上間陽子/海をあげる
貧困、若年層のシングルマザー、沖縄米軍基地近隣にて起こる性犯罪、基地の返還問題を描いたノンフィクション作品だが、筆致はエッセイ風で各章のタイトルも可愛らしく、筆者自身の子供との日常生活や仕事などの日常の延長線上にある問題として淡々と書かれている。しかし、その筆致がいくら柔らかいからといって、その内容が、ずしりと重いことには変わりない。この書籍はバトンである。タイトルの「海をあげる」、この言葉を確かに受け取ったなら、何らかの形でアクションを起こさなければならない。1人では抱えき