マガジンのカバー画像

詩たち

221
運営しているクリエイター

#創作大賞2024

詩📓「ヒモオトコ」

詩📓「ヒモオトコ」

20240720

「人の 金で 食う 飯は 美味い」 なんて 言葉を 最初に 思い付いて 言った 奴は 凄い 確かに 人の 金だけで 生活 していると 初めは そう 思うが やがて そんな ありがたみすら 無くなっちまう もんだとも 言える 女に 飯を 食わせて 貰ったり する 奴ら いや 俺 なんかの ことを 何故 「ヒモ」 なんて 名前で 呼びやがるん だろうな やけに 良い 名前 じゃねえ

もっとみる
詩「瓶の中の小蝿」(掌編小説?)

詩「瓶の中の小蝿」(掌編小説?)

20240715

『まじまじと見つめて 挙動不審になった虫を笑う
 小蝿を捕まえると 空き瓶に入れて観葉植物の横に置く
 悪い趣味と思えば思うほど 何故だか楽しくなってきて
 部屋にはゴミと 小蝿の入った空き瓶だらけ』

そんな物語が好きな少年が 面白そうだと真似をして
子供部屋のちょうど良い隙間に 小蝿の入った空き瓶を詰め込んだ
羽の擦れ合う音で夜中に起きてしまったり 謎の高熱が出たり
色々あ

もっとみる
詩「微塵粉」

詩「微塵粉」

20240611

ミジンコの頭を齧り
上目遣いをする
五歳になった記念の日に
ちょうど良い池を探す

ミジンコが絶滅したら
もう終わってしまう
プラナリアなら
少しくらいは腹の足し

ミジンコを錬金術で
生み出せず
ボウフラを食い
癖が強くていやになる

ミジンコの絵を描いて
賑やかな壁紙の子供部屋
クレヨンを齧って
空腹を誤魔化して寝転がる

ミジンコに似ている
隣に住むお兄さんに
気付かれな

もっとみる
詩「スーパーパワー」

詩「スーパーパワー」

20240531

彼の母親は彼を殺すために彼を産んだ
赤ん坊の彼を路地裏に置いた
最後に呪いのような言葉を吐き捨てて
雑踏に紛れて消えていった

彼を見た悪魔が愉快なことを思い付いた
彼に力を与えて復讐するように仕向けた
何も食べなくても平気な 頑丈な身体を与え
ついでに両腕をゴリラの腕に出来るようにした

それから彼は 他の子供と遊んでいる時
意図せずに耳や鼻を千切ってしまったり
喧嘩を売って

もっとみる
詩「犬と猫の話」

詩「犬と猫の話」

20240523

俺がゴミ箱の残飯を漁ってる時 女神に出会った
美しい毛並み 何もかも見透かすような瞳
彼女は俺と結ばれることは絶対ないと知っていながら
この気持ちを止められなかった

私は彼を初めて見た時 食われるかと思った
泥だらけ くさい 汚い ゴミを食べて生きてる
でも何故か不思議と嫌じゃなかった それは何故か
彼が私に向かって吠える時 その音が心地良かったから

 二匹はいつも一緒にい

もっとみる
詩「フア・タカマー・リスカン」

詩「フア・タカマー・リスカン」

20240522

気が狂いそうになって目覚めた
頭の中がぐちゃぐちゃになった
一つ一つ片付けていると
見覚えのないものを見つけた

誰だ?何だ?何処だ?何時だ?
見覚えのない男と一緒に謎の物体を持ち
パレットをぶちまけたような色の島で
俺と似た男が微笑んでいる写真

よく見ると 謎の物体は生き物だった
魚を釣り上げた時の写真に似ている
背景の島を見ていると目がチカチカする
海岸なのだろうが 考え

もっとみる
詩「敗者」

詩「敗者」

20240510

コントラストがキツ過ぎて
パツパツになるスボンの裾が破れそう
白と黒をはっきりさせたがるせいで
貧乏くじを引いてしまいそう

歪んだ顔と体で道を歩けば
落とし穴に落とされて目的を見失う
着慣れないスーツのせいで
挫いてしまいそうな足を庇う

コップの中に沈み込む
溢れそうな水に気をつけながら
上からコインが落とされる
溢れれば逃げ出すことが出来ずに飲み干される

噛み砕かれて 

もっとみる
詩「Dolls」

詩「Dolls」

20240510

いざなわれて 身体に迸る
全ての熱を 暗い空に届けて
察知した未来が どれだけ廃れても
今ある全てを 数えるしかない

二人は人形 心ない道化師に
操られ演じる 糸で垂らされて
煙草の煙に いくつも巻かれて
全てを誤魔化す 夜を過ごして

いざなわれて 寒気がしても
全ての嘘を 明るい月に変えて
感知した過去に どれだけ魅了されても
今ある全てを 受け入れるしかない

二人は人

もっとみる
詩「リスタート」

詩「リスタート」

20240509

また俺を殺しちゃった
天国へ行けるって信じて
何回でも殺してしまう
輪廻転生だから生まれ変わる

また初めからスタートになった
ステータスの引き継ぎはないまま
赤ん坊の俺は彷徨って
狼なんかに喰われそうだ

セーブもロードも繰り返した
何事も経験って言うけど
セーブしたら忘れるし
ロードしたら繰り返し

それでもゲームオーバーにはならず
死んでもまたどうせ生き返るしかないなら

もっとみる
詩「虚無にて」

詩「虚無にて」

20240508

何もないところから始めよう
重要なことを捉えて
真空パックをしたら送り出す
腹が膨れるまで繰り返す

ここには善も悪もない
優劣もなく それはつまらない
美しくもなく汚くもない
虚しくて だだっ広い空間

彼はその空間で木のように生える
初めは小さな芽から始まる
水やりを怠らなければ育ってゆく
大木となりこの空間を埋め尽くす

それを切り終えたらまた何もなくなる
全ては繰り返し

もっとみる
詩「骨の山」

詩「骨の山」

20240509

ぐらついた足元に転がる骨の山が
生前はどんな姿だったのか思い浮かべて
吊り革に捕まり外の景色を眺めながら
目的の駅へと向かっている

挨拶されなかった隣人だったか
壁の中で走り回る小動物だったか
会計の時に睨みつけてきた店員だったか
ベランダから見える庭の大型犬だったか

骨を一つ拾ってじっくり観察すると
読めない文字がびっしりと書いてある
似たような格好をした連中が
少し距離

もっとみる
詩「愚かで卑しいスープパスタ」

詩「愚かで卑しいスープパスタ」

20240507

スープパスタは言った
「飯は熱いうちに食え」
精霊たちも電波にやられて
自分の在処がわからないようだった

彼は言った「フォークがない」
火傷した右手が震えている
スープパスタは表情を変えずに言った
「冷めてしまうまで置いておくつもりか」

精霊たちは動揺して
彼の頬にメッセージを書き残した
電波の発生源は突き止められて
彼のいる部屋のコンセントの中だった

スープパスタは彼を

もっとみる
詩「恥辱」

詩「恥辱」

20240507

裸を見られるよりも恥ずかしいことをしている
到達点のわからない旅路で
被害妄想だということはわかりながら
その笑い声を聞かないようにすることは出来ない

生まれ出るものを晒して生きるには
未熟なのか 腐ってきたのか
どちらだと思う? 彼は誰かに問う
どちらでもない 誰かは彼に答える

何が生まれるか分からずに
生まれたものの正体すら知らずに
漂う 彼は真っ当に
信じている 信じ

もっとみる