『オッペンハイマー』劇場観覧
映画好きを語るなら、避けて通れない作品。
ということで、みに行ってきました。
ニュースか何かで、原爆そのもののリアルさが足りない…みたいな感想を聞いてしまっていたことで、若干ミスリードされてしまった。
これは、オッペンハイマーさんの人物記であって、原爆の話ではない。故に、原爆の悲惨さが描かれていなかろうが違和感はない。
映画は、1954年のオッペンハイマー事件を軸に、1947年にプリンストン高等研究所所長への任命が、ミックスして出てくる感じで、ちょっと時間軸についていけなかった。あまりにも、歴史を知らなすぎるんだ。
あれだけ甚大な被害を生み出したものにもかかわらず、私はあれがどう開発されたのかに思いを馳せたことが、ただの一度もなかったことに、映画を見て気付いた。
劇中「量子物理学の集大成が兵器づくりなのか?」というセリフが出てくる。スピリチュアル界隈で、量子学はよく出てくるワードだ。ある意味身近とも言える。それが、原爆の元になっていることに、理解が追いついていなかった。
原爆の父と呼ばれた人の映画と聞いたとき、たまたま研究室で、こういう爆発的なエネルギーを発見したのがオッペンハイマーさんなのかと思っていた。
が、原爆は、第二次世界大戦というきっかけがあって開発が進められた国家をあげた極秘プロジェクト(マンハッタン計画)で、実際に無事に爆発し、想像を超える被害を生みながら、しかし戦争を終えることができる安堵をもたらした。
でも原爆が投下された後、世界は続いてきた。
オッペンハイマーは、戦後、核軍縮を訴えたし、水爆実験に反対する立場をとっている。原爆の父と名乗ったわけではない。言われたにすぎない。
個人的には、彼と同時期に、アインシュタインが生きていたということが、感慨深かった。いろんなことをバラバラに記憶しているんだなと、反省。
アメリカがどういう経緯や、意図で原爆投下に至ったのかを、アメリカ映画として作品にしてくれたことには、意味があると思う。オッペンハイマーさんが開発を指揮しなかったとしても、原爆は開発されていたんだろう。
でも、私は、どうしてもこのセリフを思い出してしまう。
麻生久美子さん演じる皆実が、頭上を舞う桜ごしに見上げた空に向かっていう。
原爆を落とさせた日本側がしてきたことが、いつか、映画の形を通して、誠実に描かれることを切に願います。
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