人となりをそのままに、それでも、彼らに変

        • 『スリープ』試写会

          ある新婚夫婦を描いた話。 キャラクターの設定ひとつとっても、張られている伏線の緻密さに驚く。どこをとっても、「怖い」話だ。 こういうタイプもジャンルはホラーになるんだなー。 ラストをどう解釈するかは、見た人に委ねられるんだろう。 すごく面白かったのは、一緒に見てた旦那さんの解釈を聞くまで、まったくその可能性に気付かなかった自分の盲目さ。なんの疑いもなく、ぴったりと奥さんに傾倒してた。 騙されやすい人って、こういうところなのかもー。

          『ブルー きみは大丈夫』試写会

          主人公ビーちゃんの、成長と冒険の物語。 邦題に疑問の残る内容ではあったけど、うるっとくるストーリー展開は面白かった。 12歳にしてはずいぶん大人っぽいなぁと思ったけど、その理由が切ない。 2023年12月公開の『屋根裏のラジャー』もなんの因果か試写会に参加していて、ほとんど同じ設定なことに驚く。 好みの問題だけど、私は今回の『IF(原題)』の方が好きかなー。 さて。 イマジナリーフレンド、あなたにはいますか?思い出せないだけ…かもしれないけど、空想上の友達を持ってた

          『ブルー きみは大丈夫』試写会

          『ミセス・クルナスvsジョージ・w・ブッシュ』試写会

          シリアスなことを、ユーモアに包んで表現されることに、自分がいかに慣れていないかを思い知らされてしまった。 9.11が起こった時代背景も手伝って、ドイツ在住のトルコ移民一家の息子・ムラートさんが、旅先のパキスタンで突如アメリカに拘束され、グアンタナモに収監されてしまう。この無実の息子を救うために行動を起こした、母・ラビエさんのお話。 そもそも、こういう史実があったことを知らなかった…。 敗戦を経て復興を進める中、労働力として移民を招待したドイツ。まさか住み着くとは思ってな

          『ミセス・クルナスvsジョージ・w・ブッシュ』試写会

          『オッペンハイマー』劇場観覧

          映画好きを語るなら、避けて通れない作品。 ということで、みに行ってきました。 ニュースか何かで、原爆そのもののリアルさが足りない…みたいな感想を聞いてしまっていたことで、若干ミスリードされてしまった。 これは、オッペンハイマーさんの人物記であって、原爆の話ではない。故に、原爆の悲惨さが描かれていなかろうが違和感はない。 映画は、1954年のオッペンハイマー事件を軸に、1947年にプリンストン高等研究所所長への任命が、ミックスして出てくる感じで、ちょっと時間軸についていけ

          『オッペンハイマー』劇場観覧

          『ブルックリンでオペラを』試写会

          ブルックリンに住む夫婦の転換の物語。 ニューヨークとブルックリンとマンハッタンの違いがわからない私には、ぽかんとするタイトルですが…原題は『SHE CAME TO ME(彼女が降ってきた)』という劇中オペラのタイトルにもなっているそう。 アン・ハサウェイさんがプロデュース。あんまりにも存在感がありすぎて、消えちゃうんじゃないかってくらいの透明感を出しすぎて、ラストのオチがハマりすぎていた。そうね、あなたのような人ならそういう選択も当然かもって思わせてくれる外見を含めたキャ

          『ブルックリンでオペラを』試写会

          『PAST LIVES』試写会

          韓国で幼馴染だった二人が、成長した先で繋がって離れて、会いにいって…というお話。 海外向けにつくられたであろう映画だから仕方ないのかもしれないけど、『縁ーイニョンー』の方がタイトルに相応しい気がした。 日本でも「袖触り合うは多少の縁」というけれど、同じような言い伝え? ことわざ?が韓国にもあると知れたのは、新しい発見。 アカデミー賞にノミネートされたのは、欧米のキリスト教圏ではない、巡り合わせのロマンチックさに一因があるのでは?というリリコさんの見解。 そういう意味で

          『PAST LIVES』試写会

          『GOD LAND』試写会

          アイスランドがまだ、デンマークの支配下にあった頃の、アイスランドのお話。 もともと歴史にくらい私は、ヨーロッパというより北欧の歴史など何も知らない。そのためたくさんの「なぜ」に囲まれながらの鑑賞でした。 さらにいうと、特定の宗教に思い入れもないゆえ、苦痛に耐えることの美しさには理解が及びません。 結果、誰にも心を沿わせることができず、終始傍観者として眺めることに。 アイスランドの壮大な景色には、たしかに一定の、メッセージ性を担うだけのエネルギーはありそうです。 けど

          『GOD LAND』試写会

          『コールジェーン 女性たちの秘密の電話』試写会

          もう本当に、チラシのミスリードがよくない。よくないよー。 これは、権利のために戦った女性の話ではまったくなく、助けを必要としている女性に寄り添い続けた女性の話だ。 その時の精一杯を続けただけだ。戦った話じゃない。でも?だからこそ?、女性にとっては共感に溢れる話だ。 それでいいじゃないか。こういう事実があった、という話じゃどうしてダメなの。 昔の話を描いているけど、今まさに、その時代に戻ってしまっているアメリカの現状を見ているかのような内容。 無料で手術を受けられる人

          『コールジェーン 女性たちの秘密の電話』試写会

          『陰陽師0』試写会

          超おもしろかった。内容がとか映像がとかいう前に、そもそもこういう世界観が大好きだ。まるで、推しの曲なら捨て曲でもカッコいいと思っちゃうフィルターかかってるみたい。 と、前置きしておきます。 漫画原作で数多く主演を務めてきている山崎賢人さん。 その作品もいくつか見た記憶がありますが、これは本当にカッコよかったです。野村萬斎さん主演の陰陽師も見ていたので、これがあれへつながるのかぁとしんみりしながら。 佐藤健さん主演の『るろうに剣心』と同じくらい、完成度がすんばらしくて。山

          『陰陽師0』試写会

          『デッドデッドデーモンズデデデデストラクション 前章』プレミア試写会

          私は原作を読んだことがない。のだけど… 映画云々の前に、作者の浅野いにおさんの話が聞けたことが、何より一番ありがたかった。 固有名詞は出さないけれど、どの出来事を胸に秘めて、最後に「たくさん話します」と前置きしたのか、みんながわかってた。と思う。 「これはお祭りだから」と先生は言ってた。原作を読んだら、この言葉の意味するところがわかるかな。と、読み始めたところ。 プレミアとはいえ試写会。完成品じゃないという。 公開日に間に合うように、今この瞬間もたくさんの書き直しをし

          『デッドデッドデーモンズデデデデストラクション 前章』プレミア試写会

          ※ネタバレ『DOGMAN ドッグマン』試写会

          ※具体的な内容には言及していないつもりですが、ストーリー展開には触れているので、お気をつけください。 『レオン』の監督、リュック・ベッソンさんが久しぶりに監督した…ということで話題の作品。 なんか、こういう、アングラなドラッグクイーンみたいな設定、みんな好きだよね。と思ってしまったんだけど…どうしよう。 主人公ドッグマンの半生から現在の手前までの過程の話はとても面白かった。どう展開していくのか、ワクワクした。 ただ、後半に失速していく感じがもったいない。魅力的なキャラ

          ※ネタバレ『DOGMAN ドッグマン』試写会

          『ソウルメイト 七月と安生』 Amazon prime

          韓国版の『ソウルメイト』がおもしろかったので、俄然、オリジナルに興味が湧いて。300円のAmazon primeレンタルで。 個人的には、こっちの方が胸に沁みた。じーんと泣きたくなった。映画館で見ていたら、たぶんエンドロールでじわっと泣いちゃっただろうな。なんで泣きたくなっちゃうのかわからない。少し胸に苦しい感じ。 大筋は同じなんだな、と思いつつ、ここを変えてきたのかぁと、違いを楽しむのもまた面白い。韓国版は、男女の役割という別の意図が含めてあったけど、こちらにはそういう

          『ソウルメイト 七月と安生』 Amazon prime

          『ソウルメイト』試写会

          香港デレク・ツァン監督の『ソウルメイト/七月と安生』の韓国版リメイク。 こういう密度の関係性って、映画や漫画や小説や、形はどうあれ、ストーリーの題材としてよく見かけるけど、どのくらいリアルな世界なんだろう?と、考えてしまう。少なくとも、私の身近では全然みないし、聞かないので。 二人が共有したものとか、男女の役割とか、韓国版では整理されて、ライトな仕上がりだった。はっきりと、これは女性の物語だった。 恋愛の関係性かどうかに関わらず、「あなたしかない」って言える相手がいるこ

          『ソウルメイト』試写会